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#6

  俺はぽっとん。

  突然だが、こんな言葉を知ってるだろうか。


  自分の生命を打ち込むことのできる仕事を持っている者は幸福である


  これは、俺が落ち込んでいるときに友達が教えてくれた言葉だ。

  当時は何を戯言を、と思っていたのだが、良い言葉だ。

  誰の言葉かは知らんが、良い言葉だと思う。

  少なくとも、今はそう思うのだ。

  何故なら、今俺はトイレそのものであり、生命であるからだ。

  トイレたる俺は、使用者が気分良く使うために試行錯誤するのが仕事だからだ。

  そうでも思ってないと神を恨みそうでやってられない。

  そして、それどころではないのだ。

  俺は、トイレの数を増やした。

  今までは男子トイレ一つ、女子トイレ一つだったのだが、数をそれぞれ10ずつ増やしたのだ。

  ちなみに設備は全て一緒だ。内心安心した。

  そこまでは良かった。そこまで、は……。

  何と俺がダンジョン認定されたらしい。

  事の経緯は、最近用も足さないのに人の気配がするなぁと思ってトイレの兵隊という設備を実装したのだ。

  その中の諜報部隊が報告してきたのだ。


  荒野のトイレはだんだん高等なものとなっていき、最近に至っては増殖した。

  人員を派遣したところ、兵隊らしき生物が発生した。

  こちらの動向を探る術を持っているようで、早急に調査が必要だと思われる。


  という報告を王国の兵隊がしていた、と。

  しかし俺は今閃いた。

  これは業務拡大のチャンスだと。

  俺がダンジョン認定されるのは正直どうでもいいのだが、破壊されてはとても困る。

  なら、危険じゃないことを示せばいいのではないだろうか。

  つまりこれはアレだ。

  たまに中央の役人がやってきて調査する、業務実態調査みたいなものだ。

  ということは、俺がここで潔白を証明できれば顧客の増加が見込めるはずだ。

  危険じゃないなら好奇心で来てくれるはずだ。きっと来てくれるはずだ。

  というわけで、俺はいつものように設備一覧を開く。

  ◆◆◆◆◆◆

  設備一覧

  ・トイレーランド:ネズミとか、アヒルとか、犬とか、熊とか、雪の女王が闊歩してたりするアレに近い。遊具はね。ただ、全部にトイレがついている。

  ジェットコースターにも、コーヒーカップにも、メリーゴーランドにも、観覧車にも。

  お化け屋敷に至ってはトイレ着用が義務づけられている。

  そんな楽しい遊園地。 TP:1234

  ◆◆◆◆◆◆

  トイレ着用が義務づけられてるとかさ、どんだけ怖いんだよ。

  客来ねぇじゃん。いやむしろ来るのかもしれないな。人間の好奇心はすごいからな。

  好奇心は猫をも殺すというぐらいだしな。

  つまり、これはイケる!?

  俺はギリギリ足りたT-ポイントを投入した。


  ずがぁんっ!


  俺の目の前には爆音にふさわしい立派な遊園地が聳え立っていた。

  あっ、そういや最近JASRACが厳しいけど、トイレーランドのBGMにもトイレの神様を使っても問題ないのだろうか?

  ◆◆◆◆◆◆

  どうしてこうなった。

  俺はない手で頭を抱えていた。

  俺の目の前には地獄絵図が広がっている。

  トイレの兵隊と人間達が戦っているのだ。

  一応トイレの設備たるトイレの兵隊だ。

  俺のトイレの設備を十全に扱う能力で最高練度を誇る兵隊へと化している。

  そう簡単には負けないだろう。

  だが、問題はそこじゃないのだ。

  俺が人間に完全に敵対行動を取られたことが目下最大の問題だ。

  撃退すべきか、どうするべきか。

  今のところは抑え込んでいるだけだ。

  要は時間稼ぎだ。

  速く決めねば完全に手遅れになる。

  その前にどうにかしないと。

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