ボルドー液
10日後にボルカ司祭と再びボルドー村を訪れると、男性には笑顔が浮かんでおり。
「司祭様ようこそお越し下さいました」
そう言って司祭と私をブドウ畑に案内していく。
遠目ではわからなかったが以前訪れた時には多くの葉が白い斑点が付着していたのだが、液を塗った物は斑点が少なかったりなくなっているものがあった。
「これは凄いですね、ここまで効果があるとは」
「司祭様ありがとうございます、これで今年もブドウの収穫が出来ワインが作れそうです」
「お礼は私ではなく、こちらのルークさんにお願いします。彼がこの薬を準備したのですから」
「商人の兄ちゃんありがとな」
男性にお礼を言われ、あとは最適な濃度を調べるためにも経過観察が必要とボルカ司祭に伝える。
「そうですね、あとは教会の方で経過は確認しておきます」
その後ブドウ畑の記録をとり終えた後は町に戻って、ボルカ司祭と別れエドの工房に向かう。
「エド薬は成功したぞ、あとは収穫まで問題なければこの薬を商品として売っていく」
「本当か!?やったぞ僕の作った物が世間の役に立ったんだから、これで父や兄達を見返せる」
エドはこの10日間の間に彼の父に私の商会で働くことを話に行っていた。
その場にはエドの父と兄の3人での話し合いであったが、何の役にも立たない錬金術を馬鹿にしていた父や兄に商会で働くことはあっさりと認められ、エドの工房の家賃に関しては今後私が払うことで大きな問題とはならなかった。
薬の効果は実証できたため、あとは経過観察で問題なくブドウが収穫できワインの醸造を行い味に問題が無ければ本部に正式に特許申請をするという話になった。
この日からエドには硫酸銅を大量に製造してもらうこととなった。
後日、ボルドー村のブドウの収穫が終わりワインも問題なく醸造し味の確認が行われ、このべと病に使われた薬はボルドー村で最初に使われたことからボルドー液と呼ばれるようになり。
ライン王国をはじめ多くの国で使われるようになり、数年も経過するとボルドー液を最初に作った商会には多額の特許料が舞い込んでくることとなった。
この時点では商売はしていないので、商会は作っていないです。
ボルドー液:1870年代にアメリカからフランスにべと病の原因となる菌が入り、フランス全土で大被害を出しました。1882年のフランスのボルドー大学の教授が、盗難対策に硫酸銅と石灰を混ぜた街道沿い(奥には塗っていないので被害があった)にあったブドウに当時流行していたべと病がかかってないことが発見され、硫酸銅と石灰を混ぜたものをボルドー液と呼ぶようになった。現代のフランスでもブドウの半数以上にはこのボルドー液が使われています。




