シニアの戯れ69
腹減ったのと、ボケの問題は別だろうと、私は喚いた。
電話を掛け続けていると、今度は本当にじいさんが出たので、私は苛立たしく喚き散らした。
「じいさん、何変な悪戯しているんだ。ふざけるなよ?!」
じいさんが答える。
「あーん、わしは何も悪戯なんかしていないぞ?」
私はまくし立てた。
「ピューとかキーとか、変な音立てて悪戯したじゃねえか、じいさん、白切るなよ?!」
「そんなの知らんぞ、わしは。あんた夢でも見たのじゃないのか?」
私は訳が分からず嘆息した後、言った。
「じいさん、本当にボケちまったのか、しっかりしてくれよ!」
じいさんが一声笑い答えた。
「わしは何もしちゃいないし、ボケてもない。ただ腹が減っただけじゃよ」
私は混乱する頭を整理しながら言った。
「腹が減ったのと、ボケの問題は別じゃねえか、じいさんよ?!」
じいさんが事もなげに答えた。
「あんたの声がうるさいから、わしは腹が減ったんじゃよ。悪戯したのも電話が勝手にした事じゃろう。わしには関係ねえや。とにかくわしはあんたの店では遊ばないと決めたんだ。それじゃそろそろ電話切るぞ。野球観戦するのだから、邪魔するな」
それだけ言ってじいさんは電話を切った。




