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Little kabotya’s story  作者: 富田林喜志
コンポタが好きな君
9/17

試合の後といったら打ち上げです

◯ 浅高・野球場


     高橋の前にいるソラ。


ソ ラ「やっとです。覚えて・・・いますか」


高 橋「ああ、覚えているさ。あの時はありがとう」


ソ ラ「どうしてあなたが感謝するんですか。感謝したいのはこっちの方です。もう自販機の前には来ないんですね・・・」


高 橋「ああ、そうだな。世間話はこいつらを倒してからだ。思いっきり投げてこい」


ソ ラ「はいそういえば」


高 橋「なんだ」


     ウミを見るソラ。


ソ ラ「審判が買収されています。なぜだかはわかりませんがあの女によって、多分テレパシーや超音波の類でしょう」


高 橋「そうか、わかった」


     守備位置に戻る各選手。


高 橋「行くぞ、お前ら」


     ノーアウトランナー、一三塁。

     バッターは木梨。


浅高野球部メガネ「あの子はデータはありませんがさっきのレーザービームを見るにとても肩がいいのでしょう。肩のいい選手の返球は時には球速160キロを超える選手もいます。さてどのようなボールを投げるのかとても楽しみなところです」


     余裕そうな笑みを浮かべている真希。

     投げようとするソラ。


審 判「ボーク」


浅高野球部ベンチ「えっ?」


     進むランナー、ノーアウト満塁。


審 判「プレイボール」


     投げようとするソラ。


審 判「ボーク」


     ランナー帰って2対0、なおもノーアウト、二三塁。


高 橋「タイムお願いします」


審 判「タイム」


     ソラのもとに行く高橋。


高 橋「お前、もしかして投げ方知らないのか?」


ソ ラ「わかりません」


高 橋「相手のあそこで投げている選手をみろ。ここに歩い白いプレートを踏んであの通りにおれのミットめがけて投げてみろ」


ソ ラ「わかった」


     戻る高橋。


高 橋「ありがとうございました。気を取り直していくぞ」


     構える高橋。

     投げるソラ、とんでもない豪速球が高橋のミットに入る。


審 判「ストライク」


浅高野球部メガネ「なんですか、あの球は」


      急いでスピードガンを出すメガネ。


高 橋「いいぞ、ぞの調子だ」


      構える高橋、ど真ん中ストレート、取った後セカンドへの牽制球。


審判「セーフ」


公 平「ナイスボール」


      ソラへボールを投げる公平。


高 橋「こい」


     ランナーへサインを出す木梨。


木 梨(一か八か」


     ボールを投げるソラ。

     走り出す三塁ランナーの松本。

     空振りをする木梨。

     ホームスチールを狙う松本。      

     タッチをしようとする高橋。


審 判「三振、バッターアウト、セーフ」


     湧く浅高野球部ベンチ。


木 梨(今のはランナーもアウトだった。今のプレーでダブルプレーだったら流れが完全に傾いていた。誤審に助けられた)


浅高野球部メガネ「嘘だ・・・。こんなの嘘です」


     浅高野球部メガネのガンは162キロを計測している。


高 橋「仕方ない。次も三振で乗り切るぞ」


     全てど真ん中、三球三振。

     六回表終了。3対0。

     ベンチに戻ってくる映画部の選手たち。


今 永「よくやったな」


ソ ラ「はい」


     今永を見ている達子。


真 希「よく切り抜けました。頑張って高橋さんにつなげましょう。そしたら高橋さんがなんとかしてくれます」


     打席にはソラ。

     ベンチで準備をしている高橋。


高 橋「思いっきりふれ」


      うなづくソラ。

      ピッチャーの石橋投げる。

      打つソラ。ライトの奥へ飛んでいく。

      一塁ベースの上に行くと二塁へ行かずベンチを見るソラ。


ソ ラ「やりました」


今 永「いいぞ、ソラ」


      ガッツポーズをするソラ。


高 橋「よくやった」


      高橋ににっこり笑うソラ。


浅高野球部メガネ「しかし素人、彼女の足なら3塁まで進めたでしょうに」

     

     続いてのひろ子、三振。

     1アウトランナー一塁、バッター甚平、レフト前ヒット。


甚 平「よし」


     ベンチから人一倍応援している今永。


     1アウトランナー、一二塁、達子、バットに擦りファーストへのボテボテ。


達 子「やっと当たった」


     バッターランナーアウト、結果進塁打となりランナー、二三塁。

     ベンチに戻ってくる達子。


達 子「くっそ、もう少しでセーフだったのに」


今 永「惜しかったな、達子」


     バッターボックスへ向かう高橋。


高 橋「よくやった。後はおれに任せておけ」


     1球目見逃し。


石 橋(何がディアボロだ。全然手が出てないじゃないか)


     深呼吸をついて投げる石橋。

     打つ高橋。高橋の打った球はバックスクリーンまで飛んでいく。

     帰ってくるランナーたち3対3。

     嬉しそうな今永、ソラ、甚平、高橋とハイタッチをしている。

     その光景を見ている達子。


達 子(もし、私もあそこで出ていたらハイタッチできたのかな)


     達子に近づいてくる今永。


今 永「お前もよくやったな」


     手を差し出す今永。

     ハイタッチを軽くする。

     戻っていく今永。


達 子(違う、違う。これでもし逆転して負けたら、あの時私が塁に出ていたら勝ったのかなんて気持ちになってきっと・・・きっとあの時の昇太の気持ちが・・・きっと。きっと)


審判の声「三振、バッターアウト」


真 希「交代ですよ、頑張ってきてください達子さん」


達 子「そうね、最終回頑張ってくるわ」


     立ち上がる達子。

     他のメンバーも守備位置に向かう。


真 希「今永さん」


     足を止める今永。


真 希「シナリオ通りです」


     七回表、三者凡退。

     帰ってくる選手たち。

     円陣を組んでいる浅高野球部。


木 梨「何があってもこの回抑えるぞ」


浅高野球部「はい!」


     一方の映画部。

     

真 希「次で最後です。ここは一番からです。延長に行くとこちらはもう術がありません。見ての通りソラさんも疲れています」


     ベンチに座っているソラ。


ソ ラ「コンポタージュ・・・」


真 希「公平さん」


公 平「はい」


真 希「洋平さん」


洋 平「はい」


真 希「後は今永さんが何とかしてくれます。何があっても塁に出てください。そして今永さんha

ホームランで行きましょう」


今 永「おう」


     公平、空振り三振。

   

今 永(なんて張り切っていたがそう、野球は甘くなく)


     洋平、空振り三振。


今 永(理想通りの展開なんてならないものだった)


     ツーアウトランナーなし。

     打席に向かう今永。


真 希「今永さん、ホームランです!」


    応援している真希。

    真希を見る今永、バッターボックスに入る。


今 永「お願いします」


    挨拶をする今永、バットを構える。

    1球目、ストライク。

    2球目、ボール。

    3球目、ファール。

    4球目、レフトの方へ大きなファール。


今 永(よし、だんだん合ってきたな)


    5球目、ファール。

    6球目、ボール。

    汗を拭う石橋、ボールを投げる。

    レフトの方へ大きな打球を打つ今永、目で追いながらファーストベースへ向かう。


今 永「入れ、入れ」


    ボールはポールギリギリ内側へ。

    喜ぶ映画部ベンチ。


審 判「ファールボール」


達 子「今のは入ってたでしょ、どうして」


高 橋「この試合やはり審判が買収されている。浅高野球部の父兄が審判をやっている。何か野球部に有利になるように動いているのだろう。だからおれはど真ん中しか投げさせなかったし、クロスプレーもセーフだった。何が合っても審判が絶対だ。ここは次だ。切り替えろ。男、今永」


     深呼吸をする今永。


審 判「プレイボール」


今 永(もう一回思いっきり振るだけだ)


     今永に怯えている石橋、ボールを投げる。

     今永右中間真っ二つのツーベースヒット。

     セカンドベースにつく今永。


今 永「よし」


     歩いていく真希。


浅高野球部メガネ「しかし、いくら3番が打ってもあの4番は全て3球空振り三振です。この試合延長戦にもつれ込むでしょう」


     右のバッターボックスに入る真希、ギリギリの後ろに立つ。


真 希「私は本来右ききです」


     ホームラン予告をする真希。

     石橋を睨む真希。

     1球目見逃しストライク。


浅高野球部メガネ「あの4番、今日一球も見逃しがありません。まさか、本気なんですか、やるんですか」


     2球目空振り。


浅高野球部メガネ「(ふーっと一息ついて)そんなことありませんでしたか」


     ショートの木梨。


木 梨「気を抜くな、走ったぞ」


審 判「セーフ」


浅高野球部メガネ「なんですと!」


今 永「作戦通りだ」


◯ 同・野球場・回想


     肩を組む映画部メンバーたち。


真 希「映画部、絶対勝つぞ」


映画部メンバー「おお!」


     各ポジションに着き始める映画部メンバー。


真 希「今永さんだけ話があります。ちょっとだけ待っててください」


    真希のところにくる今永。


真 希「いいですか。今日は私が右打席に入ったら2球目からはどんな球でも毎回全力で走ってください」


◯ 同・野球場


木 梨「ファーストでアウトを取れば大丈夫だ。落ち着いていこう、怖いのはランナーの方だけだ」


    もう一度ホームラン予告をする真希。

    バットを構える。


木 梨「ハッタリだ、落ち着けお前ら」


    ランナーの今永を見ている石橋。

    投げる石橋。


木 梨「走った、ホームスチールだ」


    セフティーバントをする真希。

    一歩出遅れる浅高野球部。

    

◯ 同・野球場・回想


    話している今永と真希。


今 永「もう博打でいいのか」


真 希「はい、大丈夫です。私はセフティーバントをします、犠打狙いです」


今 永「どうして」


真 希「デビット・オルティーズはレッドソックスで一度しか犠打を打ったことがありません」


◯ 旧・真希の家・15年前


     テレビを見ている真希、母親の膝の上に座っている。

     バントをするデビット・オルティーズ。

     真希の嬉しそうな表情。


真希N「あれは2008年のことでした。私たまたまテレビで見ていたんですよ。500本ホームランを打った人がですよ。その瞬間を感じて見たくないですか」


◯ 同・野球場


    走っている真希。

    今永はホームへ生還。


今 永「走れ!」


    サード、ボールをとりファーストへ投げる。

    駆け抜ける真希。


審 判「セーフ」


    騒ぐ映画部ベンチ。


真 希「まあ、犠打ではなかったですが、いいことにしましょう」


浅高野球部メガネ「何なんだ、何なんだ。2アウト2ストライクからのバントなんて狂ってる。しかもどうして打席を右に・・・何なんだあの4番は、この野球はいや今までの全て」


◯ 同・野球場・回想


     バッターボックスの今永を応援している真希


真 希「今永さん!ホームランです」


      ×  ×  ×


     左のバッターボックスに入る真希、3球空振り三振。


      ×  ×  ×


     ベンチにいる真希。


真 希「私、野球についてホームランしか知らないので」


      ×  ×  ×


     右の打席でホームラン予告をする真希。


◯ 同・野球場


浅高野球部メガネ「このための布石だったというんのですか」


     メガネに近づく真希。


真 希「あなたがあの構えがオルティーズだと気がつくのはさすがです。しかしこのユニフォームを見てください」


     メガネをずらしてみる浅高野球部メガネ。


浅高野球部メガネ「2008年・・・まさか」


     ノートを捲る浅高野球部メガネ。


浅高野球部メガネ「完敗です」


     ベンチに戻ってくる真希。


真 希「今永さん、見ましたか?これが映画ですよ。映画みたいじゃなかったですか?私も役者になれるかもしれませんね」


今 永「ああ、そうだな」


     並ぶ審判と選手たち。


審 判「3対4で映画部の勝ちです。礼」


選手たち「ありがとうございました」


     喜びながら戻る映画部生徒たち。


真 希「試合の後といったら打ち上げです!さっさと帰りましょう!」

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