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460話「お待ちかねのピンチ到来」



「ご苦労であった。此度の助力に感謝する」


「自分の都合で動いただけだ。礼はいらない」



 帝国との契約交渉が終わったその足で、俺はアリーシアとシェルズの国王ゼファーに事の顛末を報告する。二人とも俺に感謝していたが、今回は最終的に降りかかってくるであろう火の粉を払っただけに過ぎず、結果的に俺に救われる形になったとはいえ、別段国のために動いたわけではない。すべては自分が考えた上での行動なのだ。



 とりあえず、報告も終了したということで後は十日後の帝国の答えを聞いて行動するということになり、途端に暇になった。だが、トラブルというものは突然やってくるもので、俺の気配察知に反応があった。



「これは、帝国との国境付近か」



 どうやら、不穏な気配はバルバトス帝国の国境付近にいるらしく、一時的に兵を退かせたとはいえ、まだ国同士の警戒は解かれていない。仕方なく、一度様子を見に行くことにした。



 瞬間移動で帝国との国境付近に飛ぶと、周辺一帯が火の海と化していた。様子を探っていると、すぐにその元凶と思しき物体が目に見えてくる。



「……お前は」


「久しぶりですね。尤も、僕としてはあまり会いたくはなかったんですが」



 そこにいたのは、セラフ聖国で取り逃がした因縁の相手であるクラウェルだった。奴の傍らには三メートルは優に超える巨体を持った得体の知れない肉片が佇んでいた。よくよく観察してみると、それがドラゴンを模倣しているかのような姿形を取っており、おそらくこの辺りを火の海に変えた張本人であるというのが予想できる。



 相変わらず歪んだ笑みを浮かべているクラウェルが、ふてぶてしい態度を取りながら、ご丁寧にも謎の物体Xの説明をしてくれた。



「これは僕が新たに生み出したドラゴン級戦闘生物兵器。通称【ドラグノイド】ですよ。まあ、ドラゴンと戦うことを目的とした生物兵器を開発中に偶然出来上がったものですが、今回はこれを使うのが都合がいいのでね」


「また御大層な名前だな。エクシードといい、ネーミングセンスが中二病じゃないか」


「あなたとお話しをするためにここへ来たわけではありません。さっそくですが、死んでいただきましょう。ドラグノイドやってしまいなさい!」


「ガアアアアアアア」



 奴との会話を少しでも引き延ばして情報を集めていこうとしたのだが、相手もそれを理解しているのか、すぐにドラグノイドをけしかけてきた。その命令に従うように咆哮を上げたドラグノイドから火のブレスが放たれる。それを結界を使って防ぎつつ、このあとの戦い方を組み立てていく。



(ああ、超解析で調べるのを忘れていた。いかんいかん、強くなりすぎると相手の能力を調べることをすぐに怠ってしまう。てことで【超解析】)



 自身の普段の行動を省みつつ、俺はすぐに超解析でドラグノイドの能力を調べた。そして、返ってきた結果に俺は目を見張ることになる。




【名前】:ドラグノイド


【年齢】:不明


【性別】:不明


【種族】:異形種


【職業】:なし(SSSランク)



体力:2000000


魔力:3000000


筋力:SSSA


耐久力:SSSA


素早さ:SSSB+


器用さ:SSSB-


精神力:SSSC


抵抗力:SSSD-


幸運:SSSC-



【スキル】:闘気術LvMAX、魔導の深淵Lv5、火魔法LvMAX、炎魔法LvMAX、極ブレスLv4、超飛翔LvMAX、


 超集中LvMAX、超威圧LvMAX、魔法耐性LvMAX、物理耐性LvMAX、毒無効LvMAX、麻痺無効LvMAX、幻惑無効LvMAX、パラメータ上限突破Lv3



【状態】:なし





 ……なん、だと? 俺よりもステータスが上だというのか!? これは、久々のピンチというやつではないだろうか。



 現在の俺のパラメータはすべてSSS+で止まっている。そして、今回の相手であるドラグノイドが持つ【パラメータ上限突破】のレベルは、俺よりも1高いレベル3となっていることから、俺よりも高い能力を持つに至ったというのは何となく理解できる。だが、納得できないことが一つあるとすれば……。



「何故、このタイミングなんだ!? もっと相応しいタイミングがあっただろうが!!」



 まるで、そろそろピンチが必要なんだけどそういったことを入れることを忘れてしまっていたため、急遽入れることにしましたと言わんばかりの展開ではないか。解せぬ。実に解せぬ!



「ガアアア」


「くそ」



 再びブレスが放たれるが、今度はそれを結界で防ぐのではなくそのまま飛行魔法を使って回避する。相手が格上である時点でその攻撃を受け止めるなどという無謀なことはできないという判断したからだが、これが功を奏した。なんと最初に吐いたブレスよりもさらに勢いと威力が強いブレスをドラグノイドが吐き出し、さらに周辺一帯が火の海から炎の海へとグレードアップしたのだ。



 今のをまともに受けていれば、おそらくは俺の結界を突き破って俺に少なくないダメージを与えていたことだろう。実に危険な攻撃であった。



「ふふふふ、さすがのあなたでも僕が生み出したこの究極生命体【ドラグニール】には勝てないようですね」


「さっきと名前が違うじゃねぇかよ!!」



 クラウェルの言動に思わず突っ込みを入れる。さらに腹の立つことに、先ほどまで超解析で調べた結果が奴の言った名前に変化していたのだ。何が究極生命体だ。そんなこんにゃくゼリーみたいな軟体動物が究極の生命体であってたまるか!



「ちぃ」



 ブレスが俺に通用していないことを感じ取ったドラグノイド……もとい、ドラグニールは攻撃手段を直接戦闘に切り替えたらしく、俺に迫って来る。そのスピードは圧倒的であり、視界の端で捉えるのがやっとであった。



 奴から繰り出された攻撃はただの物理的な攻撃であった。しかしながら、その巨体から繰り出される理不尽なまでの物量はだたごとではなく、急所を避けるため咄嗟に左腕でガードしたが、その左腕が衝撃で引き千切れてしまった。さらに、運の悪いことに千切れた腕が轟々と燃え盛る炎の海へと飛んでしまい、そのままただの消し炭と化してしまった。



「おやおや、大事な左腕が千切れ飛んでしまいましたね。いよいよもって、これであなたともお別れの時が近いようですね」


「……言ってろ」



 状況的には左腕を失い、かなりのピンチだ。というか、今までの楽勝モードが嘘のようにピンチである。だが、時間が経つにつれていろいろとわかってきたこともある。それを確かめるべく、ピンチの中俺はいろいろと試すことにした。

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