さようなら
どこに迷い込んでしまったのでしょう。それは、本当に素敵な街なのでした。
今まで、見たこともありません。ここまで夢で溢れる街初めてで、立っているだけでも幸せになります。
そこにいる人。それは皆が、皆が笑顔で溢れていました。
絶え間なく、冷たい吹雪が体を打ち付けてくるんだ。
その冷たさに耐えられなくて、僕は瞳を閉ざした。瞼に映っているのは、とても美しい氷の世界。ここだけでしか見られない、素晴らしい夢の街。
そこはまるで楽園。僕が目指していた、楽園なのだろうか。
どうして迷い込んでしまったのでしょう。それは、本当に過酷な山なのでした。
どこを見ても視界は真っ白で、完全に閉ざされているようでした。吹雪に打たれて、辛い辛い冬の雪山なのでした。
そこには人がいない。どこを見ても人影など微塵もなく、僕と友は明らかに孤立していました。
絶え間なく、賑やかな太鼓の音が鳴り響いてくるんだ。
その楽しそうな光景に、僕は瞳を見開いた。視界に映ってくるのは、とても美しい氷の世界。ここだけでしか見られないであろう、実に素晴らしい夢の街だった。
それを見た瞬間、僕は思った。そこはまるで地獄だ、と。僕が逃げ続けていた、地獄なんだろうと。
ここは、誰も見たことがない氷で出来た世界。それは、誰も見たことがない美しい世界。
目を閉ざせば、そこに広がる楽園としか表現のしようがない、賑やかで幸せな世界が広がっている。しかし目を開けば、楽園から地獄へと呼び寄せられていく。恐怖へ誘う白に、心身ともに凍えていく。
楽園と地獄と、どちらがいいか。迷うことなく僕は答えを出した。楽園を夢見たい、と。だから僕は、楽園を見るべき瞳を閉じる。
さようなら。