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472話「決着と新たなる翼人」



「これで終わりだ! 【ロヴィーナ】!!」



 アルヴァトスが構えた手から凝縮された魔力の塊が放出される。見るからに強力な力を持ったそれは、直撃すれば痛いどころの話ではなく、それこそ肉体そのものがこの世から消えてなくなるレベルの力を秘めていることがわかった。



 そんなものを何の躊躇いもなく使うアルヴァトスに、少しは物を考えてから行動しろと文句の一つも言いたくなったが、今は迫って来る脅威を何とかしなければならないと思ったが、俺よりも先にナガルティーニャが動いた。



「うるさいっ」


「なっ」



 俺たちに迫ってきたアルヴァトスの攻撃は、目算だが世界の半分が吹き飛ばされるほどの威力を持っていた。それは魔力量から考えて間違いのないことだ。だが、その攻撃が俺たちに害を与えることはなかった。



 ナガルティーニャがそのまま前に躍り出てきたと思ったら、向かってくる攻撃に向かってまるでビンタをお見舞いするように自身の手を叩きつけた。たったそれだけだったが、それだけで攻撃がそれていき、最終的に空中で分解するかのように弾けていった。



 アルヴァトスにとっては予想だにしていないことだったようで、ナガルティーニャの行った所業に言葉を失っている。俺でも今の攻撃をいなすことは難しく、さすがは妖怪だとナガルティーニャの理不尽さを改めて思い知らされた。



「ば、馬鹿な! ロヴィーナの攻撃を逸らしただと!? あり……えない。ロヴィーナは我ら翼人のみに許された裁きの閃光。それを受けたものは、瞬く間にその存在をなかったことにされる強大なものだ。神の代行者として翼人のみに許された圧倒的な力……それがロヴィーナだ」


「そうなのかい? あたしからすればただ魔力が多いだけの豆鉄砲でしかなかったから、思わず素手で殴ってしまったよ」


「出たよ。某小説サイト由来の“俺(私)なんかやっちゃいました”発言。これだからチーターは……」


「ローランドきゅんだって似たようなものじゃないか!」



 ナガルティーニャの行動に理解が追い付いていないアルヴァトスと、その行動に呆れ顔で感想を述べる俺という何とも正反対な反応となってしまったが、本人はそう言われることが心外だったらしく、俺も同じ側の人間だと主張する。



 だが、アレと同じレベルの人間だということは断固として否定したいところだ。俺は別に年下の幼女をいやらしい目で見たり、何かと誘惑しようとしてきたり、ましてや風呂を覗いたり夜這いを掛けようとはしていない。



 そんな人間と似たようなものと言われて黙っていられるほど、俺はできた人間ではないので、ここは俺も主張を通させてもらった。



「という理由から、俺がお前と同列などという先ほどの発言は容認しかねる。今すぐ先の言葉を撤回してもらおうか?」


「そういう意味の似たようなものじゃない! まるで私がショタ好きの変態のような言い方はよしてくれ!!」


「じゃあ俺のことは好きじゃないということだな?」



 俺が懇切丁寧に説明してやると、頭を抱えてそれを否定する。そこで俺は一計を案じ、ナガルティーニャの口から俺に好意がないという言質を取ろうと試みた。だが、それが返って裏目に出る結果となってしまう。



「好きじゃないさ。ただ、ローランドきゅんがいないと生きていけない体にされただけだ!!」


「してねぇよ! まるで俺がお前に何かしたような言い方に聞こえるぞそれ!!」


「直接的にはされてな……いや、ほっぺに熱いパッションをもらったから直接は何かされたことになるのか」


「まーた妙なことを言い出し始めたぞ」



 それから、あーでもないこーでもないといつもの数倍支離滅裂な漫才が繰り広げられていたが、そんな俺たちに業を煮やしたアルヴァトスの叫びが轟く。



「もうこの世界のことなどどうでもいい!! 我が全霊をもってお前らを消すのみ!! くらえぇー! 我が全霊の【デフィニティーヴォ・エスプロジオ――」


「「うるさいっ! 【ジャッジメントレイ】!!」」


「ごはっ」



 アルヴァトスがさらに何かしようとしたタイミングで、それを阻止するように俺とナガルティーニャが同じ魔法を放つ。ナガルティーニャの魔法はアルヴァトスの肩口に命中し、俺が放った魔法は奴の土手っ腹に直撃する。その威力は凄まじく、アルヴァトスの身体にバスケットボール大の風穴が二つ出来上がった。



「ぐっ、ば、馬鹿な!? そんな馬鹿なぁー!!」


「あーあ、ついカッとなってやっちまったな」


「しょうがないよローランドきゅん。すべてはこいつの自業自得なんだから。怒らせるほうが悪い」



 自分の身に起きたことが信じられないといった様子で叫ぶアルヴァトスを、俺とナガルティーニャが冷ややかな目で眺める。そもそも、先に敵対行動を取ってきたのは向こうさんであり、俺とナガルティーニャはそれに対して迎撃態勢を取ったまでに過ぎない。



 つまりは、向こうが仕掛けてさえ来なければこちらが攻撃をすることはなかったし、ましてや身体に風穴が開くこともなかっただろう。



「とりあえず、邪魔になりそうだから排除しておくか」


「それは勘弁願いたい」


「……新手か」



 いつの間に接近したのか、アルヴァトスに肩を貸すように奴の身体を支えていたのは、新たな翼人であった。アルヴァトスとは違い中性的な顔立ちではあるものの、どこか温厚そうな雰囲気を醸し出しており、身体に凹凸があるところを見るに、女性であることが窺える。



 俗に言うところのスレンダー美人というやつであろうが、同じスレンダーでもナガルティーニャとは違い色香が漂う大人な雰囲気も持ち合わせていた。



「……はあ」


「ああ! ローランドきゅん、今あいつとあたしの身体を見比べてたでしょ!?」


「同じスレンダーでもこうも違うものなのか……」


「何を言ってるんだい。同じじゃないか! 同じスレンダーだよ!!」


「向こうには、大人の女性としての“エロス”がある。だが、お前には子供染みた雰囲気しか感じられん。こういうのでいいんだよ、こういうので!」


「同じなのに……同じペチャパイなのにぃー!」


「……少し、よろしいだろうか?」



 再び漫才が繰り広げられているところに、困惑した様子の新手の彼女が口を開く。それと同時に彼女を【極解析】を使って能力を調べる。結果はこう出た。





【名前】:ガブリエル


【年齢】:千三百六十二歳


【性別】:女


【種族】:翼人


【職業】:上級翼人・セラフィム



体力:6023730000


魔力:4509950000


筋力:SSSSSSSSC


耐久力:SSSSSSSSA+


素早さ:SSSSSSSSB


器用さ:SSSSSSSSE+


精神力:SSSSSSSSB


抵抗力:SSSSSSSSC+


幸運:SSSSSSSSB+



【スキル】



 超解析LvMAX、真闘気術Lv6、感覚操作LvMAX、魔導の深淵Lv7、魔導学Lv7、戦闘術・改LvMAX、神思考Lv7、


 極威圧Lv5、パラメータ上限突破Lv8、限界突破LvMAX、毒無効LvMAX、麻痺無効LvMAX、幻惑無効LvMAX、睡眠無効LvMAX、


 物理無効Lv4、魔法無効Lv4、超再生Lv7


【状態】:なし





 ……オウ、ノー。まさかの最高位翼人でいらっしゃった。セラフィムの降臨である。

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