表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
side story  作者: 夜音沙月
26/43

うたたね


 城の庭を歩いている時、ふとテラスに目がいった。太陽の光に照らされて、少しだけ光を放った金色の髪が視界の隅に映ったからだった。


「あ……」


 そして目にした光景に、思わず声が漏れた。

 そこには、本を開いたまま椅子にもたれて眠る、アヤの姿があった。

 夏の終わりが近づいてきていても、まだ暑い日は続いている。しかし、ほんの少しずつ風が冷たくなってきているのも本当で。暖かいからといって外で眠ってしまっては、風邪をひきかねないのだ。


 ――仕方ないなぁ。


 心の中でそう呟くと、城内に戻ってタオルケットを取ってきて寝息をたてているアヤにそっと掛けた。

 疲れと、それからつい最近取り戻した魔力のせいだろう。

 幼いころに魔力を半分も封じられてしまったアヤは、封印された魔力が身体に馴染むことなく成長してしまった。その影響が、今のアヤの身体に現れていた。

 大きすぎる魔力をもつ人は、周囲から羨ましがられることが多い。けれど、その分だけ、幼い時に普通の人以上に睡眠や休息が必要となるのだ。そうして身体に見合わない魔力を馴染ませて成長していく。

 アヤも大きすぎる魔力をもったが故に、そうなるはずだった。しかし、魔力が完全に身体に馴染む前に半分の魔力を封印されてしまったため、十分な休息をとれないまま成長してしまった。そして今、幼い頃にとれなかった休息を取り戻すかのように、アヤは眠ってしまうことが多かった。

 アヤの隣に椅子を置き、そっと金色の髪を梳いていた。


「ん……」


 短い声と共に、アヤの瞼がふるりと震えた。


「アヤ?」

「……ぁ、タクト?」


 声をかければゆっくりと目が開けられ、綺麗な翡翠色の瞳が現れる。ただ、まだ少し眠いのか、すぐに目が細められてしまった。


「まだ眠い?」

「ううん、そうでもない」


 答える声は幼さが残る、舌足らずな喋り方だった。


「そう。ま、言っても無駄なんだろうけど……」


 そう前置きすると、アヤはことりと首を傾げる。


「寝るなら何かかぶってほしいな。いくら夏でも、風邪ひくよ?」

「ごめん。急に眠くなっちゃったからさ。それに……」

「ん?」

「それに、いつもタクトが私を見つけてくれるから」


 穏やかな笑みを浮かべられてしまっては、もう何か言う気にもなれなくなる。それに、無意識のうちに向けられる信頼が嬉しくて、つい甘やかしたくなってしまうのだ。

 惚れた方が負け。

 何も言えないのも悔しいから、せめてものお返しを口にした。


「でも、やっぱり善処くらいはしてほしいな」


Fin.



…ひとやすみ…

 『さくら咲く季節 2』が終わってすぐあたりの時期のお話です。本編で封印されていた魔力を取り戻したアヤですが、幼い頃に十分な休息をとれずに成長してしまいました。その代償が、眠気や疲労感となってアヤの身体にのしかかります。そのため、昼寝をして休息をとる必要がでてきたんです。が、昼寝の習慣などないので、何度かうたた寝をしてしまうのです。

 ってそんな裏設定をあとがきで書いても仕方ないんですけどね(笑)まぁ、私が忘れないようにしておきたいだけだと思ってください。

 久しぶり?にほのぼのとした話が書けたと思います。あと、一人称で。

 個人的にはシリーズ化するつもりでいます。でも、時系列がバラバラになると思います。思いついた時に降ってきた話を書いているので。だから、次の話が急に冬になって、その次がまた夏の終わり、なんてことになるかもしれません(笑)

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。シリーズ化したら、よろしくお願いします。



執筆:H27 1/9~1/14




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ