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シニアの戯れ100
あの医者は夜中騒ぐネズ公よりもたちが悪いわと、じいさんは言った。
私はじいさんに尋ねた。
「じいさん、引っ越しをするという事は掛かり付けの病院も変わるのか?」
「うーん、それは変える必要は無いわけじゃが、薬を変えるつもりならば、病院も変えないとな」
「それは必要無いだろう。掛かり付けの医者に言って変えて貰えばいいだけなのだから?」
じいさんが首を振った。
「いや、それがわしとしては嫌なんじゃ」
「どうして嫌なんだ?」
じいさんが顔をしかめ言った。
「わしはあの医者と反りが合わないんじゃよ。だから薬変えてくれとは言い出せないんじゃよ」
私は怪訝な顔付きをして言った。
「でも、そんな理由で病院変えても、又そこの医者と気が合わない可能性があるじゃないか?」
じいさんがしかめっつらをしてから答えた。
「それにしたってあの医者よりは増しさ。あの医者はわしにとって夜中騒ぐネズ公よりもたちが悪いわ」
 




