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【6】アラン、天才児と呼ばれる~記憶する 1

記憶力抜群のアランにはある特殊能力が備わって…

 さて、5歳で前世の記憶を取り戻した僕は猛然と勉強を始めた。まずはこの世界について知らなければ。この世界の文字は以前から少し教わっていたので前世の学力を生かしたらすぐに本が読めるようになった。父様の書棚の本を片っ端から読破した。


 読破しただけじゃなくて全て記憶した。大智はフォトメモリー別名写真記憶という見たまんまを映像として頭に蓄えることができる。NHK交響楽団の首席指揮者だった日本人が、楽譜をそのまま記憶して、後でページをめくるように思い出すことができると本に書いていたっけ。時には頭の中でページを飛ばして2枚捲ってしまって慌てたことがあったと彼の随筆で読んだ。僕にも同じ能力があるのだ。この世界では本は印刷ではなく写本で作られ高価なため、わが貧乏領主の蔵書は20冊ほどしかなかったけどね。この世界に辞書がないので知らない単語には少し困ったが、いずれどこかでもっと多くの本を目に焼き付けちゃおう。


 地理や歴史、文化など最低限の知識は得た。領地経営に必要な農業に関する本もあったが、正直かなり遅れた農法だった。せいぜい三圃式農業によって畑を時間的に分割して利用しているが、それだと休耕地では何も生み出されないので効率が悪い。輪作をして違う作物を作ったり、肥料を撒いたりして土地を痩せさせない工夫をすればもっと収量があがるはずだ。フフン、社会科や理科の知識が役立ちそうだぜ。それに大智の家には子ども大百科をはじめとして絶版になったブリタニカ国際大百科事典の本もあって、暇なときに眺めていたページは記憶している。難しいページを読んでいると寝落ちするんだよね。それでうろ覚えのページも多いけど。中学受験では大いに役立ったし、この世界でもきっと役に立つに違いない。


 あらかた蔵書を読んだことを知った父様と母様が

「アラン、お前は高熱から回復してから人が変わったようだな。一皮むけたというか、子どもっぽさが消えて、まるで大人と話しているような気がする。」

「そうですわ。私の可愛いアランがスッと成長してしまったようで、ちょっぴりさみしい気もします。でも頼もしくなったのは確か。」

「お前はとても賢い子になったようだ。今すぐ家庭教師をつけよう。少し前から探していたのだがいい人が見つかったのだよ。」

 と言って父様は家庭教師を雇ってくれた。さすがに王都から家庭教師は呼べないので隣接する子爵領の商業ギルドで募集してみつけたらしい。


 それにしても前世記憶のせいで僕の言動は大人びてしまっているのだろうか。自分ではよくわからない。前世で大智の年の離れた従妹の子ども、いとこめい?が幼稚園の頃には小学生レベルの物語やファンタジーを読んでいる子で、その子と話す時に、子どもらしからぬ会話をすると感じたが、あれと同じかな?いやこっちは中身中学生なんだから当たり前か。


 ◇


 数日後1台の馬車がやってきた。馬車からは一人の女の人が降りてきて、玄関ホールに案内されて出迎えた僕たち家族と対面した。

「こんにちは。お初にお目にかかります。ブランシュと申します。隣のロックブリュン領から商業ギルドの紹介で来ました。」

 その若い女性は、はっきりした輝かしい声で自己紹介して父様に紹介状を渡した。

「うむ、ミス・ブランシュよろしく頼む。アラン、ご挨拶をしなさい。」

 紹介状に目を通した父様が言った。

「はじめましてアラン・ド・ラ・プラードです。よろしくご指導お願いします。」

「まあ、なんて素敵なご挨拶かしら、よろしくお願いしますねアラン様。」 

 なんでも女学校を出たばかりのようだ。金髪よりは少し薄い色のきれいな髪のキリッとしたなかなかの美少女。知性を感じるグリーンの瞳。あまりふりふりがついていないすっきりとした服を着ている。でもセンスは悪くない?と思う。さすが領都から来ただけのことはある。


 両親との会話から貴族ではなく商家の娘らしいことがわかった。西洋人て日本人の感覚からしたら年上に見えるのだけど、ブランシュ先生はいくつなんだろうか。この世界の学校制度を知らないので女学校の卒業が何歳なのか見当もつかない。それにしても中身が中学生で思春期バリバリの僕がこんな妙齢の美少女に勉強を見てもらえるなんて、ラッキーとしか言いようがない。異世界アニメのような巨乳ではなくて大きからず小さからず普通?のお胸のサイズみたいだ。中学生男子に女の人のバストのカップなんかわかるか!えへっ。


 僕の部屋に入るとブランシュ先生は

「アラン様は本を何冊も読んでいるんですって?すごいわ。アラン様の前にある本は何かしら。」

 先生は顔を近づけて本の表紙を覗き込んだ。

「『領地経営と領主の心得』まあ、難しい本を読んでいらっしゃるのね。」

 先生の美しい顔が近づいたので僕はドギマギしてしまった。香水の匂いも鼻をくすぐる。あわてて

「先生、私が教えを乞うのですからアラン様でなくアランと呼んでください。そして自分を僕って言わせてください。」

 とってつけたように僕は言った。

「わかったわ。それじゃあお友達みたいに話しましょうね。」

まさかの?美少女家庭教師降臨!どんな授業が展開されるのか楽しみ~。

1話が3000文字を超えてしまったので、初の分割投稿です。

午前7時更新にしていましたが6時台にも読者がおられるので1時間早めます。深夜の方々もいらっしゃるのですが、なろうは何時更新がいいのでしょうか?

読者様が50人を超えました!順調に増えてくれて嬉しいです。

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