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白いカーネーション

 今更かもしれないけれど、貴方に伝えたい言葉があるんだ。あの時は素直に言えなかったけれど、今の僕だから言える言葉。

 あから始まる大切な言葉、ありがとう。

 今更かもしれないけれど、貴方に伝えたい気持ちがあるんだ。あの時は素直に言えなかったけれど、今の貴方にならはっきりと言える気持ち。

 あから始まる大切な気持ち、愛してる。


 照れ臭いね。なんて言って、二人で笑い合った日が懐かしい。

 まだ素直になり切れずに、そっぽ向いてさり気なくだけれど、そっと差し出した花束。

 あから始まる大切な贈り物、赤いカーネーションを。


 貴方には、迷惑ばかり掛けた日々もあったよね。

 反抗したくて、暴言なんて吐いて困らせた日もあったよね。

 それでも貴方は、いつもいつでも僕を想っていてくれた。

 言わせて。ごめんなさいと、ありがとう。



 今更かもしれないけれど、貴方と叶えたい夢があるんだ。あの時は素直になれなかったけれど、今の僕だから出来る夢が。

 あから始まる大切な夢、歩き出そう。

 今更かもしれないけれど、貴方に届けたい想いがあるんだ。あの時は素直になれなかったけれど、今の貴方になら届く想い。

 あから始まる大切な想い、ありがとう。


 何年も何年も、僕は貴方を遠ざけ続けた。

 自分だけが苦しい。と、勝手に思って貴方に当たって。貴方を苦しめ続けた。

 あから始まる大切な思い出、殴られ赤くなった頬さえ貴方の優しさだったというのに。


 気付いたときには、貴方はいつも僕の隣にいてくれたね。

 間違ったことをしたときには、すぐに正してくれたね。

 当時の僕にはそれを優しさと思うことも出来なくて、暴れ回った。

 本当は素直になりたかったのに、ごめんなさいが言えなくて。


 厳しく怒鳴り付けて、ときには涙を流してくれたこともあった。

 それでも僕は、自分の過ちを間違いを認めることをしなくて。

 慰めてよ。抱き締めてよ。

 失ってから貴方の大きさに気付き、泣き叫ぶ。僕を置いて行かないでよ。


 気付いたときには、貴方はもう僕の隣にいないんだね。

 歩き出せたんだと、それを伝えたかったのに。喜んで欲しかったのに。

 もう遅いんだね。微笑んで待ってくれていた貴方は、いなくなっていたんだよ。

 伝えさせて。ごめんなさい。そして、ありがとう。


 あから始まる大切な言葉、貴方に送りたかったよ。代わりに贈るのは。

 白いカーネーション。

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