シニアの戯れ113
だから皆独り暮らしの老人だと思って馬鹿にしているのさと、じいさんは言った(*_*)
ネズミが出るというのを聞いたので、私はじいさんの部屋には入らず、立ち話を続ける。
「しかし今回のネズミ騒動は、こんな劣悪な住環境に住まわした福祉にも責任の所在はあるのだから、じいさんが担当の選択肢を持ってもいいんじゃないか?」
「いや、福祉側はこのアパートにネズミが出る事を知らなかったのだから、責任は無いじゃろうな。その責任があるとするならば、不動産の方じゃろうな」
「不動産にその旨は伝えたのか?」
じいさんが頷いた。
「当然伝えたさ。だがネズミが出る事実など知らぬ存ぜぬだったわい」
「シラ切られたら、どうする事も出来ないものな。実際問題?」
じいさんが憤る。
「老人の独り暮らしだと思って嘗めてやがるんだよ。だから、きっちりと敷金は返却して貰ったわ!」
私は笑い言った。
「でもそれは当然福祉に吸収されたのだろう?」
「そりゃそうだ。出したのは福祉だからな。福祉に返すのが筋じゃしの」
「何だか面倒臭い話だな?」
怒り顔でじいさんが言った。
「だから皆独り暮らしの老人だと思って馬鹿にしているのさ!」




