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3歳1

 「ほら見てルークいっぱい入っているよ、これで今日は魚が食べられるね」

 「はしゃぎ過ぎだよクルト兄、でも予想以上に獲れたね」

 「こんな簡単に魚が獲れるとは思ってなかったから、これなら毎日魚が食べられるね。冬の間も何度か試した時は駄目だったけど暖かくなったから魚も動き回ってるんだろうね」

 「クルト兄、毎日これを仕掛けて魚を獲ると、川に魚がいなくなっちゃうよ」

 「それもそうだね、何日かおきに仕掛けるように父さんに行っておくよ」

 今は太陽が西に傾き影が少し長くなってきた頃で長兄クルトと川に朝仕掛けた罠の確認に来ていた。

 小麦粉と卵を練り固め網目の大きな麻袋に入れて餌として柳の枝を魚が入れるように編み込んだバスケットをロープで結び川に沈めておいた物を、ロープを引き上げ川から出すと中には20匹ほどの魚がいた。


 兄と歩いて家に帰る途中で2頭のロバを連れた10代半ばの青年が村内を歩いており、私達の事に気が付くと声をかけてきた。

 「すみません聞きたいことがあるんだけど、男爵様のお屋敷はどこか教えてもらえないか?」

 「それならあそこに見える建物ですよ」

 「えっ、あのボ、あの建物がお屋敷ですか、ありがとう」

 「父を含めぼろいのは皆わかっているので構わないですよ、私達も今から家に帰るので一緒に向かいましょう」

 「男爵家の方達だったのですか、これは失礼をしました」

 「私はクルト・ハウンドでこちらが弟のルークです」

 「クルト3歳」

 「名乗りが遅くなり申し訳ありません、私はクレント男爵領のクルルートの町から来ました行商人のブリントです」

  青年はアキタ村から3日の距離にあるクルルートの町から木炭の買い付けをしにこの村に来たみたいで、帰路の途上で兄と町の話などをしていた。


 家に着くと兄が父に話を通し父と兄とブリントの3人で話し合いが行われ、話し合いが終わると父がブリントを夕食に招待すると母に告げ今日はこの家で宿泊をするみ流れとなった。

 「この村に行商が来るのは久しぶりの事でな、もっと行商が往来するようにするにはどうしたらいいか何か案などないかな?}

 「そうですね来る途中に思ったのは一部路面の凹凸があるところがあると聞いていたので荷車では来なかったのですが、あの路面を何とか改善できれば行商に来るものは増えるのではないでしょうか」

 「やはりあの路面は気になるか、先代の時代から何度かは補修はしたんだが雨が降るたびに水はけが悪いのかぬかるみが凸凹になっていくんだ」

 「王都や大都市の道は下層に大きな石を、中層に中くらいの石を、上層に粘土と砂利を混ぜあわせ、路面に大きな石を隙間を少なく敷き詰めることによって水はけを良くしていると聞きます、このような方法はどうでしょうか」

 「良い方法だとは思うんだが、大きな石がこの領内にはあまりないので他の石で上手くできるかどうかわからないな」

 ブリントの話した道路は前世のローマ帝国が迅速に行動することを目的としたローマ街道と同じ方法であり、軍隊の高速移動以外にも人や物の移動が活発となり経済の活性化にも寄与した。


 「大きな石が無ければ、路面にレンガを敷いたらいいんじゃないかな」

 特に意見が出なさそうだったので前世の知識から、この村でも使える技術を考え提案してみた。

 アスファルトは石油から作り出すが石油が無いためボツとして、コンクリートは石灰はあるが領内では採れないためこれも没して考え、レンガ舗装の道路を提案してみる。

 「なるほどレンガであれば村の近くにも粘土が採取できる場所もあるので材料には困らないな」

 「まずは村でレンガ道路を試してみて、使えるようであれば村と村を結ぶ道に敷設しましょう。」

 「そうだな、ではこの件はクルトが主となって進めてくれ」

 

 翌日2頭のロバの背に100㎏ずつ炭を積み行商人のブリントはクルルートの町に帰っていった。

 近々近隣の国で戦争の気配があり武器の需要が増えており、クルルートの町でも炭の需要が増えたため行商人たちが近隣の村々に炭を買い付けてるとブリントが語っていたと兄が教えてくれた。

 男爵領に戦争の影響が来ないことを祈り、今日の予定は兄と粘土を捏ね木でできた型枠でレンガを作っていくのだ。

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