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シニアの戯れ79
あのひひひと言う笑い声がカンに障るのだよなと、私は言った。
私は女房に相談を持ち掛けた。
「うーん、泣き落とすのも駄目だ。どうする?」
女房がひとしきり瞬きを繰り返してから言った。
「どこか、落とし所があればいいのよね?」
私は歎いた。
「半分ボケている老人に落とし所なんかあるのか?」
女房が頷いた。
「それは絶対あるわよ。ボケていたって、正気の部分もあるのだから、一人暮らししているのだし」
「あのひひひと言う笑い声がカンに障るんだよな。実際の話し」
女房が一声笑い言った。
「それは仕方ないわよ」
私はため息をつき告げる。
「しかし、早くしないと、ついてくれるあの子の気持ちも心変わりしてしまうぞ」
女房が頷き答えた。
「他の客つけて、ごまかすしかないじゃない?」
「他の客つけて、納得するかな、あの子?」
「中高年には変わりないのだし、納得するわよ。金無いからやるのでしょう?」
私は頷いた。
「まあ、それはそうだよな。分かった。段取りするわ」
 




