スポーツの秋
どんどん衰えていき、細くなってしまった腕。もう歩くことすら覚束ないような脚。
それでもまだ、諦めたくはないんだ。と、君は立ち上がったんだ。
まだまださ! 若い子に負けてなんかいられない。
走り出せ! 走り出す! 僕と君と、手を繋いで。
もう遥か遠く、青春の日のようだ。あの日と変わらぬ青い空を、あの日と変わらず二人で見上げている。
大切なことすらも、どんどん忘れていってしまう。人の言うことを聞かず、頑固になってくる自分が悲しい。
それでも、愛だけは忘れたくないんだ。と、僕は立ち上がった。
もうさすがに、若い頃のようにはいられないだろう。
あの日に戻りたい。前へと進みたい。迷いながら、僕と君とで立ち尽くして。
まだ記憶に残る、懐かしい青春の日のように。本気で、悩んでみたんだよね。
読書の秋? 芸術の秋? そんな難しいことは、わかるような僕じゃない。
そう、食欲の秋だろ。そして何よりも、やっぱりスポーツの秋だろ。
大人しくなんて、そんなんじゃ僕らしくない。ジッとなんてしていられない。
まだまださ! 若い子に負けてなんかいられない。
歩き出せ! 歩き出す! ゆっくりだって、いいんだよ。
もう遥か遠く、青春の日のようだ。本気で、悩んでみたんだけれど。
変わらぬ青い空を見上げていたら、悩みも全部吸い込まれていっちゃったね。
スポーツの秋。




