シニアの戯れ20
福島のじいさんは寡黙で、飾りなく渋く、私はじいさんを親父のように慕っていた。
思えば福島のじいさんとは長い付き合いだ。
昔私がピンサロの店長をやっていた頃からの付き合いになる。
かれこれ二十五年の付き合いとなる計算だ。
当時は福島のじいさんも大工現役のバリバリであり、月収百万円は取っていた。
昔の人は宵越しの金は持たない。
ましてや福島のじいさんはちょんがーだから、遊ぶ時は徹底していた。
一回来るとピンサロで五万超えを使うのだ。
しかし福島のじいさん、職人気質で、気に入った子でないと、口もきかない。
サービスも一方的に受けるだけで、何もしない。
細面のその顔は職人らしくべらんめい調で、一切気取りなく、渋いだけだった。
私はそんな上客である福島の親父を、まるで父親のように慕っていた。
営業の最中に福島のじいさんが私を焼肉に誘ってくれて、私はビールを飲み、一人で焼肉を頬張ったのだが、福島のじいさんは酒も飲まず、焼肉にも一切手をつけなかった。
私が何故食べないのだと尋ねると、福島のじいさんはこう答えた。
「俺は痔で酒は駄目だし、焼肉も頭痛くなるから駄目なんだ」
私は笑い言った。
「親父、女一筋か?」
その言葉を聞き流すように福島のじいさん、腕を組み微笑むだけだったのを覚えている。
思えば、あの時福島のじいさんは脳梗塞を患っていたのに、私はそれに気が付かなかったのだ…。




