表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生2257  作者: 自彊 やまず
第六章 ルバモシ王家過去編
109/132

第百六話 過去から未来へ

「わた、しは……」


 真っ暗な部屋の中、エマは自分のベッドに突っ伏し、涙でぐちゃぐちゃになった枕を部屋の隅に投げた。

 どこが上か、どこが入り口かもわからないような漆黒の中、彼女は迫りくる吐き気に抗っていた。


「私は、誰なの?」


 まるで目の前から世界が消えてしまった様な闇。


 エマの声が震える中、彼女は必死に自己の存在を問い続けた。

 その問いは深く根ざした孤独感を引き起こし、心の中の闇がさらに濃くなっていく。


 部屋の中は沈黙に包まれ、彼女の息づかいだけが響く。


「ここにいる意味は何?私は何のために、誰の為に生かされているの!!」





 翌日、クロノス教軍部。

 クリスはルピナの部屋に招かれ、丁度二人でテーブルに座っているところだった。


「大丈夫か?クリス。その……」


 ルピナが恐る恐るクリスに聞き、その様子を窺う。

 しかし、クリスから帰ってきた返答はあっけないものだった。


「多分、問題ない。俺にとって転生してようがしてなかろうが祖父はハンス爺だし、家族は孤児院の皆」


「でもよ……」


「たしかに、あれを聞いたときは少し動揺したけど、まぁ、何となくそんな気はしてた。……あくまで、俺と佐藤雄志は違うって」


「そ、そうか。なら、良いんだが――」


「で、何だ、話って?」


 ルピナはそれを聞くと、ハッとして答えた。


「悪い悪い。その話なんだが……俺はクロノスを抜けて妹のラーラと暮らす。指名手配されてちゃまともに生きていけないからな」


 それを聞いたクリスは、困ったような、残念そうな顔をした。


「そりゃぁ、そうだよな。まぁ、しょうがない。妹を優先してやってくれ」


 クリスはそう言うと、右手をルピナの正面に突き出す。

 ルピナはその手を強く握り、その絆と、別れを噛み締めるように、優しく笑った。


「お前との作戦、割と悪くなかったぜ」


 ルピナはクリスの手を離し、唯一、彼の部屋に残っていた黒のボストンバッグを持ち上げると、部屋のドアへ手を掛けた。

 ふと、ルピナがクリスの方を振り向いて言った。


「言い忘れてたが、ラーラが俺に慣れるまではリラに教会で面倒見てもらって、暫くしたら二人で隣の宗教国家ユマに行くつもりだ。オスカルって奴にかくまってもらう」


「ま、会おうと思えばいつでも会えんだろうよ」


 続けて、ルピナがクリスを指さして言う。


「あとな、ルーシーの姉貴から聞いたぞ。一人でゼリク倒そうとしてんだってな?」


「それは……」


「ロランにはお前が必要だ。そして!お前にもロランが必要だ。自惚れるな?」


「うるせぇな……お前に何がわかんだよ?」


「いや、分かる。俺達は一人じゃ何もできない。これはお前へのアドバイスに聞こえるかもしれないが、違う。俺はたくさんロランに助けられた。叔父の件も、俺の正体も、全て俺が選択するには難しい選択。それを一人でやってのけてきたロランを、今度は助けてほしいんだ。俺はロランに必ずこの借りを返すが、本当の意味であいつを助けられるのはお前だけ。クリス、これは俺からの頼みだ」


「……」


 何かを言おうとしたが、口を絡ませて言い淀むクリス。


「じゃ、また今度――国王様wwwwww」


 ルピナはケタケタと笑いながらそう言うと、部屋にクリスを残して去っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ