天羽組の腸内熟成カリー
天羽組と腸内熟成カリー
桜の花びらが舞う空龍街。ここは関東最大の極道組織、天羽組が仕切る街だ。組長・天羽桂司のもと、幹部たちは今日も縄張りを守るために動いていた。
そんなある日、天羽組の中堅構成員小峠華太が慌てて本部に駆け込んできた。
「親っさん!! 腸内熟成カリー なるものが、我々のシマを荒らしてます!」
「…腸内熟成? 何の話だ?」
桂司が渋い顔をする。
「そ、それが…ヤツらの正体は うんち です!」
場が静まり返る。
小峠の兄貴分、小林幸真が口を開いた。
「… 華太、お前、疲れてんじゃねぇか?」
「違うんです!! ある飲食店が 腸内熟成カリー って名のカレーを出してるんですが、その実態が…」
「実態が?」
「本物の腸内熟成カリー…つまり、人の排泄物 なんです!!」
兄貴たちの顔が一斉に歪む。
「ふざけんなな野田! そんなもん出してる店があるのか!?な野田!」
若頭の野田一が激昂する。
「はい…。どうやら 天王寺組 が裏で手を引いているらしく、"究極の発酵食品" だとか言って、密かに広めてるらしいです!」
「…この街でそんなフザけた商売が許されると思ってんのか?」
桂司が静かに立ち上がる。
「野郎ども、空龍街の誇りを守るぞ。カリーだかうんちだか知らねぇが、シマを汚すヤツはぶっ潰す。」
腸内熟成カリー VS 天羽組
天羽組の構成員たちは"カリー" の提供店 に乗り込んだ。
店の奥には不気味な笑みを浮かべる男がいた。
「ふふ…いらっしゃいませ。極道の皆さんも、我々の 腸内熟成カリー の素晴らしさを理解しに来たんですか?」
「理解する気はねぇよ。」
小林が店の壁をドンと叩く。
「お前ら、これ何入れてんだ? 言っとくが、ウチのシマを汚すマネは許さねぇ。」
店主はニヤリと笑い、カリーの鍋をかき混ぜる。
「これはね…人間の生み出した 究極の発酵食品。腸内で 熟成 された後、再利用 することで、本当の旨味が引き出されるんですよ。」
「フザけんな!!」
小峠が怒鳴り、店主の胸ぐらを掴む。
その瞬間、天羽組の後ろから数人の影が現れた。
天王寺組の構成員たち だった。
「へぇ~、カリー潰しに来たのか? だがな、こいつは 関西の新ビジネス なんだよ。」
「うんちがビジネスになるかよ!!」
小林が怒りの拳を握る。
決戦、カリー vs 天羽
天羽組 VS 天王寺組の乱闘が始まる。
カウンターをぶち壊し、鍋が倒れる。
カリーが辺りに飛び散る…。
「ぐわっ! くせぇ!!」
「なんだこれは…ッ!!」
両組織の男たちが悶絶する中、桂司が冷静に店主を睨んだ。
「お前、この街でこんなモン出して、ただで済むと思ってんのか?」
店主は震えながら言う。
「だ、だって…カリーは発酵食品だから…」
「発酵と腐敗は違うんだよ。」
桂司が静かに言い放つと、背後からガソリンの匂い が立ち込めた。
小林がポケットからマッチ を取り出す。
「この店はもう終わりだ。」
「や、やめろ! 俺のカリーが!!」
小林が火を放ち、店は業火に包まれた。
こうして、腸内熟成カリーの歴史は幕を閉じた。
エピローグ
空龍街に静けさが戻った。
小峠は肩で息をしながら呟いた。
「結局…アイツら、何がしたかったんですかね…」
「さあな。」
桂司がタバコに火をつける。
「ただ一つ言えるのは、この街にうんちは似合わねぇ ってことだ。」
煙が夜空に消えていく。
天羽組の戦いは、また新たな伝説となった──。