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15歳

 何年前だっただったかは忘れたが、家族に将来のことについて話していたことを思い出す。


 「どうして領に残らないで出ていこうとするの!」

 「クラン認めてやったらどうなんだ、それに帰ってこないわけじゃないんだ」

 「今はこの領も肥料によって麦の収穫量も増えて生活も大きく改善されたけど、他の領地でも年々生産量が上がって麦の価格も大きく下がっているし、蜂蜜にしても同じような状況だよ」

 「木炭だって今じゃあ誰も買わない。鍛冶屋だってコークスの方が火力も強いし安いからそっちを買って木炭は村でも作ってなくてないんだよ」


 「ルークの言う通りだよ、商人達が言うには船を使って大量輸送できれば買取価格も少しは上がるらしいけど、領に面している海岸は遠浅で喫水の深い大きな船がつけれない今のままだと陸路の輸送の身になって買取価格は年々下がる可能性があると言ってた」

 「兄さんの言う通りまだ下がる可能性がある。だから僕はこの領を出て、この領で使える新しい何かを見つけに行きたいんだ」

 「その手段が商人と言うわけか?」

 「商人は情報に聡く、彼らとの交友関係はいつかこの領の為にもなると思うんだよ」

 「僕も嫡男じゃなければ、ルークと同じことを思ったかもしれない。僕はルークの道を応援するよ」

 「わかった、商人になることを認めよう。父さんもそれでいいですね?」

 「ワシには難しいことはわからん。ルークの好きなように生きたらええ」



 この世界に転生していろいろあったけど、生まれた頃よりこの村や領の皆の生活もよくなってるとは思うけど前世と比べれば良い面も不自由な面もいろいろとある。

 辺境にあることで人の往来が少なく、男爵領に立ち寄るのは商人だけで人口が増えない。

 今この村で作れるものは、他の地域でも作れるような物しかなく、辺境にあるこの領では他の地域で作られれば輸送コストで太刀打ちできない。

 大型船舶が寄港できる港を作れれば、輸送コストが抑えられ穀物の様に重たい商品も多量に輸出できるようなる。

 港を作るための知識はあるが2000人もいない領では港を作るための労働力もなく、他領から集めようにもそれだけの資金もない。


 今は他領でも麦の生産量が増えたことでこの村で重たい麦を買う商人がいなくなった事で生産量を減らし、アブラナやヒマワリの生産を増やし種をクルルークの町に向かう商人に売ることで経済は回っている。

 この領では人口なんてほとんど増えていないのに、クルルークの町では加工できる種が増えたことで、油の生産量が増え搾油業で働く労働者が近隣の町から流れ込んで今では3000人を超えている。

 5年前に初めて行ったときは人口500人だったのに、今では6倍にまで増えている。

 労働力の不足した搾油業で賃金の上昇があり転職する者が出て、転職させないように他の業種も賃金が増えた結果、高い賃金に魅力を感じた物達が他領から流れ込み、他の服・靴・飲食・賃貸といった業種も人口が増えたことで消費が増えたことで好循環になり人口が増えた経緯がある。


 明日はこの領を出て旅立つが、まずは王都を目指して進んでみよう。

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