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領内の現状

 前世の日本人としての意識が目覚めてから1年ほど過ぎただろうか、今ではヨチヨチ歩きだが移動もできるようになり言葉も理解し話せるようになった。

 今は自由に動き回れるのは家の中だけだが大人が一緒にいれば外にも出歩けるようになりいろいろとわかることがあった。


 暦について1年は360日であり30日で1月となり、1年は12月からなる。


 ハウンド男爵家の3男としてキール歴195年11月3日に自分は生まれたようで名前はルークという。

 家族は父セイムと母クランに父方の祖父ランディッシュと祖母キャリーに兄弟が長男クルトと次男ノヴァと長女ユーナで父が現在のハウンド男爵家の当主だ。


 家の中に電気・水道・ガスといった物は見当たらず、水は井戸から料理は薪の火で調理をし、家の外にも車や自転車なんてものはなく徒歩か馬などの家畜に乗っての移動が基本のようだ。


 ハウンド男爵領には約50世帯約300人ほどの本村と約20世帯約50人ほどの村が2つあるだけで町と呼べる規模の集落なんての物はないみたいだ。

 まぁ自分は本村の外には出たことが無いから他の集落に関しては話だけで見たことはないんだけど。


 ハウンド男爵領は辺境にあるようで商人なども寄り付かず領内では貨幣があまり流通しておらず、物々交換でのやり取りがメインとなっている。

 辺境のために商人が領内に来ないので必要な物は自分達で近くの町に買いに行く必要があり、領内で取れた産物をここから3日ほどの距離にあるクレント男爵領の町で売り必要な物を買って帰るというわけだ。

 

 ハウンド男爵領は開拓して30年ほどしか経っておらず農地も思ったより広くないようで、家から見える範囲でも未開拓の広大な森が残っている様だ。

 農地では小麦や大麦などの穀物や野菜などを生産し、牛・馬・ロバ・羊・豚・鶏などの家畜を飼育している。


 ライル王国内では三圃式農業が主流となっており、農地を秋蒔き・春蒔き・放牧地の3つに分けて管理する方法で村落で農地を共同管理している。

 3圃式農業は1年目の11月に秋蒔きの小麦を蒔き2年目の6月に刈入れ、3年目の4月に春蒔きの大麦やエン麦(えんばく)を蒔き10月に刈入れた後はクローバーを蒔き放牧地としこの繰り替えしを行う農法だ。


 ハウンド男爵領には90ha(ヘクタール)ほどの農地が現在あり、それを3つに分けて運用している。

 90haの面積はたて×よこが1000m×900mの大きさだが農道が通っていたりで細分化されているのでそのままの形ではないが、そこに秋蒔き・春蒔き・放牧のローテーションを行っている。


 本村の共同農地で1年に採れるおおよその量は小麦が30haで3万㎏、大麦が25haで3.7万㎏、エン麦は飼料などとして使うので茎ごと刈入れ10haで7万㎏となる。

 農地は年々拡大はしているとのことだが、隣接している森の木を伐採しなくては農地としては使用できず。

 前世の様にチェーンソーで数分で簡単に切れるというものでは無く、斧によって伐る重労働となっている。


 食事は領内では小麦も栽培しているが、領内での主食は大麦となっている。

 小麦は町に売りに行くことが多く、領内では5日に1度の頻度でパンが焼かれ小麦が村内で消費される。

 

 農地の他に衣類や様々な用途に大麻や亜麻を栽培し、各家庭で家庭菜園を持っており野菜を栽培し、家畜に関しては村で共同で管理しているが所有権は領主である父が持っている。


 ハウンド男爵領はライル王国の北部に位置し他領と接しているのは南部のクレント男爵領とだけであり他は海に面した半島となっている。


 気候を前世に住んでいた瀬戸内海と比べれば夏季は蒸し暑くはなく、冬は外に出している桶の水が凍っているため氷点下を下回っていると思う。

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