3.リィナ姫のおもてなし
ふかふかのソファに身を預けてリィナ姫の優雅なおもてなしを受ける俺だったが、不意に彼女がすっと距離を詰めてきた。
「勇者様、手をお出しください」
促されるまま右手を差し出すと、リィナはその手を両手で包み込む。
肌に直接触れるエルフの手は、驚くほど柔らかく、ひんやりとして心地よい感触だった。
「旅の疲れが溜まっているようですから……少しだけ、癒しの魔法を」
囁くような声と同時に、リィナの細い指がゆっくりと俺の手をなぞる。
そのたびに体がじんわりと温かくなり、妙な高揚感がこみ上げてくる。
「エルフ式のマッサージもございます。肩に触れても……よろしいでしょうか?」
俺がうなずくと、リィナはさりげなく背後に回り、そっと両手で肩を包みこむ。
優しく、しかし確かな力強さで肩を揉みほぐしながら、彼女の胸元の柔らかな感触が、ほんのりと伝わってくる。
「いかがですか、勇者様……? エルフの姫として、おもてなしに手は抜きませんから」
間近から耳元に届く甘く艶やかな声。
その吐息がふわりと耳にかかり、思わずドキリとする。
「リィナ……それはちょっと、近すぎるのではないかな?」
「ふふっ。勇者様がリラックスしてくだされば、それが私の一番の幸せですから」
恥ずかしいくらい距離が近いまま、リィナの微笑みがすぐ横で見上げてくる。
リラックスとは正反対の何かに、俺の心が満たされていく。
そうして、城での一夜が明けた……。
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