相合傘
◇サイト3000hitお礼文◇
「あ……」
晴れていたから油断していた。
つい先程まで青空が広がっていた空からは、大粒の雨が降っていた。そして、一向に止む気配もない。
「……はぁ」
出かけ先から帰れなくなってしまった。思わず、溜め息が漏れる。
何も言わずに城を出てきたことが、今になって悔やまれる。
魔術を使えば、濡れることなく戻ることができる。しかし、ささいなことで魔術を使いたくないという気持ちが強く、力を使う気にはなれない。
このまま濡れて帰るのと、雨が弱くなってから帰り遅くなるのと。どちらが怒りを買わずにすむか、考え始める。
ぼんやりと空を見上げる。やはり止みそうにない。
これからどうするか。
そう考えていたら、向こうから紺色の傘をさして歩く人がこちらに歩いて来るのが見えた。まだ夕方だから、雨だというのに街はそれなりに賑わっている。それなのに、その紺色の傘の人が一段と目を引いた。
ぼんやりとしていたら、いつの間にかその人がどんどん近付いてきていた。
「まったく……」
前に立ったと思ったら、呆れた声が降ってきた。
かさに隠れて顔は見えなかった。けれど、声で判った。
「迎えに来たよ」
少しだけ傘をずらして、優しい声で言ってきた。
迎えに来てくれたのは、城で仕事をしていたはずの、タクトだった。
「ありがとう」
ちゃんとお礼が言いたかったのに、小さな声になってしまった。
「帰ろうか」
「うん」
頷いて、傘の下に入る。何で一本の傘で来たのか、とか、どうしてもう一本傘を持ってこなかったのか、とか。聞く気にはならなかった。
ここ最近、お互いに忙しくて、二人でいられる時間が少なかった。一緒にいたとしても、仕事中であることがほとんどだった。そのため、甘い空気になることはなかった。
タクトが私の気持ちを察してくれたのか、はたまたタクトも同じ気持ちだったのか。どちらにせよ、嬉しいことに変わりはなかった。
二人で一つの傘の下。
城に向かって歩く街。
傘に当たる雨が、優しい音楽を奏でる。
たまには雨も悪くない。
…ひとやすみ…
最近忙しくて更新できていないのに、もうすぐ3000hitを迎えるということに気付き、嬉しさでいっぱいになりました。感謝の気持ちを込めて毎回恒例のお礼文を書こうと思いました。が、忙しいのと話が浮かばないのとで書けないかもしれないと思っていたら、奇跡のようにネタが降ってきました!(笑)
雨の日が多かったので、雨降りの話です。それと、最近暗い話が多かったので、七夕の話も暗くなってしまったので……ほのぼのになりました。まぁ、この話が浮かぶ前の授業がジェンダー論で、恋愛についてやっていたこともあると思いますww
相合傘。久しぶりに仲良しな二人が書けて嬉しかったです(*^-^*)
サイト3000hitありがとうございます!!
相変わらず更新は遅いままですが、これからもよろしくお願いします♪
H25 7/5執筆
H25 7/28 初出




