【番外編】私の知らないクロー、クラウスの知らないクロー
お久しぶりです。
9月6日はクローの日、ってことで勝手に記念日として何か投稿しようと思ったのですが、間に合いませんでした(;▽;)
そんなわけで二日遅れではありますが、一応記念日のつもりです。
そしてエミカの誕生日の話ではなく、第二部魔法使いの嫁〈5〉の最初の部分の話、つまり過去の話となっております。
そんなとこもう忘れたわ、って方、ごめんなさい。
なんとなく読み進めて頂ければありがたいです。
「そりゃ、お前の考えすぎだっての」
クラウスは呆れたようにため息をつく。
「あんたは知らないから、そんなこと言えんのよ」
ブーたれて返す私。
それは私が星やら三角やらの目印をつけた袋に魔石を突っ込み、クラウスの店に持ち込んだ日のことだった。
あらゆる作りかたを試したにもかかわらず、不合格の一つを除いては全て同じような出来映えという結果に肩を落とし、そろそろ帰ろうと荷物をまとめていた時のことである。
何気ない様子でクラウスが言った。
「お前、こっちに少しは慣れてきたか?」
「うん? まあ、友だちもできたし、……みんな親切にしてくれるよ」
リンダの紹介でできた友人たち。私が勝手に若奥さんズと命名した彼女たちは、リンダを筆頭に気のいい人たちばかりだ。
先日は彼女たちのお茶会にも招待してもらったし、いろんな話題で盛り上がりもした。
少し微妙な部分もあったけどな。
そのお茶会の微妙さを思い出してしまったせいで、答えに僅かに間があき、それを聞き咎めたクラウスと少しやりあった挙句、なぜだろう。帰るつもりをしていた私は再び腰を落ちつけ、クラウス相手にささやかな悩み相談室を開いていたのだった。
私がここサザナンでリンダと知り合ったのは、引っ越しのご挨拶がきっかけである。
家を買った時に仲介人さんから、『ここに挨拶に行っておいてください』と指示されたのは、この地区の世話役的な人だった。もちろん、引っ越して早々にご挨拶に行ってきた。
だけど、本当にそこだけでよかったんだろうか? やけに忙しそうだったその人とは挨拶を交わすのが精一杯で、帰る道々不安が募る。
こっちの世界にそんな習慣があるのかどうかは知らないけど、しないよりはいいだろうと思い立ち、ご挨拶の定番『洗濯石鹸』の包みを持って、家から一番近いご近所さん六軒を順にまわった頃には、サザナンへ越してきて四日が過ぎていた。
近いといってもうちは森の中の一軒家で、ご近所さんからはちと離れている。こっちから積極的にいかないと孤立してしまうかもしれない。
ここら辺独自の決まりごとがあるならそれも教えて欲しいし、何かあったとき仲間外れにされるのもごめん被りたい。そんな打算半分と、おしゃべりできる友達がつくれたらいいなって希望半分での挨拶回りだ。
この六軒までは、あいだに小さな畑や空き地を挟んだりして、ポチポチと点在するスタイル。その向こうはもう、商店街含むそこそこの街並みへと変化していく。
そうなるとどの辺まで回るべきか分からないので、挨拶はこの六軒で止めておくことにしたのだけど、いざ行ってみると、六軒のうち四軒はご夫婦プラスそれなりの年齢の子供さんといった家族構成。あと、おじいちゃんの一人暮らしが一軒。そこまでの全員が私より年配の方、そして小難しい歳頃のお子さんたちで、残る一軒が唯一若奥さん(子供なし)のリンダだったのである。
リンダの家はうちから一番離れてて住宅街のすぐ近く、徒歩七~八分てとこだ。なにしろうちの場合、森から出るだけで三分はかかってしまう。
だけど年齢も近そうだし、結婚していて尚且つまだ子供がいない。そんな彼女に私が目をつけたのは当然として、彼女もまた新たなご近所さん出現に大喜びしてくれた。
リンダの独身時代からの友人たちは先日最後の一人が結婚し、それぞれの家がバラバラに離れてしまったそうで、商店街の向こうには何人もいるけどこちら側には誰もいない。月に一度集まる時以外は、たまたま買い物で会った時に喋る程度なのだということだった。
こっちの世界には電話やメールなんてないもんな。
クローが前に使っていた『水に文字を映す魔法』は、魔道具を使ってるわけじゃないから魔法使い以外には使えない。私は一応魔法使いだけど、私にも使えない。
魔法使いにはレベルや適正があって、それによって使える魔法使えない魔法があるらしい。
今のところ私に使える唯一の魔法は、マッチ程度の火を点すこと。それもやり過ぎれば魔力切れを起こしてしまう。
つまりレベルが低すぎて無理、ってことなんだろう。
或いは、異世界から来た『なんちゃって魔法使い』だからかもしれないけどね。
それはともかく、気軽に遠くの友人と連絡を取る手段がほぼ無いのがこの世界だ。
それもあってか、徒歩数分のところに引っ越してきた私はリンダの大歓迎を受け、あっという間に意気投合した。
最初は畏まってリンダさんエミカさんと呼びあってた私たちだけど、数日のうちには『~さん』も綺麗にどこかへ行ってしまったのである。
商店街も、改めてリンダに案内してもらった。
どこの店が品揃えがいいとか、安さで狙うならここ! とか、主婦目線のチョイスが多かった。
ちょっと前には「便利な裏道や抜け道を教えてあげる」と言われついて行ってみると、何の変哲もない住宅街を抜け細い路地裏を数回曲がった先にあったのは、乗合馬車の停留所だった。
今までは商店街を突っ切って右に曲がって真っ直ぐ、という比較的大通りを歩いていたのだけど、商店街は実は緩やかに左に湾曲しているらしく、その道だと気がつかないうちに遠回りしているんだそうだ。
ところがこれがリンダの教えてくれた道だと、おおよそ半分の時間で行けてしまう。
クラウスの店にはなんだかんだでしょっちゅう顔を出すことになりそうだから、このショートカットは大変有難い。
クローにも早速報告したけど、目印になりそうなものが何もない道だから口頭ではちょっと説明しにくくて、次に一緒にクラウスの店に行く時に教える約束をした。
そうやって毎日のように商店街やご近所を歩き回っているうちにリンダの友人たちにも出会う機会があり、さすがは人のいいリンダの友人というべきか、彼女たちにも大歓迎で受け入れてもらえたのだった。
その若奥さんズが月に一度集まるというお茶会にも、「近いうちにまたするから、ぜひいらして」と招待してもらったりもした。
いわゆる女子会ってやつだな。
女の子同士でつるんで話すなんて高校以来だ。
家を出てバイトしてた時は、自分のことを詮索されるのが嫌でそういう場を避けていた。就職してからは私の周りにいたのは主婦さんばかりで、彼女たちの話は旦那さんと子供のこと、夕食のメニュー、あとはテレビドラマの話題でほぼ全てが完結する。
そのときの私は独身で、しかも忙しくて食事も適当、テレビなんか全然見てなかったもんだからどれも今ひとつピンとこなくて、もっぱら聞き役に徹するしかなかったんである。
でも今は私も主婦だからね。クローに愚痴なんてないし、子供もいないけど、この世界にはテレビもないから、きっとどうにかなるだろう。
ならなかったら、また聞き役になっておけばいいや。
そんなふうに呑気に構えていた私は、いざお茶会の席で大変に困惑する事態に陥る羽目になった。
世間の女子会ってそんなものなのかな。
彼女たちはなぜか他人の旦那に興味津々となってしまったのだ。
それはつい先日のこと。月に一度の彼女たちの集会日に招いてもらった私は、新人の登竜門ともいうべき質問攻めにあっていた。
「どこから越してきたの?」
「結婚してどのくらい?」
「どうしてサザナンにきたの?」
合間にはもちろん彼女たち、若奥さんズの情報も挟まっている。
リンダは結婚三年目でカレンは一年過ぎたばかりだとか、スージーはもう五年目で三歳の子供がいて、この日だけは子供を母親に預けて来るのだとか、ダイアナは十年付き合った幼なじみと半年前に結婚したばかりで、ミリアムはそのとき知り合った旦那さんの友人と二カ月でスピード婚したとか、そんな感じだ。
そして話題は当然のように『エミカのご主人』に移った。
「どんな人? どこで知り合ったの?」
「なんのお仕事してるの?」
「優しい?」
その時、スージーが口を開いた。
「あ、こないだ私、商店街で見たと思う。長めの黒髪の人でしょ? あのとき一緒に歩いてたの多分エミカだったと思うし」
「あら、ご主人も黒髪なの?」
「黒髪同士なんだ。目も黒いの? じゃあ二人とも魔法使いなのね。羨ましい」
「どんな人だったの? スージー」
「遠目だったからよく分からないわよ。」
「リンダは知ってるんでしょ? エミカのご主人」
「どんな人? 優しそう?」
口々に問いかけられ、リンダはなぜか曖昧な笑みを浮かべた。
彼女はクローを知っている。顔を見たことがあるってレベルだけどね。
ご近所への挨拶まわりはクローも一緒だった。
元の世界のアパート暮しの時に、たまに新しく越してきた人が挨拶にきてくれてたけど、一家全員でってのが定番だったからだ。
「一緒に来てくれる?」って私のお願いにクローは快くついてきてくれて、だからリンダはクローを見知っている。
愛想を振りまき、「よろしくお願いします」と頭を下げる私の後ろで、彼も同じように頭を下げてくれていた、はず。
だけど思い起こせば、そのあとリンダとの会話にクローの話が出たことはない。ほかに喋ることがいっぱいあったせいだと思うけど。
少し考えたリンダは、「一度挨拶しただけだから」と曖昧なまま言葉を濁し、集中砲火はスージーへ。
「だから遠くからチラッと見ただけだし。あ、でもなんていうの? 周りと全然雰囲気が違って、目を奪われるっていうか……」
「ええっ! なにそれなにそれっ」
「いや、わかんないけど、周りの人たちもみんな注目していたから私もつい目がいっちゃって。背も高かったしそんな感じだったから、通りすがりの見かけただけの人を覚えてたのよ。それにあの時はエミカともまだ一度会っただけだったから、多分そうかなって思ったくらいで」
「あら、でもそんなに注目を集めるなんて、それほど素敵な人ってこと? ぜひ一度見てみたいわ」
「カレンは面食いだものね。でもそんな素敵な人なら私も見てみたいかも。うちの旦那と比べるようになっちゃったら困るけど」
「まあ、ミリアムのところはまだアツアツじゃない」
ワイワイと盛り上がる若奥さんズをしりめに、私は途方に暮れていた。
クローを紹介するのは別に構わない。なんだかみんな、クローを見世物扱いしてるようなのは少し気になるけど、悪気がないのもわかるからまあいい。
彼女たちをうちに招待すれば、クローだって顔を出して挨拶くらいはしてくれるだろう。
だけど──。
私は知っているのだ。クローが普段いかに年頃のお嬢さんたちの目を釘付けにし、熱視線を浴びているかを。
スージーが私たちを見たというのは、多分一週間くらい前に二人で商店街へ行った時のことだろう。
田舎町で暮らしていた頃からの習慣で、私たちはほぼ一カ月分の食料その他を買いだめすることにしている。だから、ここの商店街へ二人一緒に買い物に出たのは、引越してきた翌日とその時の二回しかない。そして、そのどちらもクローは確かに人々の視線を──主に若いお嬢さんたちの熱視線を集めていた。
相変わらずクローは全然気にしてなくて、だから私も安心して全スルーしてたけどな。
でもそれが私の友人となったら?
こっちのテンプレではあるけど、煌々しい金髪にカラコンとしか思えないカラフルで大きな瞳。
平凡顔でしかない私から見れば、若奥さんたちはみんなモデルさんみたいだ。
田舎町とは違って、サザナンの人は黒髪黒目になんの抵抗もない。
みんなが既婚者なのが唯一の救いだけど、世の中には不倫なんて言葉もある。
私の友人だってことで、クローが彼女たちを視界に入れたとして、もしもこの中の誰かがクローに本気で興味を持ってしまったら?
そして、もしクローが その誰かの魅力に気づいてしまったとしたら?
あのお茶会から数日、私の中にはそんなモヤモヤがくすぶり続けているのである。
「クローがモテすぎるのが辛い。もし、よその可愛いお嬢さんや奥さんに目移りされたらどうしたらいい?」
私は呻き声を上げ頭を抱えた。
「そりゃ、お前の考えすぎだっての」とクラウスは呆れたようにため息をつく。
「あんたは知らないから、そんなこと言えんのよ」
ブーたれて返す私を、クラウスはジロリと睨んだ。
「お前、俺とあいつが何十年の付き合いだと思ってんだ? お前こそあいつを知らなすぎる」
付き合いの長さを持ち出されたら、私なんか太刀打ちできるはずがない。
私が唇を尖らせると、奴はまた大きくため息をついた。
「しょうがねぇ。俺、あさっては休みなんだ。面白いもん見せてやるから、あさっての昼過ぎクローをこっちへ寄越せよ」
「あさって? 何すんのよ」
私の疑問には「まあいいから楽しみにしとけよ」と答えてもらえず、クラウスがその場で書いた手紙を持たされ、家路につくことになったのだった。
帰りついて少しすると、クローも森から帰ってきた。
玄関の物音に気づいて昼食の用意をする手を止め、いそいそと迎えにでる。
「ただいま」「おかえりっ!」と交わしつつ飛びついて彼の服に頬をスリスリすると、口元を綻ばせたクローは私の背に腕をまわし、顔を近づけ啄むようなキスを落とした。
「もう帰ってたんだ。一緒に出かけるのもいいけど、帰ったときこうして出迎えてもらえるのって、やっぱりいいね」
「うん。『おかえり』っていい言葉だよね。向こうの世界で一人暮らししてたとき、当たり前なんだけど玄関で『ただいま』って言っても誰も返事してくれなくてさ。その頃は全然気にしてなかったけど、今は『おかえり』って言葉、言うのも言ってもらうのも好き」
私がそう言うと、クローは目を丸くした。
「誰もいないのに『ただいま』って言うの?」
うーん。やっぱり変かな? でも習慣だったんだよね。
「なんていうか、部屋に? 住んでる部屋に、今帰ったよって挨拶するみたいな?」
あれ? 言葉にすればますます変な習慣に思えてきた。
しがみついたまま、なんて言い訳しよう、と焦っていると、頭の上でクローが吹き出す。
「謎が解けた。じゃあ、あれは家に挨拶してたんだ。
エミカが出かけて帰ってきたとき、玄関で『ただいま』って聞こえるから『おかえり』って言ったら、僕の前でもう一度『ただいま』って言うでしょ。なんでいつも二回言うのかな、って思ってたんだけど、あの最初の『ただいま』は家に挨拶してたんだね。エミカって本当に可愛いよね」
クスクス笑いながら頭を撫でられた。
クローの可愛いは謎基準だと思う。
そして、一緒に廊下を歩きながらクラウスからの手紙を渡すと、テーブルに落ち着いて一読した彼は難しい顔になった。
「どうしたの? 何が書いてあったの?」
私は結局、あさってクラウスが何をするつもりなのか聞いていない。
彼から私への指示は、当日クローにバレないようにこっそりあとを尾行てこい、ってことだけだった。
首を傾げ尋ねると、クローはため息をつく。
「何か、一緒に行ってほしい場所があるらしい。あいつに付き合わされてろくな目にあった記憶がないんだけど」
「じゃあ、断る?」
何気なさを装って訊くと、渋々といった表情で「断るのが面倒だから行く」と返ってきて内心驚いた。クラウスの言った通りだ。
クローが行かないって言ったらどうするの? と聞いた私に、『ああみえてあいつは押しに弱い。それに人付き合いに関しては恐ろしく不精だから、断るより行くほうを選ぶだろう』って言ったんだよね。
それでも万が一難色を示すようなら私にどうにかしろ、とも言っていたけど。
さすがは幼なじみを名乗るだけのことはあるのかも、とクラウスに対する評価を少し変えつつ、中断していた昼食を仕上げ二人で食した。
そしてやってきた二日後のお昼過ぎ。「行ってらっしゃい」と私に見送られ、憂鬱そうな素振りを隠さないまま、クローはクラウスの店へ向かったのだった。
クラウスの店へ行くには、乗合馬車に乗らなきゃならない。クローにはまだ近道を教えてないので、彼はいつもどおり商店街を抜ける道へと歩いている。
彼のあとを追うように家を出た私は近道を通り、クローが来る前にと停留所へ急いだ。
街中へ向かう馬車は何台も出ているので、クローに見つからないよう辺りを窺いつつ、出発直前の馬車に飛び乗る。
二十分ほど揺られいつもの停留所で降りて、少し離れた場所の客の多い雑貨屋さんに身を隠した。店先の小物を見るふりをしながら、停留所の様子を気にしていると、二台あとの馬車からクローが降りてくる。
彼は周りの人々から頭半分飛び出てるから、見つけるのも追跡するのも簡単だ。それにもし見失ったとしても、とりあえずの待ち合わせ場所がクラウスの店って分かってるから大丈夫。
──と、賑やかな通りを脇目も振らず、クローだけを追って歩いていたからその違和感にすぐ気づいた。
このクラウスの店に続く賑やかで華やかな通りには、お洒落な店がそこかしこに建ち並んでいる。
それこそ若いお嬢さんたちや女性たちの喜びそうな店ばかりだ。
私だってクラウスの店の行き帰りにはいつも寄り道するし、実際今だって周りを歩いてる半分は若い女性たちで……。
それなのに、これはどうしたことだろう? と不思議に思いながらも慎重に人混みに紛れて彼を追った。
やがて見えてきた、この通りには不釣り合いな程に地味な印象の紳士服の店の角を曲がって、あっという間に人通りの少なくなった道をツーブロック歩けばクラウスの店である。
クローは店の前まで行かず、手前で曲がって店の裏側へ向かった。
店の裏には確か倉庫があると聞いている。そこへ行くんだろうか、と思いながら隠れて様子を見ていると、店の二倍ほどはありそうな無骨な建物の二階から、外付けの階段を使ってクラウスが降りてきた。
へぇ、あそこに住んでるのか、と思っているうちに二人は連れ立って、来たのと反対の方向に歩きだす。少し先の角を曲がる時にクラウスがさり気なく振り返り、私と目が合うとニヤリと笑って見せた。
それにしても、二人はいったいどこへ行くつもりなんだろう。
首を捻りながらも、見つからないように少し距離を取り、さっき彼らが曲がった角から顔を出した。するとその先から、さっき通ってきたのとはまた別の賑やかな商店街が始まっている。どうやらこの辺は、あの商店街の外れにあたるらしい。奥へ行くほど店の数も人混みも増えていってるようだった。
うわぁ、こっち側にもこんな通りがあったんだ! と驚きつつ、見失わないように追いかける。クラウスはクローよりもほんの少し背が高く、横幅も大きい。二人が並んでるとよく目立つので、やっぱり後をつけるのに苦労はしない。
だけど……と、私はまた首を傾げた。
さっきの華やかな商店街でも思ったけど、なんだかおかしい。いつもと違う。
こっちの商店街は食料品を扱う店や、なんだか分からない雑貨を置いている店、衣料品にしても子供服や紳士もの、年配の人向けのものを置いている店が目立つ。
もちろん若い女性を狙った店もあるから、歩いてるのは様々な年代の人たちだ。そして単純に人の数でいえば、こちらの方がかなり多いように思う。
それなのに。
こんなにたくさんの人が歩いていて、若い女性やお嬢さんたちもそこそこいるのに、クローに注目している人がいない。いつもならうるさいほどにクローに浴びせられる熱のこもった視線がどこにもない。ちょっと見て格好いい人がいるよ、と目配せし合う女性もいなければ、うっとりと視線で追いかけてくるお嬢さんもいないってのはいったいなんで?
チラチラと気にしてる素振りの人もいるけど、なぜか若干怯えているようにも見えるし、どちらかといえばみんなちょっと目を逸らし気味。
それに気のせいかな? クローとクラウスの周りだけ、なんか人が避けてるみたいな。
田舎町の時みたいな嫌な雰囲気じゃない。
あんな好奇と嫌悪の入り交じった嫌な視線じゃなくて、でもなんだろう、この微妙な感じは……。
彼らは男二人だからね。かなり早いスピードで歩いていく。時々クラウスが立ち止まってどこかの店を指さし、クローに話しかけたりしてるのは私に対する配慮だろうか。それがなかったら、小走りにならないととてもじゃないけどついていけない。
でもクローは、クラウスが話しかけても全く興味無さそうにそっぽを向いて……。
そのとき、一瞬横を向いたクローの表情が見えた。
うわっ、なに? あの、興味ないどころか眉間にしわ寄せた超絶仏頂面は!?
なまじ顔が整ってるだけに怖すぎて、嫁の私もびっくりだ。そりゃあ周りの人も避けて通るだろう、とようやく納得した。いくら格好よくても、誰だってあんなのに関わりあいたくない。
呆然としながらも二人のあとを追い続ける。
もう歩き出して随分たつのに、商店街はまだまだ続いていそうだった。
そういえば、と歩きながら考える。私が最初にこっちの世界に来たときのクローは、いつもあんなふうだった。あの頃の私はあらゆることに対して感覚が麻痺していて、クローのあの顔を見ても、せっかくの美形なのに仏頂面でもったいない、としか思わなかったんだ。そのあと私は彼の弟子になり、気づいたときにはクローは私にあんな表情を見せることはなくなっていて……。
あれ? もしかして、クローって私がいないときはいつもあんな刺々しい表情なの!?
いや、そんなまさか? と狼狽えていると、少し先を歩いていた彼らは間口の広い一軒の店へ入っていった。
ここが今日の目的地なんだろうか。
──と思って見上げた建物は三階建てで、入口付近にはぬいぐるみや小物。奥の方には洋服も置いているようだ。
だけど、ここ明らかに女性用の店だよね。それとも上には違うものも置いてるとか?
中まで追いかけるべき? でも中で出くわしたらアウトだし。
悩んでいると、クローと一緒に店に入ったクラウスが一人だけ戻ってきた。キョロキョロと辺りを見回し、私を見つけると早足で近づいてくる。
「なあ、わかっただろ? あいつがモテるとか有り得ねえって。昔はもう少しはマシだったのに年々ひどくなりやがるし、多少造作はいいかもしれんが、あんなに睨みを効かせてたんじゃ女なんて誰も寄ってきやしねぇよ。お前の前にいる時だけが特別なんだ」
クラウスが言うには、クローといるとクラウスまでがモテなくなるらしい。
それって別にクローだけの問題じゃないよね? とは思ったけど、クローと一緒に行動したことでこれまでいかに悔しい思いをしたか……と語り続けるクラウスを遮るのが面倒で、黙って相槌を打ち聞き続けた。
でもそれを要約すると、ほぼ全てが『きれいなお姉さんたちが避けていく』って話でしかなく、クローの言っていた『ろくな目にあった記憶がない』の意味が、何となくわかったような気がする。
そうして私がややうんざりし、これはおとついの仕返しなのかなと思い始めた頃、「エミカ!?」と声が響いた。
クローだ。しまった、隠れるのをすっかり忘れてた。
焦った私だけど、さっきの三階建ての建物から出てきたクローは私よりよっぽど焦った表情で走ってくる。
「どうしてここにいるの? 何かあったの?」
その様子を見てなぜか目を剥いているクラウスを横目に、私は顔の前で両手を合わせ、勢いよくクローに頭を下げた。
「ごめんっ! クローとクラウスがどこに行くのか気になったから、ついて来ちゃった」
クローは瞬き、ホッとしたように息をつく。
「なんだ、それなら言ってくれたら一緒に来たのに。何かあったのかと思ってびっくりした」
「ごめんね?」
クローの顔を見上げもう一度謝ると、彼は目を細めた。
「何もないならいいよ。それよりこの店、クラウスのお姉さんのオススメなんだって。エミカの喜びそうな可愛いものがたくさんある。見に行く?」
「もちろん行くっ!」
間髪入れず答えた私に、彼は堪えきれないように口元を綻ばせた。
実はこのお店、最初見た時からずっと気になってたんだ。外から眺めただけでも、可愛いだけじゃなくてお洒落な小物がいっぱい並んでる。買わなくてもいいから、ぜひ見て回りたい。
だけど、クローと並び浮き浮きと歩きだすと、途端に周囲からの視線に気がついた。さっきまでと全く違う、そしていつも通りの熱視線だ。
なんで急に? と思わずクローを見上げると、私にはすっかり見慣れた優しい笑みが落ちてくる。
「なに?」
ああ、そうか。そういうことなのか。
「ううん、なんでもない。クラウスの行きたいとこってここだったの?」
「そうらしい。姪へのプレゼントを買うのに、一人ではとても入れないっていうんだ。それでなんで僕が呼び出されるのか分からないけど、来るのがこんな店だって言ってくれてたら本当にエミカも誘って来たのに」
少し口を尖らせたクローは、それでもさっきまでの無駄に尖った険しい顔の時とは全然違う空気を纏っている。
クラウスが言ったのは、きっとこのことだ。私といるときの、この柔らかい表情。この空気にみんな魅せられてるんだ。
ということは、私がいない隙にクローがモテるなんて有り得ないわけで……。
だったら私は、若奥さんズに対してもそこまで心配する必要はないのかもしれない。
そう思ったら心がスっと軽くなった。浮きたつ心のまま周りの視線はいつも通りスルーし、魅惑のお店へ突撃したのである。
中は予想通り、可愛くてお洒落な雑貨や洋服のオンパレード。築不詳、畳の部屋しかないアパートには到底似合わないと以前は諦めていたインテリアが、私を手招きしていた。
クローの袖を引いて店内を歩き回り、さんざん迷った挙句買ってもらった硝子の置物は玄関に飾るつもりだ。
そして、私が買い物している間中まだかまだかとやたら煩かったクラウスには、それじゃあ一生モテ期は来ないと忠告して差し上げた。
姪御さんへの誕生日プレゼントを持ってお姉さんの家に行くというクラウスとはそこで別れ、乗り合い馬車に乗って降りた先で、今度こそクローに近道を実地で教えることができたのである。
あんな道を知ってるのは地元民ならではだよね、とか二人で話しながら家に帰ったあと、クローは四次元袋から幾つかの包みを取り出した。
さっきの店で、私と出くわす前に買っていたらしかった。
「私に? なんだろう」とワクワクしながら一番大きな包みを開けると、胸元に切り替えのあるスッキリしたラインのワンピースが出てきた。モノトーンで背中側にはふわりとした飾りのりぼんがついていて、どの角度から見てもオシャレで可愛い。
「うわぁ、すごい! 可愛いっ。こんなのよく見つけたね。でもサイズが合うかな?」
私が普段着てるのは、いわばフリーサイズってやつだ。それなりの体型なら誰でも入るようにできている。でもこの服は見るからに遊びが少なくて、リボンも調節のためのものではなく純粋にただの飾りだ。もし入らなかったらどうしよう、とドキドキしながら着替えてみると、自分でも驚くほどぴったりだった。
急いでクローのところに戻って「どう?」と回って見せると、彼は一瞬目を見開き、「予想以上」と顔を輝かせる。私も嬉しくて、そのままクローに抱きついた。
そのあとはソファーに並んで座り、小さい方の包みを順に開けていく。中には同じくモノトーンの、髪を括るリボンや帽子、イヤリング、ハンドバッグなど、ワンピースに合わせたと思われる小物が入っていた。
一つ開けるたびに歓声をあげながら「これ全部クローが選んでくれたの?」と訊くと、「店員が服に合うやつを持ってきてくれた」と少し後ろめたそうな顔で言うのが可愛い。思わず笑いながら、「でも服はクローが選んでくれたんだよね?」と言うと、クローも「見た瞬間、エミカに似合うと思ったから」と嬉しそうに笑った。
そして、問題はその後だった。
「それにしてもすごいね、ぴったりだよ。なんで私の服のサイズが分かったの?」と、何の気なしに訊いた私には、クローの答えが一瞬理解できなかった。
クローは「店員に相談した」と言ったのだ。
──店員に相談した。
デザインではなく、サイズを相談? 初めて行く店の店員さんに? その場にいない人のサイズを?
謎でしかないんですけど。
「……なんて、相談したの?」
私がおそるおそる訊ねると、クローは首を傾げた。
そしておもむろにソファーから立ち上がり、真面目くさった顔で、手のひらを床と水平にして首の下あたりへ持ってくる。
「背はこれくらいで……」
うんうん。
それから両腕を使って身体の前で輪っかを作った。
「胴はこれくらい」
……う、うん?
「それから……」
と彼は、胸の高さで両手のひらを広げて私の方に向け、ささやかな角度をつける。「む……っ」
次の瞬間、私は両手でガシッとクローの手を押さえつけていた。
なに!? その有り得ないくらい恥ずかしい相談の仕方は! サイズが合ってたのは、もはや奇跡の範疇としか思えない。しかも最後の手のひらの微妙なラインは、私のちっぱいに対する挑戦かっ!?
これはもう膝詰め一時間説教コースだっ! と思ったんだけど、この綺麗な顔に似合わないさっきのクローの残念すぎる手つきを思い出した途端、ツボに入って吹き出してしまった。
それにあの超絶不機嫌に見える顔で、あの内容の相談をどうやって店員さんに持ちかけたのか。店員さんもさぞかし困惑されたことだろうと思うともう止まらない。
結局笑いが治まってから、ワンピースについていたタグを見せ、もし今後なにか買うならこのサイズで! とお願いし、もう妙な相談の仕方はしないようにと釘を刺すにとどめた。
そしてこのワンピースを着た時は絶対あの店には行かない、と心に決めたのだった。
更にその翌日のこと。
私は我が家の洗濯箱から引っペがしたアラームを握り、リンダを訪ねていた。
このアラームを試しに使ってもらい、はたして欲しいか欲しくないか、現役奥さまの本音を調査するためだ。
リンダのあとは若奥さんズに順番に試してもらってもいいんだけど、全員が試し終わるのにいったいどのくらいかかるだろうな。あんまり日数がかかると私が困るから、やっぱりリンダ以外はアンケートだけにしとこうかな。
そんな呑気なことを考えながら徒歩八分の彼女の家につき、ドアをノック。顔を出したリンダは私を見るなり目を丸くし、家の中に引きずり込んだ。
「ねえエミカ、本当に大丈夫なの?」
心配そうに眉をひそめ、上から下まで眺め回す。
藪から棒すぎてわけが分からない。
キョトンとする私にリンダは詰め寄った。
「暴力を振るわれたりはしてないようだけど、酷いことを言われたりとか、逆に話しかけても無視されるとか──」
「ちょっと待ってなんの話?」
慌てて遮ると、彼女は一呼吸おいて緊張した顔つきで言った。
「エミカのご主人の話よ」
クローの?
暴力? 無視?
クローが私に? ないない!
「他人がご家庭のことに口を突っ込むのはどうかと思うんだけど……、でも」
どうしよう。リンダは真面目に言ってくれてるのに、つい笑ってしまった。
口元を緩ませる私を見て、彼女は首を傾げる。
「ええっと……、心配いらない……のかしら?」
まったく心配はいりませんとも。
でも何がどうしてそんな話になったのか。
いつもの居間で、出してもらったお茶を飲みつつ話を聞いた私は仰け反った。若奥さんズの間で、クローがとても気難しい人物だと噂になっているらしい。
ことの起こりは昨日の昼過ぎ、クローは乗り合い馬車の停留所に向かうため、一人で商店街を突っ切った。どうやらそこを若奥さんズのメンバー、スージーとミリアム、そして別口でカレンにも目撃されていたようで、しかもスージーの三歳になるお子さまは、クローを見てべそをかいてしまったそうなんだ。もちろんスージーのお子さまを非難することはできない。昨日の街中の商店街では大人でさえ避けて通っていた。それなら子供が泣いたって不思議はないじゃないか。
でもそれはともかく誤解は解いておかなくては、とクローのためにリンダに弁解を試みる。
クローのあの顔は標準装備なんだよー。
別に怒ってるわけじゃないし、優しいんだよー。
と、頑張ってみたんだけど、今ひとつ信用してもらえなかった。
リンダは商店街を歩くクローは見なかったけど、引越しの挨拶に来た時にクローと会っている。あの時のクローもやっぱり相当険しい顔をしていたらしい。
その場には私もいたのになんでだろ。緊張してたのかな? 挨拶まわりなんて、多分クローにとって人生で初めてだろうしな。
「もともと気難しい人なのかな。それともたまたまその時ご機嫌が悪かったのかな、って思ってたんだけど、昨日のお昼すぎに突然みんなが訪ねてきてね。エミカのご主人ってなんだか怖そうって話になって、じゃあいつもあんなふうに不機嫌なのかな、と……」
リンダは困ったように首を傾げた。
「それでそこから、あれじゃエミカも大変よね。怒鳴られたりしてないかしら。苦労してるんじゃない? って話になったの。ねぇ、本当に何かあったら相談してね」
唖然とした。眉間のシワ一つでそこまで大騒ぎになるのか?
クローの顔つきにも問題ありだけど、若奥さんズの思考のかっとび具合も大問題だ。心配してくれるのはありがたいけど、全く的はずれなだけにどう反応すればいいのか分からない。
ともあれみんながよく買い物に来る時間帯をリンダに聞き、アラームのような商品があれば欲しいかってアンケートを取りつつ、クローは怖くないよキャンペーンを展開することにした。それにしても、熱視線か怯えられるかの二択とか、クローの人生も相当難ありだよね。本人は恐らく、全然気にしていないけれど。
そうしてそれからまた十日ほどが過ぎて、アラームのアンケートは取れたものの、若奥さんズの手強い思考回路にクローの評判は回復しないまま、私はクラウスの店を訪れた。
そしたらアラームは単品販売ではなく、本体に組み込む方向で話が進んでいた。
うまくいかない時は、何をやってもうまくいかない。
せっかくアンケートまで取ったのに無駄になったなぁ、とがっくりしつつお茶をすすってクローを待つ。今日はここでクローと待ち合わせなんである。
だけど、することもないまま待つ身は長い。
退屈を持て余し、同じく暇そうにしているクラウスとくだらない話をしてるうちに、ふと奴が言った。
「……こないだだけどな」
「うん?」
「あいつ、お前を見つけて走ってきただろう?」
「ああ、店の前で? うん」
「あいつが走ってんの、初めて見た」
どこか呆然とした表情で、クラウスは言った。
「長い付き合いだが、あいつがあんなに慌ててんのを見たのも初めてだ」
「え!? 嘘でしょ? 前にも走ってきたことあるよ」
思わず言い返すと、クラウスは驚き目を瞠った。あれはもう一年近く前。クローにとっては六年以上前の話だ。
あの田舎町に初めて私の作った魔石を売りに行った日、いつもより帰りが遅い彼を待って家の前でウロウロしてたら、何かあったのかと心配した彼が走ってきてくれたんだった。その時のことを思い返し言うと、奴はため息をついた。
「お前といるとそうなるってことか」
そして、私を睨むようにして言った。
「お前、もうあんまりあいつを疑ってやるなよ。あいつがあんなふうに表情を変えるのはお前の前だけなんだ。基本は無表情だし、人前で険しい顔になるのは多分無意識に周りを威嚇してるからだろう。あんなクソ田舎で育ったんだから、そりゃあ無理もないと思うぞ。そもそもあいつは自分にも他人にもあまり興味がねぇし、世間を醒めた目で見てる。ああして慌てたり怒ったり戸惑ったり、感情を顕にするのはお前に関することだけだ。お前の存在自体がレアなんだよ。それなのに身に覚えのないことで肝心のお前に疑われたんじゃ、あいつもやってられんだろう」
まさかそこまで? って気はするものの、クラウスは真剣だ。
先日の、私がいない場所でのクローの姿を見て、私にも思うところがあった。だから私も真面目に頷いてみせる。
「分かった。現場を押さえない限りは疑わない」
その言葉にクラウスは鼻を鳴らし、「そんな日は永久に来ないだろうよ」と投げやりに言ってのけた。
そして少し躊躇ったあと、微妙に視線を逸らしながら私に問う。
「なあ。あいつ、いつもあんなふうにキャーキャー言われてんのか?」
「若いお嬢さんたちに?」
「も、含めて女性全般に」
「うん、まあ私といる時は大概そうだね」
「……お前の話を聞いた時は大袈裟だと思ったが、ありゃ相当だな」
「だからそう言ったじゃん」
ちょっと唇を尖らせて返すと、クラウスは遠くを見ながら言った。
「つまり、クローとお前をセットで連れて歩けば俺もモテモテに……」
言いながら、夫婦連れでのナンパを想定することに無理があると気づいたのか、彼はがっくりと肩を落とし、「もういいや」と呟いたのだった。
それからしばらくして、ようやくクローがやって来た。伸び上がって手を振る私に柔らかい笑みを浮かべる彼。
クローがこんなふうに笑顔を向けてくれるのは私にだけなんだ。
やっとそれが自覚できて、嬉しくてたまらなくて、私は満面の笑みで彼に駆け寄った。
ついでにそのとき、またしても嫌味をたれてくれたクラウスの足を蹴飛ばすことも忘れない。
でもなんだか今回は色々世話になったからね。
例の、森での恨みは忘れることにしてもいいかな、とクローの隣で少しだけ思ったのである。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
これまで番外編といいつつ時系列に沿って書いていたので、いきなり過去に戻ってしまって、なんだこりゃ、と思われた方も多いのではないかと……(^_^;
分かりにくくてすみません。
でもリンダたちとの出会いや、クローが服を買いに走るようになったきっかけなど、書けてよかったなと自分では思っています。
(クローの残念度に拍車がかかってますが、もう開き直っているワタクシ)
また完結設定に戻しますが、そのうち続きを書くつもりなので、そのときも読みに来て頂けたら嬉しいです。
ありがとうございました!
↑
第二部の改稿にあたり、この話を時系列に沿った形にしようと、この場所へ移動させました。
前書き・後書きは当初のままとしておりますので、初めて読んでくださった方には意味不明なことを書いてますが御容赦下さい。
前書きにも書いてますが、一応クローの日の記念のつもりなので、前書き・後書きもそのまま残しておきたかったのです。
それではありがとうございました(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)




