シニアの戯れ4
福島のおじさん、きっと面白味がなかったのよと、女房は言った。
老人の性は深いテーマとなる。
それも孤独な老人ならば、尚更だと思う。
私はこの問題を違う視点で捉らえている。
経験値から、昔遊郭で遊んでいた老人は女の子を粗末に扱うきらいがあるのだ。
ヘルスでの遊びと遊郭での遊びの区別がつかず、畢竟乱暴になるというデータがあるわけだ。
私は長年ヘルスを運営していて、この老人の性問題における、不可抗力とも言える命題、女の子に乱暴するという事柄に関して、福島のじいさんは例外視している。
福島のじいさんは至って紳士的で優しく、けして女の子に本番も強要しない、素晴らしい客なのだ。
そして福島のじいさんは風呂好きで、女の子と一緒に談笑しながら風呂に入るのが好きで、女の子が湯あたりする程だった。
その日も、福島のじいさんは終始恵比寿顔でプレイを楽しみ、ホテルから出て来たのだが、後がいけなかった。
帰りの車の中で福島のじいさん、子供達とも一言も言葉を交わさず、むっとしたまま帰宅したのだ。
私は女の子に尋ねた。
「どうだった、いい客だったか?」
女の子が答えた。
「そうですね。いい優しいお客さんだったけれど、話しが弾みませんでした」
私はその言葉を聞き、じいさんはこの子を気に入らなかった事を察知した。
その旨を女房に話しすると、女房は素っ気なく言った。
「その子大人しいだけで、福島のおじさん、面白味がなかったのよ、きっと」