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単一世界のパラドックス  作者: 芹沢歩
13/34

012 パラドックス

 ◇


「やれやれ……別の世界のベルたちをも抱けるほど、私の腕は長くはないよ」


 魔王と呼ばれる少女であっても、その体は小さなものだ。

 争うようにして抱きつくベルたちも、二人が限界である。


「君たちは自分の世界へ戻り、そこにいる私に会いに行くと良い。今頃は、レーヴェを出たベルに何かあったのかと駆けつけている頃合かもしれない。そこで、もう一度話し合ってみるといいだろう。必ずや、今と同じ結果になると約束するよ」


 それでも、困ったふうに言う少女は、どこか楽しげである。


「そ、そうじゃな、こうしてはおれん。ワシは戻るとするかの」


「何を言うか! ワシこそが先に戻るわい」


「むむ、ワシも負けてはおれんな!」


 何を張り合っているのだろうか。少女に戻るように言われた並行世界のベルたちは、我先にとゲートを開こうとする。


()く気持ちはわかるが、ジェフリーが関与していた事件。お主たちの世界でも起こっているやもしれん。未然に防げるならばそれもよし、すでに起こっているならば対処は任せたぞ」


 同じ考え、同じ行動を取る並行世界ではあるが、ルシードがそうであったように、ジェフリーが違う道を進んだ可能性はある。

 今回の事件はあまりに痛ましいことからも、どこかにそんな世界があって欲しいものだとベルは願う。


「私からも一つだけ」


 その想いを同じく持っていたベルたちが頷く中、これだけは伝えておかねばと、少女は口を開く。


「ここに眠る少年のことを、君たちの世界にいる私に告げてはならないよ。いくら私でも、複数の私が押し寄せて来ては分が悪い」


「……ふむ? よくはわからぬが、承知した」


 これ以上の手土産としての話はないが、別世界とはいえ、自分を育ててくれた少女に言われては断れるものではない。並行世界のベルたちは素直に頷き、自分たちの世界へと帰って行った。


「これで問題はないだろう。このことを知らない世界のベルと私も、世界の修正力によって自然と関係を修復するはずだ」


 少女の考えでは、おそらくはルシードこそがこの世界の特異点だ。

 この世界でだけルシードが生き延びたのも、そう考えれば辻褄が合う。


 それというのも、どの世界にも一人だけ、特異点となる者が存在する。

 それは無限に広がる並行世界でたった一人、同一存在でありながら別の世界とは違った行動を取る者であり、その者にとって、その世界こそが他にはありえない――単一世界となる。

 ならば当然、他の世界では別の者が特異点として、他の世界にはない行動を取るわけだ。


 しかし、特異点となった者が亡くなっても、世界が終わるわけではない。しょせんはただの人間であり、そのほとんどが世界になんの影響も与えずに死んでいくものでしかない。

 そして特異点を失っても世界は続き、その世界に新たな特異点が生まれることもない。その世界は特異点のものであり、それまで誰も特異点が存在しなかった世界にも、いつか特異点となる者が生まれるために、世界が存在する。

 ただ、その世界こそが自分の単一世界であると気づけるわけもなく、生涯を終える。


 いくら魔王と呼ばれる少女でも、そんな存在がいつ生まれ、どこにいるかを知ることはできない。なんとも希少な存在と出会えたのだと知れば、暇を持て余すが故に、珍しい物見たさに並行世界の自分が押し寄せてくることは想像に難くない。

 ルシードの存在がこの世界の歴史に何も影響を及ばさなかったと強調するようにベルたちに伝えたのも、それを知られないためでもある。


「……ルシードのことを知られると、何かまずいことでも?」


 そうと知らないベルは、何か問題でもあるのだろうかと尋ねる。

 いくらルシードのことを知ろうとも、死んだ人間が相手では興味もないはずだ。どうしてベルは少女がルシードのことを隠そうとするのか、疑問である。

 しかし、少女はそのことを語るつもりはない。希少すぎる存在ではあるが、本来の目的は別にある。


「ここへ来た理由の一つに、この少年にはエンバリーでベルと再び合わせてくれた恩があったからなんだ。今日はその恩を返すためにここへ来た」


 死んでしまった少年に、何を返すと言うのだろうか。ベルには疑問が増えるばかりだ。

 そう思っていると、少女は虚空から何やら取り出してみせる。


「それは……?」


 少女が取り出した物。それは小瓶だった。

 その中には、青い炎が灯っている。


「この少年の――魂だ」


 少女の口から当たり前のように出て来た単語に、ベルは絶句するしかない。


「この少年があの精霊と契約をしていることは見てとれたからね。……近い将来、命を落とすことは想像に難くなかった。そこで死後、私のもとへ届くように手を施しておいたんだ」


 ルシードが契約していた精霊とは、アルマリーゼのことだと瞬時に理解したベルも、どうして命を落とすことになるのか、アルマリーゼの魔剣としての能力に何か問題でもあったのか。

 困惑するベルは、理解が追いつかない。


「しかしこの少年を見るに、私の想像とは少し違ったようだね。あの精霊もまた、少年に変えられた一人なのだろう」


「そ、それで……その魂を使って、何をすると言うんじゃ?」


 もはや理解しようとしている場合ではない。もしやと考えた想像が、ベルの頭から離れなかったからだ。


「これがあれば――この少年を生き返らせることが可能だ」


「で、できるのか!?」


 やはり想像した通りだったのだ。ベルはルシードが生き返ると聞き、身を乗り出すようにして少女に迫る。


「……ただ、私にはそれをすべきか、迷いもある」


 しかし、ルシードを生き返らせることが可能だと言う少女は、考え込むようにして目を伏せた。


「何か……問題があると?」


 その様子に、ベルも不安が募る。

 ルシードが生き返ることによってその身に害が起こるならば、素直に喜んでもいられない。


「いくら私でも、死んだ者を生き返らせるほどの力はない。それを成すための条件として、死んだ者の魂に加え、ある物が必要だったんだ」


 いつだったか、少女本人が死者を生き返らせることはできないと言っていたのは本当だ。

 あまりの展開の速さと驚きに忘れていたベルは、死んだ者の魂と、少女が言うところのある物とやらがあればできたのかと、今になって知る。


「必要な物? あなたでも手に入れることができない物なのか?」


 だが、魔王と呼ばれる少女が手に入れられない物などそうそうあるはずもない。それがなんなのか、ベルは問う。


「――常夜の雫」


 そして少女の口から出た名称。

 それは、かつて少女が手にしていた魔石。それを、ベルは目にしたことがある。


「確か……あなたが持っているのではなかったか?」


 何かに使ってしまったのだろうかとベルは考える。

 その時に語られた話から、世界に一つしかない物だと認識している。すでに世界から消えてしまっていたならば、ルシードは生き返ることができないということだ。それがないと言われては、大問題である。


「かつて私が持っていた物ではあるけれど、この少年が契約していた精霊に貸し与えた物でもある。これが困ったことに、世界に一つしか存在しない物だ。あれは所持する者、魔に属するという制約はあるけれど、所有者に合わせて魔力を増幅させる効果がある。只人が持ってもそれほど意味はないが、私が持つことで、少年を生き返らせるほどの魔力を引き出すことができる」


 どこで失ったのだろうかと考えるベル。

 そこへ届いた少女の言葉に、ベルはそれほど難しい要求でもないように思えて仕方がない。


「……む? それではアルマリーゼから受け取れば良いのではないのか? あの娘ならば、ルシードと天秤にかけるほどでもないはずじゃ」


 貸し与えたと言うならば、取り戻すことも容易なはずである。

 何がそこまで少女を悩ませているのか、ベルには理解できない。


「そうしたいのはやまやまではあるけれど、エンバリーであの子を再び目にした時にはどこかで失ったようだったんだ。いくら私でも、この世界のどこかにあるかもわからない物を見つけ出すことは容易ではない。先程は少年の過去を覗き見たように言ったけれど、実際にはこの世界と並行世界との違いを照らし合わせ、見出して述べただけにすぎないんだ。私は未来視を持っているわけでもなければ、過去視を持っているわけでもないからね」


「それは……困ったの。どこで失ったかを覚えておればいいんじゃが……あなたから借り受けた物をすぐに探そうとしていなかったところを見るに、どこで失くしたかもわからんのじゃろうな。並行世界から取り寄せようにも、すでに失っているのでは同じか……」


 二人を悩ませるこの問題は、本来ならば問題にならなかったものである。

 起こりえた未来ではここにルシードの遺体があることはなく、ジェフリーが起こした事件を解決したベルがルシードに会うために王都に向かい、そこで初めてルシードの死を知り、そこへ現れた少女が常夜の雫の名を出したことで、ルシードから譲り受けたルーファが取り出して見せるのだ。

 だがそれも、レアという名の少女がかかわったことで、問題となっていた。


「では、それが見つかるまでルシードは生き返ることができんということかの?」


 魔王と呼ばれる、いや、この世界の頂点に立つとされる少女が見つけることは不可能と暗に言ったのだ。ルシードが生き返ることは絶望的であると知りつつも、ベルは尋ねる。


「そういうわけでもないんだ。最初に言ったように、この魂があれば生き返らせることは可能だ。実のところ、もう一つだけ手はある」


「……今の問題とは別に、違う問題があるというわけじゃな?」


 手があると言いながらも実行しようとしない少女に、ベルはその内容を聞くべく問う。


「この案を採用すれば……少年は永遠を彷徨うことになる。しかしその方法では、この少年に私と同じ、寂しい思いをさせてしまうのではないかという懸念がある」


「永遠を彷徨う? それは……永遠に生きるということか」


 ベルの呟きに、少女は頷く。

 常夜の雫があれば、ルシードを人間として生き返らせることができた。

 しかし、それがない今、少女に取れる方法は、自身と同じ存在にしてしまうしかない。それでは、この少年もまた、自分と同じく寂しさの中を永遠に生きるのかと思えば、他人事でもなかった。


「……クハハ、なんじゃ、その程度の問題か!」


 そんな少女に対し、ベルは笑う。

 つい先程までならまだしも、今のベルにとって、少女にとってもたいした問題ではないように思えて仕方がないからだ。

 少女が驚きで目を見張る表情も、今のベルには笑いの種でしかない。


「あなたがワシを見つけたように、ルシードにも誰かを見つける日が来る。そうでない時は、あなたとワシがこの子の側にいてやれば良い。……そうではないか?」


 そんなベルから出た言葉に少女は呆気に取られ、そうであったと笑う。


「――ふふっ、そうだった。私がそうであるように、この少年にも、ともに歩んでくれる者が現れるに違いない」


 それに何より、ベルが言うように見つけられなかったとしても、同じ思いを持つ者同士、自分たちが側にいれば良いではないかと。


「迷いは晴れた。これ以上は悩む必要はないようだね」


 ならば迷う必要もない。

 少女は再び虚空からある物を取り出す。

 それは――


「ば、馬鹿な! 生命の樹じゃと!? まさか本当に存在しておったのか!?」


 存在しえないと言われていたもの。

 少女の手のひらにおさまるほど小さなそれは、この世界において、すべての生あるものを作り出した根源とも呼ばれるほどのものである。


 実際に見たことがないベルでも、どうしてその名が出てきたのか。どうして即座に本物だと思えたのか。自身に問いかける疑問も出ないほどに、本物だと心に落ちるものがある。

 そして同時に、確かにこの樹ならば、人を生き返らせることも、永遠の命を授けることも、疑う余地はどこにもない。


「原初にして最古から存在する物の一つだ。……では、始めようか」


「うぇ!? ほ、本当にそれを使うつもりか!?」


 やはり当たり前のように事を進める少女に、ベルは待ったをかける。

 おそらく少女は生命の樹をルシードの魂と融合させ、ルシードの体に戻そうというのだ。ルシードの体内に残るとはいえ、再びルシードの体内から取り出さない限り、二度と日の目に出ることはない。

 生命の樹を体内に宿すことから永遠に生きると言うなれば、事実上、この世界から消えてしまうこととなる。


「使うも何も、私にはこれしか使える物がないんだ。それに、ベルも賛同したばかりだろう?」


「ワ、ワシがもう一度ルシードに会いたいという想いから口にしてしまったことは認めよう。じゃが、まさか生命の樹が出てくるなどと誰が思おうか。世界に一つ……いや、存在しえないとされる物を使ってまで生き返らせてよいものかと悩む気持ちもある」


 生命の樹と呼ばれるものが存在しており、それが出てくるなど誰も思わないだろう。

 この少女にとってはたいしたものではないのかもしれないが、ベルにしてみればこの世界そのものと言っても過言ではないものだ。

 それをただの人間に使って良いものか。ベルは迷いに迷う。


「そもそも、それを失っては新しく人が生まれなくなるということはないかの?」


「その心配には及ばないよ。人は独自に進化を遂げ、この樹がなくとも子を育むようになった。これは人間が生まれた、ただのきっかけにすぎないんだ」


 生命の樹を失っても人は存続する。

 そう聞かされてもなお、ベルは悩まずにいられない。


「……やはり止めておくべきかな?」


 少女にとっては常夜の雫しかり、生命の樹しかり、惜しいと思うことはないのだが、あまりにもベルが悩むものだから、流石の少女も再び迷う。


「い、いや、しかしこのままルシードと会えなくなってしまうというのも寂しいものがある。……いやいや、ワシの我侭でこの世界の至宝とも呼ぶべきものを使って良いものか……」


 頭を抱え、左右に振れるベル。

 そんなベルを見て、


「ふふっ、やはりこれを使うことにしよう」


 少女は笑い、生命の樹にルシードの魂を取り込む。


「我が子にも等しい君の我侭だ。親としては、叶えてやりたくなるというものだよ」


 次いで出た言葉に、唖然としていたベルもはにかむように笑い、


「……ありがとう」


 照れるあまり小さくなってしまった声を返した。


 その声に少女はもう一度笑い、レアが張り巡らせた結界をいともたやすく振り払うと、ルシードの魂を取り込んだ生命の樹を、ルシードの動きを止めた心臓部分へと送り込む。

 たったそれだけで胸の傷は塞がり、ルシードの体に生者の色が戻る。


「これで直に目覚めるだろう」


 少女が言うのだ。それは確定した未来に違いない。

 その証拠に、ベルがルシードの心臓部分へ耳を当てると、心臓の代わりとなったであろう生命の樹から脈打つ鼓動が聞こえてくる。


「これでベルともう一度会わせてくれた恩は返した。次は、もう一度ベルと歩む道を授けてくれた恩を返すべきだろうね」


 律儀にもすべてに対して恩を返そうとする少女に、ベルは苦笑する。


「死んでしまったというのに生き返らせてくれたというんじゃ。これ以上は何もする必要はないのではないか?」


 ルシードがどうして死んでしまったのかを知らないベルは、自らの過ちから死んでしまったものを生き返らせてくれたならば、逆に恩を返すべきではないかと考える。


 しかし、レアから聞き及んだ内容から、少女はルシードがどうして死んでしまったかを知っている。

 そしてそれは、ルシードをむざむざ死なせるような必要もなかったという、ベルへの負い目もあるかもしれない。


 本当ならばアルマリーゼの存在を知っているが故に、死ぬ前に助けるべきなのだろうが、再びベルに会わせてくれた恩を返すと言いながら今まで放置していたのも、ルシードを生き返らせるという口実でもなければベルに会いづらかったからだ。

 実のところ、前回泣かせてしまったベルの機嫌を取れる上で会いに行く口実さえできれば、それはなんでも良かったのである。

 その時の教訓からも、ベルの言葉遣いに言及することは、二度とないだろう。


「この少年を生き返らせたのは君の……そして私の我侭だ」


 そしてルシードが特異点だと知った今、少女には興味がある。


 この世界が――すべてが同じ行動をする別の世界こそが正しいのだと認められないのか、一見間違っているように見えるこの世界こそが正しいのだと認められるのか、ルシードが進む未来を見てみたいと思うようになっていた。


「実を言うと、この少年は満足して死んでいった。むしろ、生き返らせたと言うより、叩き起こしたが正しいのかもしれない」


「む、そうじゃったのか……」


 少女の言葉が正しければ、ルシードはジェフリーに殺されたというわけでもないようだ。

 ルシードが満足して死んでいったのだと知っていれば、ベルもルシードを生き返らせようとはしなかったかもしれない。

 とはいえ、もう手遅れである。


「それならば、何かしてやらねばならぬか……」


「ふむ。ベルなら何を贈る?」


 人に貸し与えたことはあれど、ベルに対しても贈り物などしたことがない少女は、人間は何を贈られれば喜ぶのかとベルに尋ねる。


「ワシなら……世界の半分――」


 そしてベルは、魔王たるもの、人に贈るものは決まっていると冗談交じりで口にしてしまったことを後悔する。


「世界か。その程度で良いのならすぐにでも――」


 ベルにとっては冗談でも、少女にとっては違う。冗談など通じない相手なのだ。


「い、いや、何事も順序が大事じゃ!」


 だが、


「ふふっ、冗談だよ」


 慌てて止めようとしたベルの思いとは裏腹に、少女は笑う。

 ベルが心配することなく、少女にとっても冗談だった。

 たとえ少女を知る誰もが少女のことを魔王と呼ぶ世界でさえも、やはり人の心を持った少女なのだ。

 頂点に立つが故に誰に相談できなくとも、寂しさを覚えてしまうことは仕方のないことなのだろう。

 そんな少女が不器用にも冗談を口にしたのは、初めてかもしれない。


「一人でやってしまっては何も変わらない。そうだね……この子には私の右腕として働いてもらおうか。そうすれば、ともに世界を取る楽しみがあるというものだ」


 と、思いきや、この魔王、ノリノリである。


 そういうことではないのだが、ベルに何か言えるはずもない。

 自分の不用意な一言のせいでどうしてこうなってしまったのかと悔やむが、同時にこう思う。

 それはそれで楽しそうだな、と。


「……その時はワシも手伝うとしよう」


「ふむ。あまり群れるのは好きではないけれど、二人だけというのもそれはそれで(おもむ)きがないかもしれないね」


 少女はなにやら考え、


「では、恩を返すという意味でもこの子には私の右腕を、ベルには四天王の一角を担ってもらおうかな。魔王と呼ばれる者には必要なのだろう?」


「そ、そうじゃな」


 弟子が上司になるというのも考え物だが、少女が口にしたことをベルに否定できるはずもない。


「では、そろそろ私は帰るとするよ。君も、今は帰る場所があるだろう? 私のところへは、気が向いた時にでも来てくれると嬉しい」


 ともに歩む道が戻ったとはいえ、すぐに連れて行っては悲しむ者がいることを少女は知っている。そのことをベルに伝え、コートを翻した。


「この子の目覚めを待たんのか?」


「ふふっ、柄にもなく緊張しているのかもしれないね。暇な時に会いに行くと伝えてくれれば、それで良いよ」


 いつも暇をしているはずだ。明日にでも来かねない。


「そうか。ワシはしばらくはこの子の側にいる。近いうちに、今度はワシからも会いに行くよ」


 それでもベルは、次に会う時が楽しみだとばかりに笑い、こちらからも会いに行くことを伝えた。

 そしてその返事に、少女は満足気に頷き、この場から姿を消した。

ここでお断りをさせていただきますが、ネタバレに直結する感想は、まだ未読の方のためにも、返信することなく削除させていただくことがあるかもしれません。

肝心な部分は伏せるなどの形で投稿していただけたらと思います。

その点、どうかご理解ください。

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