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【7】アラン、天才児と呼ばれる~記憶する 2

いよいよブランシュ先生の初めての授業。中身中学生のアランは初歩の勉強に耐えられるのか?

「ではアラン君、難しい本も読める王国語は後回しにして、数学の実力も知りたいので、ちょっとした計算をやってみましょうか。」

 そう言って先生は持参した鉄筆で蝋板に1から10までの数字を書いた。この世界ではメモ用紙代わりに蝋板を使う。

「これは当然わかるわね。」

 僕は数字を順に読み上げた。よく見ると前世の算用数字とは違う形だけれどもちろん読める。頭の中で自動的に変換される。

「すごいすごい!数もわかるのね。本に数字も出てきますもんね。ではたし算をやってみましょうか。」


 先生は右手の指を2本立てて、左手の指を1本立て

「両手の指を合わせると何本かしら?」

 と聞いた。なんの冗談かと思ったけれど、先生は前世記憶のことを知らないので仕方がない。僕が

「3本です。」

 と答えると、

「じゃあこれは?」

 と3本と4本の指を立てた。

「7本です。」

 と答えたら先生は両手で自分の頬を押さえて

「きゃあ、こんなに小さいのに5より大きい数の合成ができるなんて天才だわ!」

 と顔を赤くして叫んで僕の頭をなでた。キャハッ!はずっ!


 識字率が低いこの世界では5歳で一桁の計算ができるのはすごいことらしい。まあ算数のカリキュラムは

  数の認識 ⇒ 5までの数の合成と分解 ⇒ 10までの数の合成と分解

  ⇒ 繰り上がりと2桁の数

と小学校でもステップを踏んで教えるからね。

それからは鉄筆と蝋板でたし算の練習問題をやらされた。


 中身が中学生の僕は

「簡単すぎ、かんべんしてくれよ」

 と内心で思いながら、やりすぎて怪しまれたり変人扱いされたりしないようにと自分を納得させて先生に付き合った。中学生レベルの数学の能力は隠しておかなくちゃ。能ある鷹は爪を隠すってね。


授業の合間の休憩時間にちょっと雑談をした。雑談と言ってもこの国の政治体制とかについての質問だったのだけど、うっかり『民主主義』なんて単語を使ってしまったら、こっちの言葉に自動的に翻訳された言葉をしゃべっていたようで先生に

「そんな言葉は聞いたことがないわ。でもなんとなく意味が分かるのね。アラン君が作った言葉なの?」

 と言われてしまった。該当する概念がない単語やフレーズは造語になっちゃうのか気をつけなきゃ。


 先生は領都から来たので家には帰らない。僕の屋敷に長期滞在するので二階の客間の一室で寝泊まりする。

「じゃあまた後でね。」

 と先生はにっこりして二階へ上がっていった。この世界は女性が服から脚を出さないのでスタイルはよくわからないんだよな。でもきっと先生はスタイルもいいと思う。


 夕食になり外出着から部屋着に着替えて二階から下りてきた先生も一緒にテーブルを囲んだ。そこで先生の歳が13歳だと知った。若いとは思ったが、10歳で女学校に入って12歳の終わりに卒業したので、13歳というのは学校を出たばかりなわけだ。この世界では15歳で成人するから日本でいえば大学生の家庭教師という感じか。商家の娘が通う学校で主に実用的な勉強を学んだらしい。商業高専みたいなもの?それにしても日本だったら同い年の女子か。男子校だったからなんだか気恥ずかしいや。また声が鈴が鳴るように澄んでいて心地よいんだよね。アニメ声優で言ったらカワイイ系ではなくお嬢様系?こんなかわいい先生に家庭教師をしてもらえるなんてラッキーだ。


 夕食の時に

「男爵様、アラン様は天才児ですね!5歳なのに一桁のたし算をもうマスターしてしまったんですよ。普通は2週間くらいかかるのに。」

 と先生が言うと、

「そうか、アランは天才か~」

 と父様も笑顔で自分の顎をさすりながら言う。母様も

「そうよね、前からおりこうだものね。」

 とにっこにこだ。まったく二人とも親ばかだなぁ。

中学生なのに小学生の勉強をさせられるのはつらいですよね。


さて次はブランシュ視点のアランとの授業の様子や彼女が感じたことを書きます。乞うご期待!

骨組みとしてのエピソードはできているのですが、少しでも面白くしようと新たなエピソードを追加したりしています。書き始めると皆さんこんな感じなんでしょうか!?

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