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教会

 キール教の総本部はキール神聖国にあり、教皇を頂点とし組織体制となっており各国に多大な影響力を持っている。

 キール神聖国は当時ナンクル男爵家の3男であったナウザが、キールに弟子入りし彼に多くの事を学んでいたが、当主であった父と兄2人が流行り病で亡くなると男爵家に戻り当主として男爵家の政務を執ることとなった。


 当時は2圃式農業であったが3圃式農業や農業地の集約などを導入するなど、数々の改革を実施し男爵領の経営を向上させていった。

 他領では流行り病で労働力が不足し、農業生産が大きく落ち込んだ状況であっても税の取り立てを通年通り行い、領民の逃散が相次ぎ農業生産のさらなる悪化により飢饉が発生した。

 近隣での飢饉の発生に事態を重く見たナウザは軍を差し向け、飢饉の発生により食料が不足した他領ではナンクル男爵軍に抗うことが出来ず次々と平定されていった。

 ナウザは飢えた人々に食料を配布し次々と領土を拡大していき、何の対策も打てずに国内を混乱させた王家を打倒し王国樹立を宣言した。


 国名を師であるキールから名を借りキール神聖国と名乗り、キール教を国教としナウザ自身が教皇となり運営を行っていくこととなる。

 神聖国では知識や発明により周辺国よりも豊かになり、他国でもキール教を信仰する者が増えていった。

 神聖国ではキールの弟子達も多くが移り住み、様々な知識や発明を他国に特許料を支払えば使用することを認め、払わない者や国に対しては武力や経済制裁を行い取り立てを行った。


 各国の領主たちはキール教の知識や発明を自領で利用するために、寄付などを通じて教会の誘致を行い多くの町では1つは教会があるのが現状だ。


 そんなキール教は町では孤児院を運営し、文字や計算などを庶民に教え、保有している多くの書物の閲覧も許可していた。



 王国にある教会を訪れると教会の中では聖人キールの像や肖像画があり、像に向かい祈る者などがいた。

 教会の関係者は染色をしていないローブを着用しており、関係者に話をすることにした。

 「すみません、寄付と書物の閲覧をしたいんですが」

 そう言って教会の人に金貨10枚が入った小さな袋渡す。

 「寄付をありがとうございます、書物の閲覧はこちらになります。付いてきてください」

 彼の後をついていくと部屋いっぱいにある棚に並んだ書物が詰め込まれていた。

 「どういった書物をお探しですか?」

 「特許関連で最近発明された物なんかを中心に調べたいのですが」

 「わかりました、この棚が特許関連ですね。新しいものですとコークスと缶詰は比較的新しい特許ですね」

 「ありがとうございます」


 彼の言うコークスは石炭を乾留した物質で、木炭の代わりとして近年使用量が増えていった。

 王都近郊にはかつて豊かな森ががあったため木炭を作り、川を利用し運搬してきた鉄鉱石と木炭によって製鉄業が盛んであった。

 しかしドブルクとの戦争により鉄の需要が一気に増大したことにより、木炭の消費量が飛躍して増加し、広大な森が消滅の危機にあった時に石炭を乾留してコークスを作り出す事を王都の鍛冶ギルドが発明し、王都の製鉄業はさらなる生産量増加につながった。


 缶詰はトマトが新大陸から入ってきたときに夏にしか食べれないため、長期保存できるように開発された瓶詰めを、ガラスでは割れる可能性があるガラス瓶から生産量が増え価格の下がった鉄を利用して輸送に便利な缶詰が発明されのだ。

 ただ缶詰はこの世界には缶切りなどが発明されておらず開封するのが力仕事となるため、長距離の移動で食料の確保が困難な船乗りの食事として缶詰は利用されている。


 そんな特許の情報をいくつも調べる為に、教会に通う日々を過ごしていた。

瓶詰めはナポレオン遠征の食料補給問題で開発され、その6年後に瓶は重いので缶詰が発明され翌年イギリスの陸海軍に納入が開始されました。

初期の缶詰はタガネやハンマーなどを使い開けるのに時間がかかり、船乗りなどが利用する程度で、その後に熱で開ける方式がかいはつされたりして、缶詰誕生の50年後に缶切りが発明されました。

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