【12】兄様とゲームで遊ぶ(クリステル視点)~遊ぶ
さて異世界ものでお約束の、前世地球にあったものをこの世界に持ち込む話です。何にするか頭を絞ったのですが…。妹のクリステルの登場シーンが少ないので彼女の視点で書きました。貴族令嬢っぽい言葉遣いにしてみました。
高熱にうなされたアラン兄様の病気が治ってしばらくして、家庭教師のブランシュ先生がいらしてから、兄さまは私とあまり遊んでくれなくなりました。時々は絵本などを読んでもらえますけれど。なにかもっと楽しいことがあればいいのに。
先生との授業が始まってからもう1年過ぎてしまいましたわ。毎日お勉強ばかりしています。だから私の方からお兄様に声をかけるようにしていますのよ。息抜きしていただこうと。今日も先生が兄様のお部屋から出ていらしたので、もう授業は終わりのようです。お部屋を訪ねてみましょう。
「アラン兄様、お勉強は終わりましたか?」
まだ机で本を読んでいる兄様に話しかけてみました。
「うん、クリステルどうしたんだい?」
「近頃兄様はちっとも私と遊んでくださらないんですもの。つまらない~。」
少しすねた口調で言ってみると、
「そうだね、たまには二人で遊ぼうか。」
兄様はそう言って手にしていた本を閉じました。
「きょうは変わったゲームをしてみよう。」
「やったー!」
私は嬉しくなって後からついてきたアリスにお茶を持ってきてくれるように頼みました。
兄様は本棚から四角い板を取り出しました。何やらマスが線で区切ってあります。マスとマスの交わったところは少し凹んでいます。
「1,2,3,4…」
数えてみると縦横各9列で81個のマスがあります。一緒に取り出した2つ箱の蓋をとると、中からそれぞれ白と黒の豆が出てきました。手でつまみやすい大きさで形もだいたいそろっています。
「これは僕が考えた五目ならべだよ。」
「五目ならべ?」
「そう、黒と白のどちらを自分の石にするか決めて、順番に置いていって先に5個連続して並べられた方が勝ちなんだ。5個つなげるから5連て言うんだ。石はどこに置いてもいいよ。ゲームの最初も自由に置ける。」
「兄様、石って言ったけどこれって豆でしょ。どうして石って言うの?」
「痛いところを突かれたね。うーん、僕が知っている五目ならべは磨いた平たい石を使う遊びだったんだ。だから石って呼んでる。」
「わかった!」
『兄様が知っている五目ならべ』ってどこで知ったのかしらと少し引っかかったけどまあいいや。たくさん本を読んでいる兄様なら知ってても不思議はないし。面白そうだし。ルールが難しくないので私にもできそう。早く遊びたい。
「やってみましょう兄様!」
そうして対戦してみましたが、初めての私では兄様の相手にはならなかったようです。初めの内は適当に石を置いていたけれど、兄様が次々に
「三」とか「四」
とか言って、3連や4連をつくるので、それを押さえるのに必死でいたらいつの間にか5つ並べられてしまいました。
「兄様、参りました。」
私の負けです。
「兄様、もう一度お願い!」
と再戦をお願いしました。
「いいよ」
と言って、先手(先に打つ)を譲ってくれました。先手の方が有利なんですって。今度は適当に豆ならぬ石を打つのではなくて、なるべくつながりができるように打ってみます。すると「三」を見つけて打ってみたら同時に別の並びに「四」もできました。アラン兄様が
「お、それは四三と言って必勝の手だよ。クリステルの勝ちだ。やったな!」
とほめてもらいました。
「えへへ、うれしい!」
思わず笑顔になりました。これは楽しいゲームです。
父様たち大人がやっている城攻めの盤よりも遊び方は簡単。だって石をどこにでもおけて5つ連続で並べればいいんですもの。それになんだかハラハラドキドキします。こんなゲームを作ってしまう兄様ってすごい。
「クリステルは初めてなのに、なかなか強いじゃないか。アリスは見ていたから多分できるだろう。コレットにも教えて対戦するといいよ。その内僕に勝てるかもしれないぞ。」
なんて優しいことを言ってくださいます。私が勝つことはないと思うのですが。でも先に覚えれば他の兄様には勝てるかもしれません。
「兄様、この五目ならべを私に貸していただけますか?」
「うん、もう一つ作ればいいから、これをあげるよ。持って行っていいよ。」
「ありがとうございます!」
私は兄様に礼を言うと、早速アリスと遊ぶため兄様の部屋を出て自分の部屋へ向かいました。コレットがいたら誘いましょう!
というわけでリバーシではなく五目ならべでした。五目ならべは流行るのでしょうか?
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この先、ファンタジー要素のトッピングを増量中ですので、異世界ものなのに日常ばかりじゃんとお見限りにならないでくださいね。ユニークユーザー数が100を超えました!読者の皆様ありがとう存じます。




