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Little kabotya’s story  作者: 富田林喜志
コンポタが好きな君
6/17

野球くらいなら手伝ってあげるよ、友達としてね

◯ 浅虫高校・視聴覚室・放課後


     立っている今永と真希。


真 希「今永さん、まずはどうしましょうか」


今 永「お前本当に何も考えてないんだな」


     ぼーっと立っているソラ。


今 永「お前、映画部に入らないか」


ソ ラ「うん、それにあの女と決着をつけないと」


今 永「知り合いか?」


ソ ラ「あの女、入学式でずっと睨んできた」


今 永「だそうだ、工藤。お前はあのストーカーに連絡しといてくれ」


真 希「はいメールしておきます」


ソ ラ「では私は帰る。今日はコンポタの特売日だ」


今 永「自販機にも特売日があんのかよ」


ソ ラ「今から暑くなるのでメーカーも在庫残したくないんでしょう。激アツです」


     電話をかける今永。

     教室を出ていくソラ。


今 永「熊原、出ねえか」


真 希「ひろ子さんは大丈夫みたいです。あとはオールラウンダー高橋さんです」


高 橋「呼んだか?」


今 永「お前もそういうタイプか」


真 希「オールラウンダー高橋さん、来週の日曜日。野球があるんですが」


高 橋「ああっいいだろう。困ってる人は見過ごせない主義だからなと言いたいところだが遅れるかもしれない。まあ、安心しておけそういうときは強力な助っ人を送っておく。そして終わる前には絶対に行く」


     高橋の右手を見る真希。


真 希「やっぱりあの手は」


◯ 道・夕


     走っている今永と真希。


真 希「私たちいつも走ってますね。部費でロードレーサーでも買いましょうか」


今 永「そんなことしたら生徒会にもっと難癖つけられるだろ。てか部費降りてるのかよ」


真 希「(指を指して)来ました。今永さん。バスが来ました。急ぎますよ」

     

     バス停前でバスに急いで乗る今永と真希。


◯ バス内・夕


     一つの席に座る今永と真希。


真 希「何個あとですか」


今 永「4つ後だ」


     スマホに着信が来てLINEを開く今永。

達子のメッセージ「今どこにいる?熊原の家行ってみない?」


     LINEを打つ今永。


今永のメッセージ「奇遇だな。ちょうど青バスで向かってるところだあと来週の日曜、空いてる?」


◯ 高校・廊下・夕


     歩きながらスマホを見ている達子と演劇部の友達。

     通知が鳴りスマホを見る達子。

     覗く友達。


演劇部員A「あれ、達子。これ今永くんからのデートの誘いじゃない?」


達 子「そんなわけ。てか何勝手に人のスマホ覗いてるのよ」


演劇部員A「この前自分で剥いたホタテ食べてくれないって悲しんでたくせに」


達 子「もう、うるさい」


     達子のスマホに通知が鳴りもう一度見る。


今永のメッセージ「野球、しないか」


演劇部員A「何て来てたんですか」


達 子「何にもないわよ。私用事あるって言ったでしょ。早く帰りなさい」


演劇部員A「ヒューヒュー」


     と言いながら先に行く演劇部員A。


◯ バス内・夕


     一つの席に座る今永と真希。


真 希「今永さん、何かおかしいと思いませんか。高橋さん」


今 永「何がだ」


真 希「彼の手のタコ、多分ですけどあの指のタコはギターによるものです。親指以外の指の先に綺麗にタコがあるんですよ。でも高橋さんは音楽はできないと言っていました」


今 永「静かに練習してるんだろ。黙ってたほうがいいぞ。あいつプライド高そうだから」


     真希の表情。


◯ 熊原家前


     待っている今永と真希と達子。


達 子「やっぱり出てこないわね」

帰ってくる恵。


 恵 「どうかされました」


今 永「恵、熊原が電話しても出ないから家に来てみたんだが出てこないんだ。何か知らないか」


 恵 「ちょっと待ってくださいね」


     ポケットから鍵を出すと開ける恵。


達 子「何であんたが熊原の家の鍵持ってるのよ」


 恵 「一緒に住んでるからです」


達 子「だからそれがどうしてって聞いてるんじゃない」


 恵 「あなたも野暮ですね。女性が一緒に住むと言ったら一つしかないじゃないですか」


     玄関に入っていく恵、続いて今永、カメラを構えている真希。


 恵 「ただいま」


今 永「お邪魔します」


達 子「あんたたちね」


真 希「今永さんカメラは構えましたよ」


今 永「やめとけ」


 恵 「もう、わかったわよ」


◯ 同・リビング・夕


     座っている今永、真希、達子。

     お茶を出す恵。


 恵 「つまらないものですが」


真 希「いただきます」


     お茶を飲む真希。


真 希「美味しいですよ、今永さん」


今 永「それはよかったな」


真 希「飲まないならもらってもいいですか」


今 永「好きにしろ」


真 希「はは、やった」


     賑やかになるリビング。

     ドアを開けて入ってくる寝起きの熊原。


熊 原「みんな、おはよう」


     熊原に近づく達子。


達 子「あんた何してんのよ、ちゃんと学校来なさいよ。電話も出ないし、脚本の方も・・・」


熊 原「(叫んで)わかってるよ。たっちゃん、君はいいよね。小学校の時から昇太がいて演劇部をやめてもずっと仲良しだ」


     達子の表情。


熊 原「(落ち着いて)ごめんね達ちゃん。なんかこの前から脚本が書けないんだ。それで学校に行かなかった。

僕もう演劇部止めるよ。ごめんね達ちゃん。学校には行くからさ」


     8ミリで覗いている真希。今永、達子、熊原恵にむけている。


今 永「わかった、達子。帰ろう。学校で」


真 希「まだです。今永さん。私たちの用事が終わってません」


今 永「あのな、こんな空気で」


真 希「今永さんこれ持っててください」


     真希、今永にカメラを渡すと熊原に近づく。


真 希「お願いです。日曜日野球の試合があります。私を。いえ、今永さんを手伝うと思って来てくれませんか」


今 永「おい、真希」


熊 原「いいよ」


今 永「えっ」


熊 原「脚本は書けなくなっちゃったし。野球くらいなら手伝ってあげるよ、友達としてね。人数は足りてるのかい?」


     達子の表情。


真 希「熊原さんで6人目です」


熊 原「(恵の方を見て)恵も行かないかい?」


 恵 「はい」


真 希「本当ですか、二人とも。ありがとうございます」


達 子「しっ仕方ないわね。私も手伝ってあげるわよ」


真 希「達子さんはもう頭数に入っています。今永さんから連絡来てませんでしたか」


達 子「私、まだ返事してないじゃない」


真 希「確かにそうでした。すみません。であれば・・・」


達 子「あんた、なんかいっつも気に触るやつね」


真 希「今永さん」


達 子「無視すんな!」


真 希「野球できそうですよ、後3人です」


今 永「そうだなって、どうしてだ?今で7人だろ」


真 希「チーム映画部はでDH制で行きます」


今 永「なんでだよ。そんな贅沢言うな」


真 希「ええ、4番DH、憧れだったんですよ。見てください。練習して来たんですよ」


     バッティングの構えをする真希。


今 永「なんだそれは」


真 希「デビッド・オルティーズですよ」


今 永「誰がわかんだよ。そんなの」

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