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3歳4

 今年の春蒔きの大麦の収穫も無事に終わり村では収穫祭が行われていた。

 春に生まれ去勢され半年育てられた羊の雄を10頭を丸焼きや煮込みなどに調理され、パンや他の料理とともに村人達がエールの入った木製のコップを片手に食していた。

 半年育てられた羊からは20㎏前後の枝肉がとれ、約200㎏の肉は300人を超える村人達を十分満足させる量だった。


 村人達が飲み食いを楽しんでいる時に父が声を出し、村人達の注目が集まった

 「今年も皆の働きに感謝している、皆の働きによりアキタ村の耕作地が拡大したので今後希望する者たちがいれば向こうに移住してもよい。また小麦と大麦の栽培方法についてこれまでと変わる部分が今後出てくるがクルトの指示に従って行動してくれ」

 アキタ村の耕作地が拡大した事や家屋の増設が終わった事によって向こうでの受け入れ態勢が整い、希望する者がいれば移住してもいいという話と、試験栽培した農法を今後は村の小麦と大麦にも同じようにしていくのだが、発酵して作った肥料では全域をカバーするのは難しかったが秋になり船で漁をし干鰯の生産ができるようなったので干鰯も肥料として使用し全域に行うこととなった。

 夏の初めに町に戦争が回避されたとの情報が伝わると鉄の価格が下がったので、釘を買い入れ夏の終わりには鉄以外の材料が用意されていた船を組み立て完成した。


 「春から行商人が訪れるようになったが今後は訪れる行商人が増える可能性があるため、貨幣による売買を積極的に村に導入していこうと思う。今は私が行商人と取引をしているが、今後は各自で自由に取引をできるようにしていきたいと思う」

 「小麦・大麦はこれまで月初めに各家庭で消費している分を支給していたが、これからは農民の男に小麦10㎏・大麦40㎏と銀貨2枚とどうか30枚を支給する。女には銅貨50枚を、働ける10歳以上の子供には働きに応じて銅貨を支給する」

 「専属で木こりを決め、その者以外が木の伐採を行うことを禁ずる。また鍛冶・大工に仕事を依頼する場合は彼らに直接金を払い依頼するように」

 「大麻や亜麻の繊維は私から買い、糸や布に加工して商人に売る事を認める」


 去年から町で炭を売るようになってから我が家に貨幣がたまるようになってきた。そして今年の春には行商人のブリントが訪れるようになりそれが加速し、干鰯の生産が始まり糸や布を売却できるようになるとの判断で父は貨幣経済を村に導入しようと考えている。

 今までは村の収穫物は全て我が家に入ってきており、小麦・大麦は家族構成に応じて支給し村人が願い出れば支給していた。

 鍛冶・大工・製材の専門職には今まで仕事のあるなしに関わらず支給していたが、今後は仕事を依頼するときに金を支払うということになった。


 「よくわからないんですが、一体どういうことなんですか?」

 「行商人から自分たちが欲しい物を直接買えるようになるって事だ」

 父の話を理解していた村民はいなかったが、冬が明け村を訪れる行商人が増えていくことになる。

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