1/5
1:日常
この世に不思議なものなんて、きっといくつもない。
カタカタカタカタ
「拝島さん、このテキストの資料、クラス別に分けといて」
「はい」
カタカタカタ
「この名簿新しいのに作り代えてよ」
「はーい」
カタカタカ
「拝島さん、八木未来が来てないから電話して」
「…はーい」
カタカタK
「昨日配布した手紙のコピーって」
ターーン!!!
「事務ファイルに入ってます!」
あのねぇ!私今必死に5、6年生のS模擬試験の点数入力してるんですよね!!見たらわかると思うんですけど!あ、見てないって?そりゃ失礼
できるかー!!あんたら今暇でしょ!見たらわかるから!電話ぐらい自分でかけやがれっての!仕分けぐらい!
自分でやれってのーー!!
ハァ、ハァ。なんか脳内一気に爆発した感じがする。ええい、疲れた。私は目の前の仕事をします!
カタカタカタ、カタカタカタカタカタカタ。
ワタシノナマエハ…あ、間違えた。私の名前は拝島牌華。牌華と書いてハイカ。中学に上がるまで「牌」が書けなかった。自己紹介が苦手。
「名前は?」「ハイジマハイカ」「…え?」これが定番。苦労人。ある意味。