77/273
シニアの戯れ77
泣き落とすしか無いじゃないと、女房は助言して来た。
情けない。
その一言に尽きる。
長年付き合って来た相手がボケるのは、堪らなく悲しい。
私は目頭に滲んだ涙を指先で拭い、腕組みをして、深くため息をついた。
どうして良いのか分からず、途方に暮れる。
福島じいさんは頑固だ。その上にボケてしまったら、手がつけられない。
どうしたら良いのか分からず、私は独りごちるが。
そんな私の脳裏にじいさんとの楽しい思い出が甦り、私はもう一度滲む涙を拭い、ひたすら思案に暮れてると、女房が助言して来た。
「泣き落とししか無いのじゃない?」
私はその言葉を聞き、我が意を得たりと、大きく頷いた。
 




