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10歳

 レンガで舗装された街道を祖父と馬で駆けていきアキタ村から30kmほど離れたクレント男爵領のクルカ村には3時間ほど駆け昼前には到着した。

 少し休憩した後このまま走り続けてクルルートの町を目指してもいいが、他領の村も気になるため本日はここで一泊することにしている。

 「これはようこそお越しくださいましたランディッシュ様、今晩はこちらでお泊りで?泊りであればいつもの空き家をご利用ください。食事などはいつものようにそちらにお運びしますね。こちらの方はお孫様でしょうか?」

 「うむ、今日はこの村で泊まろうと思っておるので世話になる。この子はわしの孫でなセイムの3男坊じゃ、いつも通り食事の方も頼む」

 そう言って祖父はこの村の代官であるハールトンに銀貨5枚を渡す。

 「いつもありがとうございます」


 ハールトンの屋敷を離れた私達は馬を引き連れ、村の厩舎に預け空き家に向かった。

 空き家は小さな建物だったが2人では十分な広さを感じ、ほこりが積もっていることも無く定期的に清掃なども行っているようだった。

 「少しこの村の様子を見てきますね、ハウンド家以外の村は初めてなので」

 「夕暮れまでには帰ってくるんじゃぞ」

 「はい」と祖父に返事をし村内の物色に出かける。

村は特に目新しい物も無く、2時間ほどぶらつき空き家に戻り休憩していると食事を村人が持ってきており祖父と食べその日は就寝した。


 翌朝日の出とともに村を出て、朝の早い時間にクルルートの町に到着した。

 町は石造り2mほどの高さの壁に囲まれ、村と違い2階や3階といった高い建物が目についた。

 町の入り口の門には門番などはおらず、入市税といったものも要求されることはなく何事もなく騎乗したまま町に入るると

 「まずは宿をとらんとな」

 そう言って祖父は1軒の2階建ての建物に向かった、建物の近くに来ると祖父は馬から降り、祖父が馬から降りたため私も降りると手綱を渡し

 「ちょっと待っとれ」

 と言って扉を開け中に入っていった。


 しばらくして祖父が出てくると、手綱を取り

 「こっちじゃ」

 と言って歩いていくのでついていくと、厩舎がありそこに2頭の馬を入れまた先ほどの扉に向かい歩き出し中に入っていく。

 扉の先には年配の女性がおり、女性が私に声をかけてきた。

 「はぁー、兄さんの子にしてはしっかりした顔つきをしてるじゃないか」

 「クルトもしっかりしてたじゃろ、何も考えてなさそうだったのはノヴァくらいじゃろ」

 「それもそうかもね、私はあんたの父の妹でマリーメイアだよ」

 「初めましてルークです」

 「今日はここに泊まるから部屋に荷物を置いたら町を散策しよう、マリーこの町のおすすめとか何かないかな?」

 「父さん特に変化なんてない町だよ、晩飯は私がパスタを作ってやるよ」

 「おぉパスタかあれは美味いんじゃ、晩飯を楽しみにしているぞ」

 祖父がそう言うと、部屋に荷物を預け町に出かける。


 歩きながら祖父にこの町の事を聞いていくと、クルルートの町は人口500人ほどの小さな町で周辺の村で採れた羊毛や麻などの繊維から作った布を服などに加工する縫製業や、ゴマやアブラナの種から採油する職人が多位という話だ。

 広場にやってくると市が開かれ月に3日ほど開催しており、市を狙ってこの町に来たと祖父が言う。

 市ではこの村で作られた服などの加工品や、油が販売されておりそれを商人が価格の交渉を行うやり取りが多く散見された。


 中には香辛料や蜂蜜などが少量販売されており、価格を見てみると胡椒は10g(グラム)で金貨28枚や蜂蜜は1L(リットル)金貨2枚と銀貨5枚で販売されていた。

 アキタ村の養蜂は軌道に乗っており、現在200を超える巣箱で4,000㎏の蜂蜜を採取できており1㎏金貨2枚で行商人に販売し金貨8千枚の収入となっている。

 重箱型巣箱によって越冬できる蜂が増え年々増加した結果で、村にある巣箱を見た商人達によって他の地域でも巣箱が置かれているが、できた蜂の巣を全て撤去しているため越冬できる蜂がいないため他の地域では生産量の増加にはなっていない。


 市場を散策し宿に戻り部屋でくつろいでいると

 「そろそろ晩飯を食いに行くか」

 「そうだね、他領のパスタなんて初めてだからきになるよ」

 そう言って宿の食堂に向かうと、食堂には市を目当てに来た商人たちが大勢いてパスタを食べていた。

 「おっ来たね、じゃあ用意するから空いてる席に座ってて」

 そう言ってしばらくすると2つの皿とコップをマリーメイアが運んできた。

 「バーミントン名物カルボナーラだよ、こっちはエールとミルクだよ」

 「これじぁこれじゃさっそく食べよう、パスタは濃厚で美味いのう。教会の作ったホップの効いたエールも格別じゃ、村では味わえんからな」

 「こんな美味しいの初めて食べたよ、このカルボナーラなんてソースに絡まって凄く美味しいよ」

 「そうかい、十分堪能しな。うちは夫のバーミントンの作るパスタが名物なんだから」


 食事を堪能した次の日も市に出かけ家族から頼まれていた物を買い、その日もバーミントンの作る夕食を堪能した翌朝

 「お世話になりました、ご飯凄く美味しかったです」

 「そうかい、また町に来たらうちを利用しな」

 「じゃあそろそろ行くか、マリーも元気でな」

 そう言って祖父は金貨4枚をマリーメイアに渡し宿を出て、パン屋で休憩時に食べるパンを買い町を出ると何度か休憩を挟みその日のうちにアキタ村に到着した。

 家に着くと町での話を家族と話し、自分の今後について考えていった。

エンデュランス馬術競技から80kmを7.5時間、60kmを5時間で走破しているので参考にしました。

塩1㎏の値段を銀貨2枚(2千円)と想定して、フランスでは塩の約140倍が胡椒の相場らしいので金貨28枚。

砂糖は胡椒よりちょい高く、蜂蜜は砂糖の1/10が相場だったみたいです。

砂糖>胡椒>>蜂蜜>>塩

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