シニアの戯れ
私は脳梗塞のぜげんで(笑)、彼は孤独な脳梗塞の生活保護貰っている老人。この絶妙なる真偽織り交ぜた、味わい豊かな関係を描いて行きます。
随筆調の小説を描こう。
私がいかに差別偏見の構造意識と闘っているかの文章となる。
タリラリラン。
この小説は散文調なので、コミカルに尚且つ真摯(笑)に話を、フィクション、ノンフィクション織り交ぜて、思い付くままに連ねて行く。
まず私の友達を紹介しよう。
彼の名は福島のじいさんと名付ける。
彼の境遇は孤独な老人。
若い頃より、大工一筋。腕の良い職人なのだが、彼は妻を娶らなかった。
つまり生涯独身を押し通したわけだ。
かの老人は、当たり前なのだが、老人なので、今は仕事から離れ、生活保護を受けている身だ。
孤独な老人は当然世間から疎外差別されている。
ある日私は彼に電話を掛けた。
「じいさん、元気にしているか。俺、脳梗塞になっちまったよ。酒飲んでいて、いきなりろれつ回らなくなり、半身麻痺して倒れちまったんだ」
老人が尋ねて来る。
「救急車で運ばれたのか?」
私は答えた。
「いや、一分間倒れた後、自分で起きて、自力で車運転して病院行き、脳梗塞と診断された」
老人が笑った。
「それじゃ、あんたの脳梗塞は軽かったのだな。わしは後ろから突然ダンプに撥ねられてその後遺症で脳梗塞になっちまったからな。重かったんだ」
私は尋ねた。
「じゃ、じいさん、脳梗塞の手術はしたのか?」
「いや、それはしてないけどな。いまでも薬は飲んでいるわけさ」
私は彼に甘えるように言った。
「じいさん、俺は在日韓国人だから、脳梗塞になっちまったのかな?」
老人が笑った。
「何、そんなの差別じゃないか。在日だろうが、日本人だろうが、脳梗塞はなるさ。そんなの当たり前の事じゃろう」
私は自分を嘲るように笑い言った。
「そうだよな。そうだよな。病気に国境は無いからな。なんちゃってか?」
老人が虚に笑い尋ねて来る。
「あんた、ところで今日は何故電話掛けて来たんだ?」
私は昔からぜげんのような仕事をしているので、こう答えた。
「いい女の子が入ったから、じいさんにも紹介しようと思ってな?」
老人が笑った。
「又、それか。俺は金なんか持っていないよ。生活保護の身だからな」
私は笑い言った。
「まあ、そういわず頼むよ。じいさん?」