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春市

 クルルートの町を出てレーベン侯爵領に向かい騎馬で街道を駆け抜け、3日ほど走りレーベン侯爵領にたどり着いた。

 クルルートの町を出て大きな街道に出ると商人の往来が増えた事で街道沿いの町や村では宿の確保が困難だったため、レーベンへの街道から少し外れた村により軒を借りる事となった。

 主要な街道から少し外れると商人の姿はほとんど見えず、宿の確保に困ることはなかった。


 春市は侯爵領のバーリフの町で開催されており、多くの人で溢れかえっていた。

 バーリフの町は多くの者からバーリフと呼ばれることはなく、レーベンに住まう者やそれ以外の者達からも春町と呼ばれることが多いという話だ。


 バーリフでは川に面した町の大広場に市が開催され、春市では毛皮・羊毛・油などが多く取引されており、ライル王国以外の物ではワイン・砂糖・香辛料といった物も市場では取引されている。

 商人達は商品を見て・嗅ぎ・触る事によって品質を確かめ価格の交渉を行い、取引を終えた者が去れば新たにまた商品が出てくるといった感じで賑わいが消えることはなった。


 そんな商人達を相手に商売をする屋台が多く並び、その中には複数の店舗が私が去年売り出した唐揚げやチキンカツを商品とする屋台も存在した。

 バーリフの町にもコッコ屋の支店があり多くの行列が並び、この町でも人気の店となっていた。


 賑わう市を歩き商品を見て回っていると気になるものがあった。

 「すみません、この茶色の液体は何ですか?」

 「お兄さん、ガルムを見たことないのかい。これは魚の内臓を塩漬けにして何カ月も寝かせてろ過した物で調味料として使うんだ」

 「田舎育ちでね、初めて見たんだよ1つ貰えます?」

 「1つ1,000Rだよ」

 そう言われ、金貨10枚を渡す。

 20Lほど入る壺を受け取り、また他の店を物色していていき腹がすいたので近くの屋台に行ってみる。


 適当に屋台で食べ物を買い何人かが地べたに座り食べているので同じように空いてる場所に座り食べていると話声が聞こえた。

 「ハルマのワインは今年はどうだろうな?」

 「駄目だろうな、去年よりひどくなるかもしれん」

 「ハルマも酷いが、各国も酷い状況らしくて教会が解決させた者には莫大な褒美を与えるという話だ」

 「教会も高位の者達はワインしか飲まないから、俺たちの様にエールなんて飲まないからな」

 「当分はワインも値が下がらんな」

 「この数年ハウンドで蜂蜜の生産が増えて価格が下がったと思ったら、ブドウの不作でワインは上がる一方だからな」

 他にも商人たちが集まり、各地の相場や噂話なんかをしておりこういった場所で各地の情報を仕入れるのだと理解した。


 バーリフでは数日滞在し各地の話や相場などを聞き、王都に向かうことにした。

各地からいろんなものが集まるという設定にして醤油や魚醤もあったらこの先話が広がる可能性がと思い調べると、古代ローマから使われていた調味料としてガルムがあったので登場したけどもうださないかも。

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