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ゲームに出てこないのに美形なのはなんで?  作者: 妖狐
序章 舞台登壇準備
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エルドラド10

ラースナー様が話し始めた確証を得ない原因。それはその後のシナリオについてだった。

「まず、アルス霊園についてのシナリオに進むには主人公の体調を少し悪いっていう状態にしないといけないんだ。さらに言うとこのシナリオ、エンディング分岐のひとつだから大体の人は通ってると思う。主人公がマイナスな状態から立ち直ってそのまま這い上がるっていうエンディングだったかな?だから、特に関係ないんじゃないかっていう意見も多くてね。」

「話だけ聞いてると、エンディング分岐だから重要そうに聞こえるけど。」

「まぁ、こっちはね。でも、アルス霊園については公式設定があるの。アルス霊園はかつては犯罪者を埋葬する霊園だったが、今では綺麗な景色からこの霊園に入りたいという人が後を絶たないっていう説明が資料集であったの。そのかつてがどれくらい前か分からないけど、少なくとも主人公の両親がこの霊園に埋葬されたとしても、不思議では無いっていうのが考察班の意見。」

ラースナー様の話を聞きながら頭の中で色々考えてみたが、いまいちピンとは来なかった。

「ねぇ、サリス。少し相談なんだけど。」

「はい。何でしょう。」

「このゲームシナリオ。近くで見たくない?」

「・・・はい?」

この人は一体何を言っているのか。言いたいことはわかる。せっかくゲームの中に来たのだから楽しみたいと考えるのは私も一緒だ。だが。

「もしかして、この学校に行くということですか?」

「えっと、そのつもりだけど。」

この人自分の立場わかってるのか?次期皇帝だぞ?そして私は次期皇妃だよ?そんな人が、外で遊べると思っているのか?

「はぁ、色々言いたいことはあります。ですが、まずは現皇帝の許可です。」

「あっ、それなら大丈夫。お願いしたら許可くれたから。」

親バカすぎるだろー!そう叫びたくなるのを我慢して、ため息をついた。

「はぁ。何歳入学ですか?」

「えっと、確か15歳だったはず。期間は4年だったはず。」

「15入学ですね。あと5年はありますね。」

私はそう言うとリャナに言って紙とペンを取ってきてもらった。ササッと皇帝と皇妃に宛てた手紙を書いていく。

「何書いてるんだ?」

「私の引越し願いです。」

「引越し?何処に?」

「皇城にです。」

「皇城に?どうして?」

何も分かっていないラースナー様に向かって私は腕を振る。すると、氷の結晶が飛んでいきラースナー様の眉間寸前で止まった。

「あなたを5年で次期皇帝に仕上げるためです。本来10年かけて覚えることを5年で覚えてもらいます。もちろん、私もお手伝いしますが自分のことで忙しくなるでしょう。せいぜい倒れないでくださいよ?」

書き終えた手紙をリャナに渡して皇城に届けてもらう。

「さて、ラースナー様?覚悟はできてますか?」

「か、覚悟って?」

冷や汗をかきながら私に聞いてくるラースナー様。その様子を見ながら私はオーラを纏い直した。

「次期皇帝として、学ぶべきことを学ぶ覚悟ですわ。」

もう逃げられないと悟ったのか、ラースナー様は完全に力が抜けてしまった。そんな様子のラースナー様を残して、リャナと一緒にお父様の部屋に向かった。

「お父様、失礼します。」

扉を開けて中に入ると仕事中のお父様が目に入った。

「おや?どうかしたかい?」

「少しだけ、時間いいですか?」

「ああ、そこまで急いでる訳でもないからね。いいよ。」

「ありがとうございます。実は・・・」

お父様に皇城に引越しをしたいということ。どうしてそうなったかの経緯を話した。

「なるほど。まぁ、遅かれ早かれ皇城には言ってもらうことになっただろうし、許可するよ。」

「ありがとうございます。」

「皇城のこと、時々教えてよ。どんな面白いことしてるか、気になるし。」

とびきりの笑顔でそう話すお父様。現皇妃のことが気になっているのだろう。確か、お父様は現皇妃とは小さい頃から知り合いだったらしい。地位的には皇妃の方が上なので今は逆らえないが、地位関係なしだと、お父様の方が強いらしい。

「わかりました。皇妃様にも”お伝え”しておきますね?。」

2人で悪い笑顔をしていると、部屋にいたカサキさんがため息を吐いた。

「お二人共、弄るのはそこまでに。サリスお嬢様も引越しの準備をしますよ。」

カサキさんに促されて部屋を出ると、とりあえず自分の部屋で伸びていたラースナー様をカサキさんに預ける。事情を知っていたリャナが一足先に部屋に戻って支度をしていた。

「必要そうなものはまとめておきました。」

「ありがとう。服とかは向こうでも追加で買うと思うから最小限でいいかな?」

「そういうと思いまして、長く着れそうなものだけを用意します。」

「さっすが。じゃああとはこの辺りかな。」

本棚に入っている本を取り出して積んでいく。持ち出せる本とそうでは無い本もあるので、それだけ分けた結果10冊ほどに収まった。

「手紙は出しておきましたので、明日の朝には返事が来ると思います。」

「了解。早ければ明日のお昼には移動できそうかな?」

リャナとそう話しながら荷物をまとめていく。結果的に、そこまで大荷物にならなかったため、部屋の隅に置いておく。

「よし。あとはお母様とお兄様にも教えておかないとね。」

「では、私も自分の支度をしてきます。」

「はーい。じゃあまた後で。」

リャナにそう言ってから、私はお母様の部屋を尋ねた。すると、そこにはお兄様も来ていた。

「あら、どうしたの?って聞くまでもなさそうね。丁度その話を聞いてきたとこよ。」

「まぁ、最初こそ驚いたが止める理由もないからな。」

2人とも優しい笑顔でそう言ってくれた。少し寂しくなるが。と笑っていたが、それよりも嬉しさのが上回っているようだ。

「時々は帰ってくるのでしょ?それならその時また色々お話聞かせてちょうだい?」

「はい。わかりました。」

以外にもあっさりと許可を貰えたので、どうしようかと考えていると廊下の向こうからすっ飛んでくる人が見えた。

「お嬢様ーー!!」

私に向かってくるその人をピョンっと飛んで避ける。その人は前につんのめるようにしてブレーキをかけたが、止まりきれず私の下を通過していく。

「どうかしましたか?メイド長?」

「お嬢様!皇城に行くというのは本当ですか!?それなら私も連れていってください!」

「・・・いや、確かにあなたを連れて行けたら心強いけど、それが出来ないのはわかってるでしょう。」

「ですが・・・。」

「ほら、そんなに落ち込まない。」

「うぅ、はい。わかりました。」

深呼吸をしたあとメイド長は真っ直ぐに私を見つめながら言った。

「お嬢様のご活躍を願っております。行ってらっしゃいませ。」

「ありがとう。行ってきます。」

この日の夜は盛大なご飯が用意され、家全体で私のことをお祝いしてくれた。この期待に応えられるように頑張ろうと私は強く誓うのだった。

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