【3】前世の記憶~甦る
踏切に入ってしまった老人を助けに入って電車にはねられた大智は…
ハッと目を覚ました僕は汗びっしょりだった。ぼやけていた天井に目の焦点が合った。そしてたった今見たばかりの、やけにはっきりとした夢を頭の中で反芻した。いやあれは夢ではなく現実に起きたことだった。なぜなら夢は目覚めと同時に掌の上の砂のようにどんどんとこぼれてしまい、いつまでも覚えていられないからだ。それとアランである僕がこれまで見たことのない景色と文字を夢に見、しかもそれが理解できたからだ。そして自分の意識が急に大人びたようで奇妙な感じがする。
ああこの感じ前にもあったな。目の前の現実が実は夢の世界で、自分が夢だと思っているのが本当の現実で、ハッと目が覚めたら目の前の世界が消えてしまうのではないかと何度か思ったことがある。まさにあんな感覚。自分が現実だと思った方が現実になるっていう。
夢の中の人物の記憶が鮮明に思い出されたのだろう。僕は日本という国に住む中学生の大智という人間だった。僕は流行り病にかかって高熱を出してうなされているようだ。まだ頭痛がする。体が熱い。そのためなのか前世の記憶が蘇ったようだ。これが誰にでも起こりうることなのか自分だけなのかは謎だが。
そうか大智だった僕はあの時に死んでしまったのか。両親にすまないことをしたな。ごめんね母さん。せっかく中学受験をして東京で最難関と言われる私立学校に入れたのに。いっぱい勉強してT大学に進み将来はIT企業にでも勤めて両親に楽をさせようと思っていたのに。
先立つ親不孝を許してって、あの事故は日本ではいつの出来事なのだろうか、今見た記憶の中ではつい昨日のことのように思えるのだが、もしかして5年前のできごとで、赤ん坊のアランとして生まれ変わったのだろうか。時間経過がさっぱりわからない。それにアランとして生きてきた時間の記憶もちゃんとある。記憶の中で昨日までは5歳児だった。だから今の僕は大智でもありアランでもあるのだ。僕は混乱した。そうだ、前は自分のことを上品に「わたし」と言っていたのに今は「僕」の方がしっくりくる。これも大智の影響だろうか。
だが、もちろんこのことを誰かに話すつもりはない。これまで生まれ変わりや前世の記憶についての話を聞いたことがなかったから、そんなことを言い出したら熱で頭がおかしくなったと思われるに違いないだろう。ただし、僕はまだ5歳なのでそうした話を今まで耳にしていない可能性もある。今まであまりにも世の中のことを何も知らなかったと僕は反省した。
それにしても異世界転生をあっさり受け入れすぎだ僕。ライトノベルは読んだことはないが、そこは前世中学生、ラノベ原作アニメは何本も見ている。”無〇転生”とか”転生したら〇〇だった”とか。ラノベの他にSFも好きだ。人間の想像力はすごくてSFで描かれたことはほとんど実現している。だから転生というのも目に見えないところで実際に起こっているのかもしれない。そんな考えが浮かんで妙に納得してしまっていた。
よくあるテンプレの異世界転生?それとも前世記憶?どっちだろう。いよいよ家族が登場か?
毎朝7時の投稿なんとか続けられています(^_-)-☆
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翌日分までは下書きをUPしているのですが、投稿処理する前にプレビューするとどうしても手を入れたくなってしまうんですよね。そんなものなのでしょうか。
ユニークアクセス数が30人となり、それだけの方が読んでくださったのは感激です。自分以外の人が1人でも目にとめてくださればいいと思っていたので、読者の皆様に感謝です!




