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5歳2

 トサ村を出て川沿いの道を上流側に馬で駆けていく、馬は400㎏ほどの騎乗用の小型馬で乗馬の訓練を始めるにあたり気性のおとなしい雌馬を父から貰いうけた。

 アキタ村までは60kmほどなので途中シバ村で休んだあと、アキタ村に向かいかけていく。

 アキタ村には夕暮れ時にに到着し馬を厩舎に連れていき、たっぷりと水と飼料を与え厩舎を離れる。


 馬というのは1日に体重の10%の飼料が必要で、飼料の3倍の水が必要になる。その辺に生えているような雑草を与えても牛・羊・山羊などのような食べた物を胃に送りまた口に戻しを繰り返す反芻を行う動物ではないため消化吸収率が低く栄養価の高い飼料が必要となる。栄養価の高いマメ科の植物が飼料となることが多く、野生種とは違いたんぱく質を多く含む飼料を食べることにより蹄が割れやすく人に飼われた馬は蹄鉄が必要となる。野生種と同じように雑草を食べさせようとすれば、栄養価が低いため何倍もの時間を飼料を食べる時間に必要となる。


 家に入ると母に土産にもらった干物の入った袋を渡し。

 「良かったわ無事に帰ってきて、1人で遠出をさせるのは心配だったのよ」

 「大丈夫だよ、領内には危険な動物もいないし。ノヴァ兄も向こうで楽しくやってるみたいだよ」

 そう言って夕食まで自分の部屋でくつろぎ、夕食時にトサ村の話をしていると。

 「ルークだけずるい、私も魚を食べたい」

 「魚ならお土産にもらったのを今食べてるじゃないですか、危険なので女の子で旅なんてさせません」

 「まぁまぁいいじゃないか母さん、今度は皆でトサ村に行こう」

 「やったー、お父さん大好き」

 「あなたは甘いんですから、まぁわたしも新鮮な魚には興味があったのでちょうど良かったです」

 姉のユーナが魚が食べたいと言ったことで、後日家族で魚を食べにトサ村に向かうことが決まった。


 「ルークはしっかり勉強もできて私が教えた中で1番できる子だけど、何でも1人でできると勘違いしたらダメだよ。まだ幼いんだから大人をもっと頼りなさい。ユーナはちゃんと計算ぐらいはできるようになるんだよ」

 「はい、婆ちゃん。無理はしないようにするよ、できないことは他の人にも頼るよ」

 「簡単な計算ぐらいならできるよ、ノヴァ兄さんが1番勉強できなかったのに」


 翌日になりクレント男爵の3女と結婚し新しく建てた兄の家に向かった。

 「ルーク昨日はお土産の魚をありがとう、ルチアナも喜んでいたよ」

 「別に大したことはしてないですよ、お礼ならノヴァ兄に言ってよ。それよりも前から言ってる町に行きたいんだけど母さんを説得してくれないかな」

 「それでもルークが持って帰って来てくれたんだからありがとう。母さんを説得するのは難しいよ、10歳になるまで我慢しないと、僕も10歳になってお爺さんに連れてってもらったんだから」

 「やっぱり母さんを説得しないと難しいか」

 「こっちも話があるんだけど、去年から少しずつ炭の値が下がってたけど昨日村を訪れた行商人の話で成長の早い樹が新大陸から入ってきて、それが王国中に一気に広まったの原因らしいんだ」

 「炭になるような樹がそんなに早く成長するなんてあり得るのかな?ポプラなら成長も早いけど水分が多く炭にしても中身がスカスカで火力が上がらないって聞いたけど」

 「ポプラじゃないよ、アカシアに似た樹でニセアカシアと呼ばれてるみたいなんだ。行商人の人も1年ぶりに訪れた村に行ったら知らない間に大きな森が出来ていたとか言ってたよ」


 ニセアカシアなら成長が早いのも頷けるな、あの樹は1年で2m近くも成長して種でも増えるし、根萌芽で横方向にも勢い良く成長する。日本でも明治に緑化目的でアメリカから入ってきたが、あまりにも成長が早すぎて処理できなくなり日本の侵略的外来種ワースト100に選定されているほどだ。花以外には毒があり、棘も生えている危ない樹だ。

 「村でも植えようよ、他の木は成長が遅いし薪や炭に使うのに何十年もかかるけどニセアカシアなら数年でいいなら育てるべきだよ」

 「そうだね、薪なんかに使う炭は成長が早いほうが良いからニセアカシアを植えるように父さんと話してみるよ」

 そう言って兄は離れていった。


 私が兄にニセアカシアを植えるように勧めたのは、村で使う薪や炭何かの為ではなく蜂蜜の為である。日本では蜂蜜の4割がニセアカシアを蜜源植物とすると言われ、蜂蜜にとっては不可欠な植物となっている。2年前に作った重箱型の巣箱で越冬できるようになったミツバチ達のさらなる蜜源確保のためにもニセアカシアを植えていこう。


 その後ニセアカシアの種を入手し村で育った樹の種が知らない間に芽吹き、気付いたらニセアカシアの林が出来ていた。


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