俺氏、朝のひと時
今回が初投稿となります。小説を書くのも初めてなので、拙い文章ですが、楽しんでいただけたらと思います。
まだ一話目ですが、これからどんどん話を展開させていきたいと思います。
よろしくお願いします。
そこは高層ビルの屋上。二人の男がいる。
俺は黒いローブを着た男に向かって言った。
「やっと見つけたぞ! No.0! 仲間の仇、今ここで討つ!」
「フッ・・・・No.4ごときに、何ができる」
男は俺をあざ笑うように言った。
「俺は、お前を倒すために最強の魔法を編み出した!」
俺は手を相手に向け、詠唱を始めた。
「闇夜を照らす一筋の光、閃光と共に無に帰せ! 聖天界魔法、ホーリーエンシェントノヴァ!」
詠唱が終わる頃には、俺の手の前に大きな魔法陣が形成され、そこから七色に光る光の刃は飛んで行った。
「やはりその程度か・・・・」
男はそう言うと手で空中を払った。すると空中に黒い球体が現れ、俺の魔法はそこへ眩い光と共に吸い込まれていった。
「な、なんだと・・・・俺の魔法が、消滅した!?」
「何が最強だ。 この程度、俺に当てることすらできない」
俺は絶望した。急に天気が悪くなり、雨が降り始めた。
「今日はお前の命日になるな。最後に、本当の最強の魔法を見せてやろう」
男が両手を高々と掲げ、詠唱を始めた。
俺にはどうすることもできない。
「闇の眷族達よ、今我に絶対なる力を与え、
絶望の淵へと誘え。闇黒の十七魔法、
邪龍・双竜砕波!」
掲げた手の上に大きな闇のエネルギーが集まり、そこから龍が出てきた。
全てを飲み込む闇の龍が、俺に向かってくる。
ああ、悔しい。すまない・・・・
みんなの仇、討てなかっジリリリリリリリリリ
「ハッ!!」
俺はそこで目が覚めた。夢オチかよ・・・・
「はぁ・・・・」
俺はため息をつくと、うるさく鳴っている目覚まし時計を止めた。
何で高校生にもなってこんな厨二病な夢を見るんだ。しかもなんだよNo.4って、けっこう下じゃねえか。そんなことをぶつぶつ言いながら、朝の支度を始めた。
俺は藤井 帝人高校2年生だ。別に厨二病ではない。超普通な男子高校生だ。勉強も運動も普通、顔も性格も普通だ。そして年齢=彼女いない歴である、チェリーボーイ、いわゆる童貞って奴だ。
「お兄ちゃ〜ん、朝ごはんできたよ〜」
妹が下から読んでいる。準備を終え、一階へ向かうと、制服の上にエプロンをつけた妹が、朝食を食べていた。
「お兄ちゃん、早く食べないと覚めちゃうよ〜」
彼女はさっきから言ってる通り、妹だ。名前は藤井 結衣。普通に可愛いし、成績も運動も優秀で、性格も言うことなし。
俺にはもったいないほどだ。欠点があるとすれば少々ブラコン気味なことぐらいだ。
「いただきまーす」
今日の朝食はパンに目玉焼き、そして梅干しがある。最近母さんがはまっている、『毎朝梅干し健康法』の影響だろう。
そこで親が二人ともいないことに気づく。
「あれっ、母さんと父さんは?」
「なんか仕事が急に早くなったらしいよ〜」
「ふ〜ん・・・・」
じゃあ今ここにいるのは俺と結衣だけか・・・
いやっ、別に変なことを考えたわけではいないぞ・・・・
「ってことは、今この家にいるのは、お兄ちゃんと私だけだね〜♡ ンフフ〜」
・・・・心を読まれたのか。
俺は早めに朝食を済ませ、そこから逃げるようにして言った。
「じゃあ俺はもう学校行くから、結衣も早く行けよ。あと、ちゃんと鍵閉めろよ」
「は〜い、わかってま〜す! 行ってらっしゃーい!」
「行ってきまーす」
家を出て、時計を見た。時刻は8時3分。ホームルームまであと12分。
「間に合うかな〜」
俺は足早に学校へ向かった。