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心の灯  作者: 朔良
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序章

 プロローグ


 人の心が幼いときから見えていた。そのせいでみんな気味が悪い、嘘つき、化け物―――そう言って離れていった。人の知りたくないところを知った。人の嫌なところを、汚いところを見てきた。見たくて見ているわけじゃなのに、散々嫌な気持ちになった。人のことが信じられなくなっていた。もう、何も期待なんてできなかった。出来るわけが無かった。

 もう何も見たくなくて、聞きたくなくて耳を塞いで、目を閉じてその場でうずくまった。一人硬い殻に籠もって、自分の世界にぞっと閉じこもっていた。誰も信用できなくて、誰とも向き合うことができなかった。”大丈夫、自分は味方だよ“

 そう言ってそばに寄り添ってくれていた存在も無視して。助けようとしてくれていた、自分に対して伸ばしてくれていたその手を振り払っていた。それでも貴方はどんなに振り払われてもその手を伸ばし続けてくれた。何度も、何度も。冷たくて固くて、簡単にこじ開けることができないように閉ざした心を、少しずつ距離を縮めて貴方はいとも簡単に心の扉を開いてくれた。そして色々なものを貴方はそばにいて見せてくれた。それで分かったんだ。離れていく人ばかりじゃない、こんな自分でもそばにいてくれる人がいると。そんなことを貴方は簡単に押しつけるわけでもなく、教えてくれたんだ。


 けれどそんな楽しい日は長くは続かなかった。神様は自分に罰を与えたのだ、と言うことを脳裏にかすめた。散々教えて貰ったはずのことも忘れて。


 もし、願いが叶うなら、そんな優しいあなたたちともう一度笑い合う日々が欲しい。あなたたちの手を取ることを許して欲しい。今ならあのときの言葉が、あの日の言葉が真実だって分かるから。信用できなかった私に手を伸ばし続けてくれていた手をつかめるから。


 もう遅いのも分かっている。後悔したって貴方がもう二度と手を伸ばせなくなってしまったのも分かっている。


 けれども一度だけ間に合う、願いが叶うと言うのなら。あなたたちと笑い合いたい。心の奥底から。もしかしたらうまく笑えなくて不器用な笑顔になるかもしれない。それでもたぶんあんたは嬉しいって、良かった手名手喜んでくれると思うから。


 ―――――――――――――――――――――――――そんな願いすらもう叶わないぐらい貴方とは離れてしまったのだろうか。もう、貴方とは二度と笑い合うことができなくなるのだろうか。もう貴方の暖かい声を聞くことはできないのだろうか。

タグ等にはネタバレはありません。因みに結構長編の予定です。

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