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秋桜
《秋桜》
道端に咲く鮮やかな色の花をみて、ふっと口元が緩んだ。風が吹く度に揺れて、それがまた微笑ましかった。
立ち止まって眺めていたら、なんだかアヤに似ているような、そんな気がした。
細い茎に細い葉。風が吹くとゆらゆら揺れるのに、しっかりとまっすぐ伸びて花を咲かせている。
この花もアヤも強いなぁと思った。
「秋桜、だね」
突然、隣から声がした。
驚いて横に目をやると、そこにはアヤが立っていた。
「えへへ、来ちゃった」
子供のように笑って言う姿。
それは、いつもとは違う雰囲気で。
「まったく」
呆れたように言いつつも、込み上げてくる嬉しさを隠しきれず、小さく笑った。
fin.
初出:H24 9/28
…ひとやすみ…
登下校中によく見かけるコスモス。なんとなくコスモスを使った話を書いてみたかったんです。
個人的に秋桜はコスモスではなく「あきざくら」と読みたいです(*^_^*)