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アルカディア3

4階建ての学園校舎、その3階にある私とラースナー様の教室から見下ろす形で学園の正門に集まる多くの生徒の姿が見える。

「あれが、噂の特待入学生の子たち?」

「だろうな。学園の関係者には見えないし。」

「ふーん・・・。そういうゲームはしたことないけど、オープニングとかこんな感じじゃないの?」

「もう覚えてないよ。オープニングなんて何回も見るものじゃないし。」

正門に止まった馬車から降りてゆっくり歩いてくる子達。その子達が近づく度に3階のここまで届く歓声が湧く。

「王子とか有力貴族の子達だっけ?」

「多分な。その中に市民としては異例の主人公が混じってる感じだ。」

「なるほどねー。」

私たちが話している間にも校舎に近づいてくるので、全員の顔が見えるくらいにはなっていた。

「なるほど、確かに整った顔立ちをしてらっしゃる。」

「まぁ、当たり前だがな。そういえば、教室どこか知ってるか?」

「さぁ?どこかにまとめて入れるのかなとは思ってるけど。」

そろそろ窓を閉めるかということになり最後に1度だけ見下ろした。すると、集団の1人と目が合ったのでとびきりの笑顔をぶつけてから窓を閉めた。

「またなんかやったな?」

「それはラースナー様だって。」

お互いが同じことをしていたようだ。その状況に我慢ができず2人で笑いあった。

それからしばらく。教室に人が集まり始めたので、窓側の席を2人で取って座った。

「みんな集まったかな?」

大体の人が集まったところで先生が入ってきた。教室を見渡して一通り集まったことを確認したのだろう持ってきていた資料を配り始めた。

「自己紹介もしてもらいたいけど、それはもう少しであの子たちの入学式が終わるからそれからやるよ。」

配られた資料には簡単な学校の案内図と、部活動等の案内だった。

「どっか入るか?」

「見てから決めるしかないですね。」

「でも見に行きたいとこは無い感じだろ?」

「ええ、ですのでラースナー様について行きますよ。その方が面白そうですし。」

「はいはい。」

そんなことを話していると、教室の扉が叩かれた。

「おっと、ご到着のようだね。」

先生は扉を開けると外にいた生徒を教室に迎え入れた。

「さて、これで全員揃ったね。それじゃあ自己紹介よろしく!」

教室に入ってきたのは先程ここから見ていた子達だった。どうやらそのうち数人ずつに分けられているようだ。

「ねぇ、ラースナー様。あれが誰かとかわかる?」

「少なくとも1人だけだ。それ以外はわからん。」

「その1人って?」

「真ん中の女だよ。あいつはこのゲームの主人公だ。」

ラースナー様のそんな発言に驚いていると、その主人公さんが話し始めた。

「皆さん、初めまして。エリィと言います。これからよろしくお願いします。」

そう言って頭を下げると教室にいる全員から拍手が湧いた。

「ありがとう。それじゃあ他の子達もどんどん行っちゃおう。」

先生のその言葉に教室にいた子達がどんどんと立ち上がって自己紹介をし始めた。最終的に残ったのは私とラースナー様だけだった。

「さて、最後のふたりだね。」

先生はそういうと私たちに笑いかけた。

「どちらが先行きます?」

「正式な場じゃないしどちらからでもいいと思うが。」

「それじゃあ私から行きます。」

すっと立ち上がって教室を見渡した。

「初めまして皆様。エルドラド皇国から留学生として来ました、サリスです。」

簡単な自己紹介だったが、衝撃を与えるには十分だったようで、教室は静かになってしまった。

「おい、どうすんだよ。この状況。」

「ふふ、さらに爆弾落としてみたらどうですか?」

「はぁ、文句言ってても仕方ないか。はぁ。」

ラースナー様は少し面倒くさそうに立ち上がると自己紹介を始めた。

「サリスと同じくエルドラド皇国から留学生として来たラースナーだ。二人とも貴族家だが家名は控えさせてもらう。」

予想通りの反応に笑いを堪えていると先生が話し始めた。

「いやー、驚いたね。留学生がいるとは聞いてたけどまさかエルドラド皇国からとは。まぁ、そんな驚きがあるのも学園の面白いところだね。」

先生はそういうと今後の説明を始めた。今日のところはこれで終わりで後は部活動の見学とか自由にしていいらしい。それならと教室を出ようとしたが、その前に同じく教室の子達に囲まれてしまった。

「エルドラド皇国ってどういう国なんですか!?」

「どういう国って、普通の国だよ?みんな元気に暮らしてるし、私も楽しく過ごしたし。」

「文化とかは違うが、それは国が違えば当たり前だろうし。」

何故か私のところには男士が、ラースナー様の方には女子が集まっている。質問に全部答えていたらボロが出かねないと思い隙をついて教室から逃げ出した。その後、学園案内図にのっていた時計塔まで逃げてきた私たちはそこで一息ついた。

「はぁ、予想外だったんだけど。何あれ?」

「知らんよ。繋がりを作りたいとかじゃないのか?」

そんなことを話していると、後ろから声をかけられた。

「初日から大変ですね。」

振り向くとそこにはエリィが立っていた。

「あなたでしたか、驚かさないでくださいよ。」

私は無意識で作りだしていた氷のナイフを砕くと時計塔の柵に寄りかかった。

「それで?まだ質問ですか?もう疲れたんですが。」

「いえ、質問ではなくて。実はある人から頼まれ事をしまして。サリスさんを連れてきて欲しいと。」

「私を?なんでまた?」

「理由は教えてくれなかったんですが、どうしてもとの事でしたので。」

「まぁ、ラースナー様が一緒ならいいよ。」

突然巻き込まれたラースナー様は驚いた顔をしたものの、どうしようもないと察したのか渋々了承してくれた。その後エリィに連れられて来た部屋には数人の人が集まっていた。

「エリィか。それと、連れてきてくれたんだな。感謝するよ。」

机に向かっていた男がそう言って笑った。ラースナー様がススッと近寄ってきて、今ここにいる人全員がゲームに出てくる人だと教えてくれた。

「私をお呼びとの事でしたが何かありましたか?」

「ああ、いや特に何かあったという訳ではなくてだな。濃い茶色の髪を後ろでまとめている子を探して欲しいと頼んだんだ。その子と話をしてみたいと思ってな。」

「濃い茶色の髪?」

「今そうだろ。」

少し引っかかっていると、ラースナー様がツッコミを入れてくれた。そう言えば変装として髪色を変えていたのだった。

「ああ、なるほど。それで、話というのは?」

「勧誘だな。生徒会への。」

「なるほど。お断りします。」

まさか、ここまで即答されるとは思っていなかったのか驚いた顔をされた。

「理由を聞いても?」

「あくまで私たちは留学生です。それもエルドラド皇国というあまり詳しい実態が掴めていない国のですから。そういった生徒がそんなところにいるのは少し違うでしょう。」

淡々と語っていると、周りの人達から少し睨まれていることに気がついた。

「まぁ、あくまで持論です。ご理解頂けましたか?」

言い終わると同時に軽く力を解放して威圧しておく。勝手に呼び出しておいてふざけるなという意図だったが伝わるとは思っていない。

「用も終わったようですし、私たちは失礼しますね?」

そう言ってラースナー様と一緒に部屋を出た。その後廊下を曲がるまで視線を感じたが、特に気にしなかった。


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