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288話「SSランク冒険者」



「な、なんで、シコルルが……」



 自分の腕の中でもがき苦しむ同性の部下を見て、訳が分からないといった様子をララミールが見せる。その答えは至ってシンプルで、要は身代わりの術である。



 ギルドマスターの部屋まで案内してくれたのは他でもないシコルルであり、当然彼女も一緒になってララミールがいる部屋へと入っている。さらに言えば、ララミールが暴走している最中も俺のすぐ傍にいた。



 このままではまずいと感じた俺は、すぐ傍にいたシコルルの手を引き、ララミールが襲い掛かってくる瞬間を狙って、俺と彼女との間に割り込ませる形でシコルルを盾にしたのである。



 それに気づかず、ララミールはシコルルを抱きかかえる形となり、俺はあの乳プレスから難を逃れることができたのであった。



「う~、ローランド君酷いですよー」


「不可抗力だ。文句なら、その発情ダークエルフに言え」



 シコルルの抗議の声をそう切り返した俺は、未だ膨れっ面を顔に張り付かせたララミールに言い放つ。



「そんなことよりも、早くSSランク冒険者がいる場所へ案内してくれないか? こんなくだらない茶番を続けるなら、帰らせてもらうが」


「今日のところは引き下がるけど~、次は逃がさないわよ」



 などと宣うララミールの言葉を黙殺した俺は、ようやく彼女の案内でSSランク冒険者たちが集まっているという会議室へと案内されることになった。



 案内された部屋に入ると、そこにいたのは女二人男一人の合計三人の冒険者だ。三人とも、只者ではない雰囲気を纏っており、俺が入ってきた瞬間場の空気が重くなるのを感じる。



 すかさず、俺は自身の持つスキル【超解析】を使い、三人を鑑定すると、返ってきた結果は以下の通りだった。




【名前】:マリーン・ガリバリス


【年齢】:24歳


【性別】:女


【種族】:人族


【職業】:魔法使い・冒険者(魔道を極めしマジックマスター・SSランク)



体力:160000


魔力:461000


筋力:SF


耐久力:SE


素早さ:SD+


器用さ:SB-


精神力:SA


抵抗力:SS-


幸運:SB-



【スキル】: 超解析Lv2、身体強化・改Lv6、魔道の極意Lv2、共通魔法Lv2、自然魔法Lv2、


聖光魔法Lv7、漆黒魔法Lv5、並列思考Lv2、パラメータ上限突破Lv1



【状態】:なし





――――――――――――――――――――――――






【名前】:ガイモン・マルティネス


【年齢】:33歳


【性別】:男


【種族】:人族


【職業】:戦士・冒険者(大戦士ベルセルク・SSランク)



体力:560000


魔力:161000


筋力:SA+


耐久力:SA


素早さ:SD+


器用さ:SC-


精神力:SB


抵抗力:SE-


幸運:SB-



【スキル】:闘気術Lv2、戦闘術Lv2、魔力制御Lv6、魔力操作Lv6、火魔法LvMAX、炎魔法LvMAX、


超威圧Lv2、パラメータ上限突破Lv1、限界突破Lv2



【状態】:空腹(極小)





――――――――――――――――――――――――――――――






【名前】:マチルダ・インク


【年齢】:26歳


【性別】:女


【種族】:人族


【職業】:トレジャーハンター・冒険者(秘宝探求者トレジャーシーカー・SSランク)



体力:360000


魔力:261000


筋力:SB


耐久力:SC+


素早さ:SA+


器用さ:SA-


精神力:SB


抵抗力:SB-


幸運:SA-



【スキル】: 身体強化・改LvMAX、魔道の心得Lv6、水魔法Lv7、風魔法LvMAX、土魔法Lv8、氷魔法Lv6、


雷魔法Lv5、大地魔法Lv5、超集中Lv8、短剣術LvMAX、格闘術Lv9、威圧Lv3、パラメータ上限突破Lv1



【状態】:なし





――――――――――――――――――――――――




 総評としては、やはりSSランクということで他の人間よりも高ステータスではあるものの、俺には遠く及ばない。SSランクということで、あのロリババアことナガルティーニャ並の能力なのかと予想を立てていたのだが、どうやらあんな化け物はなかなかお目にかかれないらしい。



 三人の見た目は、青い髪のショートヘアーに緑色の瞳がマリーンで、茶色い髪の短髪に青い瞳がガイモン、最後に赤い髪のポニーテールに黄色い瞳がマチルダだ。



 体型を言うならマリーン、ガイモン、マチルダの順に巨乳、マッチョ、スレンダーといった具合で、今言った特徴以外に特質するべきものはない。



「なんだよ、ただのガキじゃねぇか。新しいSSランクの冒険者が出たと聞いて来てみたが、とんだ無駄足じゃねぇか」



 室内に設置されている長机に両足を乗せながら両手を頭の後ろで組んでいる男が、開口一番そんなことを口にする。そりゃあ、いきなり成人もしていないような少年が現れれば、そんな言葉が出ても不思議ではない。



 一方の女性陣といえば、こちらを品定めするような視線と同時に警戒するようなそぶりを見せる。そして、そのうちの一人マリーンが突如として狼狽え出す。



「そ、そんな。そんなことが……」


「あらあら、どうしたのマジックマスターさん。珍しく動揺しているようだけれど?」


「いつもすかしたような顔をしてるお前なのにな。どうしたんでぃ乳娘?」


「あ、あなたは一体何者なのですか!?」



 マリーンの狼狽えように珍しいものを見たとばかりにガイモンとマチルダが問い掛ける。彼らの問いに答えることなく、マリーンは俺にそんな質問を投げ掛けてくる。



 彼女が何故狼狽えているのか? その理由はなんとなく推測できる。彼女を解析した際、彼女が習得しているスキルの中に俺と同じ【超解析】が存在しており、それを使って俺の能力を調べようとしたのだろう。だが、その結果得られたものは鑑定できないというものだった。



 鑑定系のスキルによって結果がわからない条件は以前にも言及しているが大体三つで、一つが鑑定を使った人間よりも相手の能力が上だった場合、もう一つが鑑定系スキルのレベルよりもステータスをごまかす隠蔽系スキルのレベルが高い場合、最後が鑑定系スキルを使っても看破できない高位の魔道具を使っていた場合である。



 そして、この三つの条件の中で最も可能性があるとすれば、一番最初の自分よりも格上の相手だということだ。隠蔽系スキルや高位の魔道具は習得や入手自体が困難であり、それを所持しているというのはめったにない。それこそ、王族や爵位の高い貴族くらいなものだ。



 だからこそ、今回の結果を見てマリーンは恐れおののいた。“自分の【超解析】でも見抜けないということは、ここにいる誰よりも高い能力を持っているということだ”ということになるのだから。



「俺はローランド。お前たちと同じSSランクになった冒険者だ」


「へっ、お前みたいなちんまいガキがSSランクになれるたぁなぁ。冒険者ギルドも焼きが回ったってことか」


「まったく、あたしも攻略しているダンジョンを中断してここに来ているのにいい迷惑だわ」


「二人ともやめなさい。この子を……いえ、彼を怒らせてはいけないわ」



 ちょうど、マリーンに聞かれたということで、自己紹介をしてやると彼女以外の二人は俺を小馬鹿にしたような態度を取ってくる。俺の能力をある程度理解できたマリーンは、二人の言葉を聞いてそれを諫めようとするも、そもそもSSランク冒険者が他人の意見を聞くような物分かりのいい人間ではない。



 彼女の言葉も虚しく俺が子供というだけで能力がないと決めつけてくる二人にいい加減嫌気が差してきたところで、ララミールがある提案をする。



「なら~、ローランドくんと模擬戦をしてみるっていうのはどうかしら~?」


「なに?」


「あたしたちが、この坊やと? 面白い冗談ね」


「わ、私は辞めておくわ。殺されたくないもの」


「「はあ?」」



 ララミールの突飛な提案に、少し真剣な表情になるガイモンと呆れた顔をするマチルダだったが、二人の顔はマリーンの言葉によって素っ頓狂な顔となる。



 こと戦闘において、冒険者の中でも現最高峰と言われているSSランクということもあり、三人は絶対の自信があった。そんな中、三人の中で最もプライドが高いであろうマリーンが俺との模擬戦を辞退するということに驚きを隠せなかったらしい。



「おいおい、マリーンさんよぉ? こんなガキになにビビってんだ?」


「そうよ、ここは後輩を指導してあげるのが先輩としての役目じゃないかしら?」


「何と言われようと、私は彼との模擬戦は辞退させてもらう。私はまだ死ぬわけにはいかないから」



 ガイモンとマチルダの挑発に乗ることなく、頑なに俺との模擬戦をマリーンは辞退しようとする。それはある意味では正解だが、一つだけ勘違いしている点がある。それは、俺自身模擬戦をすることを了承していないということだ。



「おい、俺はお前らと模擬戦することを了承してないぞ」


「へっ、なんだよ坊主。俺様と戦うのが怖いってか」


「悪いことは言わないから、辞めておきなさい」


「マリーンこそなんなの? SSランクとしてのプライドはないわけ?」



 俺の言葉に突っかかってくるガイモンをマリーンが止めようとする。そこにマチルダが加わり、収拾がつかない状態へとなってしまっている。



 こんな状態にしたララミールに視線を向けると、申し訳なさそうな顔をして目で謝ってきた。仕方がない、ここはわからせてやるとするか。



「そこまで言うならいいだろう、戦ってやる」


「ふ、そうこなくちゃな」


「格の違いを教えてあげるわ」


「……」



 こうして、いつものパターンと言わんばかりに彼らとの模擬戦が行われることになったのであった。

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