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シニアの戯れ96
鼠がごそごそはい回り、鼠に殺される夢見るよりは増しじゃろうと、じいさんは言った。
私は尋ねた。
「ところでじいさん、何処に引っ越すんだ?」
「このアパートの裏手じゃよ」
「何でまたそんな近くに引っ越しする事に決めたんだ?」
「このアパートは古くて鼠も出るし、夢見がな悪いんじゃよ」
私は腕組みをして答えた。
「でも、じいさん、引っ越しというのは、結構命懸けみたいなところもあるからな?」
じいさんが私を睨みつけ言った。
「鼠がごそごそはい回り、鼠に殺される夢見るよりは増しじゃろう?」
私は頷き答えた。
「まあ、それはそうだがな」
 




