目的地の変更
宿に戻り豪勢な食事を堪能しようと食堂に行きマリーメイアに料理を持ってきてもらった。
「バーミントン特製料理だよ、たーんと味わいな。それでこれからどうするんだい?商人になってどこか他の町に行くのかい?」
「ありがとう。とりあえず王都に行っていろいろな物を見て回ろうと思うんだよ、各地でどんなものが作られているのかも興味あるし、ライル王国以外の国にも行けたら行ってみたいと思う」
「あんたの事だからちゃんと考えているとは思うけど、何年かに1度は兄さん達にも会いに行くんだよ」
そうするよと、答えようとすると横から
「兄ちゃん商人になったらな、レーベンに1度は行ったほうが良いぞ」
酔っ払いの商人らしき男が絡んできてそう言った。
「レーベンですか?どういったところなんですか?」
「レーベンってのはなぁ、アレだ、そうアレだよアレ」
「あれじゃあわかりませんよ、マリーメイアさんこちらの男性に御代わりをお願いします。私の方で払うので」
「おっわかってるじゃあねぇか、レーベン侯爵領にある都市でな王都に2日ぐらいで行ける距離にあって街道や河川が複数交じり合う町だ」
「レーベンの大市は春夏秋と年に3回開かれているだが、1カ月以上と長い市を開催することで東西南北の商人達が馬車や船を利用してレーベンで集まり売買してるんだよ」
「レーベンに行けば王国で売っている物はすべて手に入るって言われるぐらい何でも手に入る、商人なら1度行ってみないとな」
「珍しい物やこの国で採れない物も手に入るが、商人とっては1番重要な情報が手に入るのが大きいわな」
「各地で気候が違うだろ、今年はどこの領は雨が多かった、日照りが続いた、戦争が起きたとかの相場に関する情報もレーベンで手に入る。商人になったなら1度入ってみな」
「この町で作られてる油や服なんかも、俺たち商人によってレーベンに運ばれてるんだ。もう春市は開催しているが、1カ月もあるから今から行ってもまだ間に合うぞ」
「ありがとうございます。王都に行く前にレーベンに寄ってから行ってみます」
まずは王都に行ってから考えようと思っていたが、彼の話を聞き行き先をレーベンに変更することにした。
目的地のレーベンはここから200kmほど離れているようで、徒歩や馬車であれば7日ほど馬であれば3日で着くということなので途中の村で宿を借りながら向かった。
当時ヨーロッパで最大の10万人都市パリに近い距離にある、シャンパーニュの大市みたいなものです。毎年6つの町で7週間に及ぶ大きな市を順番に開催して経済を活性化させた歴史です。




