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アルカディア9

一日の授業を終えて私は古文書研究部の部室に来ていた。

「さて、これから部の活動内容とか伝えたいんだけど、一つだけお願いいいかな?」

「何でしょうか?」

「古文書研究部の部長になってください!」

「分かりました。」

トウコ先生のお願いに即答したのだが、トウコ先生は頭を下げたまま。聞こえなかったのかと思いもう一度言うとようやく頭を上げだ。

「良かったー。もし断られたらどうしようかと思ったよ。」

「部長くらいならいつでもやりますよ。それに、暇なのは私だけでしょうしね。」

「それじゃあ、活動内容について教えるね。と言ってもこの部屋に集められた本とかを解読したり、魔法について書かれているのだと実践したりだね。」

トウコ先生は解読できた本と言って1冊手渡してきた。パラパラと開いて読んでみたが、そこまで珍しいものでは無いようだ。

「色々と資料を見ながら全部解読できたのはそれだけ。後は解読できても文の意味として成り立ってなかったりするから。」

この部ができてから合計してもたった3冊しか解読できていないらしい。何冊も解読の手がつけられたが、半分も行っていないものが大半だそう。

「これからはサリスさんが協力してくれるし、どんどん解読進められそうね!」

「その事なんですが、国の方針で古語を他国に広まるのは禁止にしてるんです。なので完全な協力はできそうにないですね。」

部屋にある本を見繕いながら先生にそういうと膝から崩れ落ちた。

「あぁ、私の夢が・・・。」

「それと、先生の理論には興味があるんですよ。」

「あなた、人の話聞かないってよく言われない?」

先生の言葉に首を傾けていると、ため息をついてどの理論に興味があるのか聞いてきた。

「古語が魔力を高めるってやつです。」

「えっ?あなたが証明してるでしょ?」

「わたしが?」

お互い何故か噛み合わない話。古語が魔力を高めるのをどうして私が証明しているの?

「古語で詠唱して力を使ってるんじゃ?」

「・・・詠唱ってなんでしょう?」

先生の口から知らない言葉が飛び出してきた。

「詠唱知らないの!?魔力を出す時に使う詠唱だよ!?」

「魔力を出す・・・、あぁあの時皆さんが攻撃する時に何か言ってましたがあれのことですか!」

よく思い出してみると、確かに何か言っていたような気がする。特に興味もなかったので記憶にほとんど残っていなかった。

「ちょっとこっち来て!」

トウコ先生に手を掴まれて引っ張られるようにして部屋を出た。そのまま連れていかれたのは魔力の授業で使った校庭だった。

「簡単にでいいからこれに向かって攻撃して。」

先生が倉庫から人形を引っ張り出してきて少し離れたところに置いた。

「簡単でいいんですね?」

確認しながら指先を人形に向けて結晶を打ち出す。カシャーンという軽い音を立てながら結晶は人形にあたり砕け散った。

「こんな感じです。」

私が攻撃する様子を見ていた先生は呆然とした様子だった。

「・・・ちょっと見てて欲しい。」

そういうと先生は私の隣に立つと手の平を人形に向けた。

『望む。この身に敵を穿つ力を授けよ。エアランス!』

トウコ先生が詠唱?と思われるものをつぶやくと空気の塊が飛んでいき人形を貫いた。

「なるほど、今のが詠唱ですか?凄いですね。」

純粋に驚いたので、感想を言っているとトウコ先生は深く息を吐いた。

「普通は今みたいに詠唱しないと攻撃なんて出来ないの。それを短縮してる時点で異常なんだって。」

「短縮してるつもりは無いんですがね。」

「はぁ。ちなみに限界とかあるの?」

「ありますよ。具体的には言えませんが。」

「それが聞けただけでもいいよ。」

その後人形を倉庫にしまい、部室に戻ってきた。

「そうだ。部長の件だけどこの紙に名前書いて生徒会の担当者に渡してきて欲しいんだけど。」

部屋に戻ってきた先生が思い出したようにそういった。受け取った紙を見てみるとそこには同意書のようなものとその署名欄があった。

「これって、家名もあったほうがいいですかね?」

「正式な書類だしね。あった方がいいと思うよ。」

サッと同意書に目を通して問題ないことを確認してから署名欄に名前を書いておく。

「それじゃあ、出してきますね。」

「うん。今日はそのまま帰っても大丈夫だから。」

部屋を出て生徒会室に向かう。相変わらず広い校舎なので少し迷いかけたが何とかたどり着いた。扉を叩いて中から返事が返ってきたことを確認してから部屋に入った。

「失礼します。部活動の書類持ってきたんですが。」

「あぁ、それならそこにある箱に入れて置いてくれ。」

入ってすぐにある机の上に置かれた箱に紙を入れて部屋を出ようとすると、後ろから声がかけられた。

「部活動ってどこかに入ったのか?」

「えぇ。古文書研究部に。」

これ以上聞かれる前に一礼して部屋を出た。これで用事も終わったしどうしようかと校舎の中を歩き回っていると、何故か校舎内にいたメールを見つけた。

「あれ?メールなんでここにいるの?」

私が近づいて行くと椅子から立ち上がって姿勢を正すメール。

「もしかして、何かあった?」

「いえ、完全に私用なんですが・・・。」

「?」

「実は先日街に降りた時、物盗りに遭遇したんです。近くにいたので咄嗟に剣を抜いて犯人を気絶させて取り押さえたのですが。」

「へぇ。そんなことあったの。」

「はい。特に関係ないと思ったので報告はしなかったのですが。」

「それで、どうしてその犯人取り押さえたのとここにいるのが関係するの?」

「実は、その流れをこの学園の剣術顧問の先生に見られていたようで。何度も教えて欲しいと頼まれてしまい、これ以上はサリス様にもご迷惑がかかると思い1回だけという約束で受けたのです。」

メールの言う光景を想像してみたが確かにその状況なら私も声をかけたなと思い苦笑いをした。

「まぁ、そこまで縛るつもりは無いからさ。そこまで気負いしなくていいよ。」

「サリス様はそう仰りますが・・・。」

「はいはい。」

メールは人一倍責任感が強い。なので私から離れるというのが申し訳ないのだろう。

「じゃあ私も一緒にいるよ。それで解決。」

「え!?サリス様のお時間を取る訳には!」

少し慌てるメールの眉間にスっと指を当てる。

「一旦落ち着く。」

「・・・はい。」

ゆっくりと深呼吸するメール。

「これでも自分の身を守れるくらいの力はある。だから全部引き受けようとはしなくていいよ。」

「・・・わかりました。」

「よしよし。あなたの思いはわかってるつもりですから。」

2人並んで椅子に座って待っていると男の先生と生徒二人が走りよってきた。

「お待たせしましたー!っとそちらは?」

私に気がついた先生がそう声をかけてきた。

「初めまして。サリスと申します。メールの主人です。」

恐らく、メールから主に迷惑がという理由で断られていたはずだ。なので、メールが誰かに仕えている事も知っているだろう。

「あっ、そうですか。えっと・・・。」

「あぁ、別に何か言いに来た訳では無いですよ?むしろ私も見学したいのでそのおねがいをしに来たんですから。」

「そういう事でしたか!もちろん大歓迎ですよ!」

先生は心配そうな顔をすぐに明るい顔に変えて迎えてくれた。その後先生に連れられて剣術練習場と呼ばれる場所来た。

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