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シニアの戯れ102
だったら能書き言うなよ、馬鹿野郎と、じいさんは言った。
「じいさん、そんな意地張っていたら、命がいくつ有っても足りないぞ?」
じいさんが答える。
「嫌なものは嫌なんだ。それを曲げての命なんか欲しくねえや」
私は息をつき言った。
「本気で言っているのか、じいさん?」
じいさんが頬を引き攣らせて言った。
「薬の副作用で俺はボケ老人になって死にたくねえんだ。そしたらあんたも困るだろう、違うのか?!」
私は尋ねた。
「それはどういう意味だ、じいさん?」
じいさんが念を押す。
「俺はあんたのところの上客だろう。俺が死んだら、あんた、困るだろう、違うのか?」
私は答えた。
「そりゃそうだ」
じいさんが息巻いた。
「だったら能書き言うなよ、馬鹿野郎!」




