【5】家庭教師ブランシュ~応募する(ブランシュ視点)
異世界デビューでウジウジな自分とはおさらばすることに決めたアラン少年は、文明開化に邁進できるのか!アラン以外の人物、ブランシュ視点で書くのは初の試みです。
私はブランシュ13歳。女学校を出たばかり。家族は商会を経営している両親と弟が一人。私が通った女学校は貴族が通う学校ではなくて、商人や貴族に使える執事やメイド頭などが貴族と接しても困らないように、礼儀作法や一般教養などを学ぶ専門学校よ。貴族に不敬を働くと処罰されるおそれがあるので、そうした機会がある平民が通うの。商売に必要な知識も学べるわ。店の跡取りは弟なので嫁いでも困らないようにという意味もあるでしょうね。
私の家は領都でも大きい方の商家で上の下というランク。ご領主様御用達ではないものの、御用達商人が扱っていない独自の商品などを買い上げてもらっているわ。他にも貴族のお得意様もあるし。商家の子どもでも女子は礼儀作法が主な科目だけど、私は選択科目で理科系の科目も進んで取っていたの。女の子では珍しがられたけど。物事の仕組みとかが気になってしかたがないの。小さいころからお父様に「お前は好奇心が旺盛だな。」と言われたわ。
私は将来どこかの大店の跡取りのお嫁さんになるのではなくて、自分の商会を持つのが夢。だから経営や商品開発の知識も必要なの。仲良しのお友達には
「男の人の分野にまで手を出したら、お嫁さんのもらい手がなくなるわよ。」
と言われたけれど、一人でも生きていくつもり。女だからって良き妻になるだけじゃ人生がつまらないでしょ。私は自分が男勝りだとは思わないけれど、可愛いだけの女にはなりたくない。もちろんいい人がいたら結婚したいとは思ってる。
◇
お父様の使いで商業ギルドにやってきて用事を済ませたので、掲示板をのぞいて見た。世間の流行や動向が貼り紙から知れることもあるのよ。それともしかしたら素敵な仕事に出会えるかもしれないし。
「なにか面白い募集はないかな~。」
と貼り紙を眺めていると『家庭教師募集』のメモが目に留まった。
「なになに、プラード領の男爵さまの5歳のご子息に読み書き計算と一般教養を教える住み込みの教師募集ですって!?しかもこの子もう本が読めるって書いてあるわ。どんな子かしら。きっと賢いわね。お給金も悪くないし。これ面白そう~。」
プラード領は馬車で1日半ぐらいのところ。私は学校も自宅通学だったので領都の家から出て暮らしたことがない。行ったことがない土地で、しかも貴族の家に住み込みで貴族の子どもに勉強を教えるってワクワクしない?そんなに遠くないし。お父様にお願いして行かせてもらおうっと。
◇
「お父様、この募集を受けたいです!お願いです、行かせてください!」
帰宅早々お父様に例の募集メモを渡して頼んだ。
「ええっ!何を言い出すんだブランシュ。家を出て住み込みだと?そんなの心配だ、ダメに決まっているじゃないか。」
小さな頃から娘の私にベタベタしてきたお父様は今でも私に甘くて過保護。そろそろ娘離れして欲しい。
「あなた、ブランシュの言い分も聞いてやりましょうよ。」
「わたし、卒業してから家のために何かできないかなってずっと考えていたの。そのためにはもっと色々な経験を積まなきゃって思ったのよ。この募集なら男爵様のお屋敷で安心だし、ご子息を通じてプラード領とのつながりもできるでしょう?悪い話じゃないと思うの。」
「う~ん、そう言われると…」
「あなた、ブランシュにとっても良い経験になるのではなくて?しかも他でよそにやるよりも安心安全ですよ。」
最初はお父様も渋っていたけれども、さすがはお母様。私が言い出したら聞かないということをわかってくださっているので、一緒にお父様を説得してもらえた。はれて男爵家の家庭教師ができることになったわ!
やっぱり異世界ものには美少女が登場しないとね!次話ではアランとブランシュ先生の初対面かも。こうご期待!
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