第2話 共鳴
第1章 2/6 オリオンの特殊な能力
翌日。
学院の訓練場。
カインは腕を組んでいた。
「絶対おかしい」
リシアも同意する。
「ええ」
「昨日の炎魔法」
「通常の三倍以上の魔力だった」
オリオンは苦笑した。
「俺のせいじゃないって」
カインが指をさす。
「いやお前だろ!」
「タイミングが完全に一致してた!」
リシアは静かに言う。
「再現できれば分かる」
オリオンは肩をすくめた。
「できればね」
しかし。
何度試しても再現できない。
炎魔法を撃つ。
オリオンが補助魔法を使う。
結果。
何も起きない。
カインが頭をかく。
「やっぱ偶然か?」
リシアは首を振る。
「まだ結論は出ない」
その時。
教師が現れた。
「次の実習任務だ」
全員が顔を上げる。
「古代魔導遺跡の調査」
「魔物の活動が確認されている」
カインが笑う。
「また戦えるな」
オリオンは小さく息を吐いた。
遺跡は森の奥にあった。
崩れた石柱。
古い魔法陣。
空気が重い。
「嫌な感じだな」
シオンが言う。
リシアも頷く。
「魔力が濃い」
奥へ進む。
その時。
影が動いた。
魔物が現れる。
だが。
普通の魔物ではない。
体が大きい。
目が赤い。
「魔導獣……!」
カインが炎魔法を放つ。
直撃。
だが倒れない。
魔導獣が突進する。
ガルドが防御魔法を展開。
衝撃。
結界が揺れる。
「強い!」
戦闘が激しくなる。
リシアが氷魔法を放つ。
魔導獣の足を凍らせる。
だが。
魔物が力任せに砕く。
隊形が崩れた。
リシアの前に魔導獣。
距離が近い。
リシアが詠唱する。
だが魔力が足りない。
魔導獣が跳ぶ。
その瞬間。
「リシア!」
オリオンが叫んだ。
無意識に魔法を放つ。
次の瞬間。
空気が震えた。
リシアの氷魔法が――
変わる。
魔力が流れ込む。
巨大な氷の槍が出現する。
「え……?」
リシアの目が見開く。
氷槍が魔導獣を貫いた。
轟音。
魔導獣が凍り砕ける。
沈黙。
カインが口を開いた。
「まただ」
全員がオリオンを見る。
リシアは静かに言った。
「違う」
「これは偶然じゃない」
彼女はゆっくりオリオンに近づく。
「あなたの魔力」
「私の魔法に流れ込んだ」
オリオンが困惑する。
「そんなことできるのか?」
リシアは考える。
そして言った。
「魔法強化ではない」
「魔力の同期」
「共鳴……」
オリオンが聞き返す。
「共鳴?」
リシアは頷いた。
「あなたの魔法は」
「他人の魔法を増幅する」
「そんな能力の可能性がある」
カインが笑う。
「それ、ヤバくないか?」
リシアは真顔だった。
「ええ」
「もし本当なら」
「この能力は」
「世界の魔法体系を変える」
オリオンは呆然と立っていた。
落ちこぼれ。
攻撃魔法最低ランク。
そう思っていた自分の力が。
まったく別の意味を持つかもしれない。
リシアが静かに言った。
「検証する必要がある」
「あなたの魔法を」
「魔導共鳴と呼ぶことにする」
オリオンは苦笑した。
「ずいぶん大げさだな」
だが。
胸の奥がざわついていた。
自分の知らない何かが。
確かに動き始めていた。




