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シニアの戯れ94
引っ越すから選別をくれと、じいさんが言い出した。(*_*)
じいさんが言った。
「俺今度引っ越すんじゃよ。じゃからの、何か選別をくれないか?」
選別という語句を聞いて私は訝った。
「選別と言って、じいさん、遠いところに引っ越しちゃうのか?」
じいさんが普通に笑い答えた。
「いや、近くだよ。わしは福祉に世話されているしな。遠くには行けないわけだ」
「じゃあ、選別というのはおかしいじゃないか、じいさん?」
じいさんが咳ばらいをしてから言った。
「あんた、本書いているよな。それを選別にくれ?」
私は合点が行かず、短く笑い言った。
「そりゃ構わないけど、それを選別にするのは変じゃねえか、じいさん?」
ボケていないじいさんが続ける。
「引っ越しに選別は付き物じゃろう。それが近くの引っ越しでも関係なかろう?」




